言語分析未来予測

言葉で表すもの全てが分析可能です。言葉での分析は予測的な文章となります。


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 男は不満を抱えていた。自分の理想と現実の、あまりに大きい乖離の中で、生きていく方向性と、自分がいったいなんであるのか、という確信を失っていた。
 そんな不満と不確かさは、自分が所属している事務所に来たときには、年々、広がり深くなっていくように思えた。
 男は、お笑い芸人で漫才コンビ、クレージー・シュガー・高橋であり、渋谷の豪華なオフィスビルに構える新芸プロモーションという会社の事務所にいた。担当マネージャー関島に午前9時という時間厳守で呼び出されたのだ。





 高橋は長テーブルのある6畳ほどのミーティングルームで安っぽいディスクチェアーに座っていた。スマホを手にとって時々、待受画面の時間表示をチラ見をしながら落ち着かなかった。
 10分ぐらいしてノックの音と同時にひとり入ってきた。
 一瞬緊張し「おはようございます」と言って起立しようとしたのだが、慌ただしく正面に座った担当マネージャーの関島に、中途半端な中腰が精一杯だった。
 座りなおして「林がまだ来ていませんが……」と高橋は相方がまだ到着していないことを心配した。
 だが関島は、そんなことは微塵も気にしてなかった。
「いいんだ。今日は個別だ」
 高橋の顔も見ずに、さっさとバインダーを開き資料を数枚めくった、
「仕事は事務所主催のライブだけだっけ?」
「はい」
「他の事務所のライブは?」
「一度もないです」
「興味ないの?」
「そんなことないんですけど……」
「俺が連絡したオーディションは?」
「ええっと」
「今まで何回、行ったっけ?」
「10回くらい」
「違うよ。もう30回以上行ってるよ」
「ああ……」
「ああじゃねぇよ。それで一番手応えのあったのはなんだった?」
「ライブやテレビ番組のオーディションですよね……」
「なんだよ、すーとでてこないの? いつもダメ出しばっかにしても、なんにも思い出せないわけないだろう?」
「はあ……」
「はあ、じゃねぇよ。それでどんな芸人、目指してんの?」
「ふざけてばかりの芸人しか見ないので、目指していると言っても……」
「じゃなんでお笑い芸人やろうと思ったのよ?」
「はぁ……」
「はあ、じゃねぇだろう。資料には、お笑いを目指す切っ掛けはFUJIWARA(フジワラ)さんのようになりたい、って書いてあるぞ」
「マジですか?」
「書いてるだろう、ここに。吉本の中でも、思いっきりふざけちゃっている人でだよ」
「はあ……」
「はぁ、じゃ……。お前もお笑いなんだから少しはふざけろよ。愛想笑いもないのかよ」
「すみません」
 お笑いを目指した頃の希望は、もうすでに薄れてしまって意識の中に上がってこないほどだった。ここ5、6年ではテレビに出演している全ての人に不満をもっていた、しつこいクレーマーと変わってしまったのだ。しかし高橋には、そんな自覚のかけらもなかった。
「年収なんかわかってる?」
「月に7万円前後ですから、年で80万ちょいぐらいですか」
「お笑いだけでは?」
「6、7万ぐらい」
「違うよ。去年は4万円だろう。覚えてないの?」
「すいません」
「すいません、じゃねぇよ。ウチの事務所でお笑いランキングは?」
「最下位です」
「それは覚えているんだ」
「はい」
「お前、やる気あんのかよ」
「はい」
「本気で売れたいって思ってんのかよ」
「思ってます。おふざけでないお笑いでも一周回って売れるんじゃないかと信じてんですけど」
「一周回ってって、お前を中心に世の中の好みが一周する、ってなんの根拠だよ。そんなに努力してやり続けてんのかよ。最近じゃ、アルバイトがあるから、ってオーディションにも行かないのに。それに一周って一回りじゃないだろうな? わかって言ってる? 一回りだったら12年だよ」
「いや、ともかく長い目でみようかな、って……」
「それでクレージー・シュガー、今年で何年目だっけ?」
「8年ぐらい」
「8年ぐらいじゃねぇよ。9年目だろう。しっかりしろよ。林がああだから、お前がちゃんとしてくれないとダメだろう」
「すいません」
「それでさぁ、確認しときたいんだけど、最近アルバイト辞めたって?」
「はい。また、これから探さなきゃいけないんですけど……」
「また探すって、だったら前のところ、なんでやめたの?」
「はあ……」
「お前、なんかしでかしてクビになったんじゃないだろうな? まさかレジの金でもちょろまかしたんか?」
「いや、レジの売上が合わなかっただけです」
「高橋、本当だろうな? 警察沙汰になったんじゃないだろうな?」
「それだけはないです」
「本当か? だったらいいけど。それでさあ、これから一週間くらい空けといてもらいたいんだよ。すぐアルバイトを探さないでさ。社長がめし行こうって言ってるんだよ」
「はい、それは……」
「いつか、日にちも時間もわからないんだけど、午前か午後もわからないんだ。たぶん夜6時頃だとは思うんだけど。社長とめし食いに行くの初めてだろう?」
「はい。初めてです」
「社長のスケジュールが空き次第だから、その時、アパートにいてほしいんだよ。一週間くらい大丈夫だろう」
「それはいいんですけど、その、仕事やってないんで、一週間は厳しいかかな」
「金か。貸してやるよ。一万円でいいのか?」と財布をズボンの後ろのポケットから取り出し一枚引き抜き高橋の前においた。
「貸すんだからな」
「はい」と小さく何度も頷き一万円札を4つに折ってポケットに入れた。
「で、今日からアパートでどうすんの? 先輩芸人がMCやっているバラエティーぐらいは見とけよ。お前の勉強になるかどうかは知らんけどな」
 と、さっさとバインダーを閉じて席を立ち、ミーティングルームからマネージャーの関島は出て行った。
「はい」と、その素早さに、また中腰のまま見送る高橋だったが、「お疲れ様でした」は、ただの独り言でしかなかった。

 陽も陰ってきた歩道を高橋は歩いていた。山手線で渋谷から池袋まで帰って来て、そこでスーパーで買い物をしてから、同じ豊島区の要町まで電車賃を節約するために歩いてアパートまで帰っていくのだ。
 要町に入っていくほど道路や歩道が広く感じるのは池袋とは対照的な賑やかさがないためだ。一週間もたせるためインスタントラーメンや弁当で大きく膨らんだレジ袋を下げて、人っけのないガランとした歩道を歩いていた。
 携帯電話を耳に当てると「ただいま、電源が切られているか、電波の届かない地域にいます」と繰り返した。
「なんで通じないんだ?」
 今日、所属事務所でおこなわれた個別のミーティングの内容を知りたかったのだが、クレージー・シュガー、相方の林には連絡がとれなかった。
「いつもなら『何、言われるんだろう』ってビビって先に電話してくるくせに」
 メールも着てないことを確認すると携帯をズボンのポケットにしまった。
 バイトを首になったばかりの自分ことを相談する気にはなれなかったが、ここ数日、連絡がないと、少しばかりは林の声も聞きたくなっていた。
「まっ、面倒臭くなくっていいか」とほんの少し強がった。







 アパートはいつも雨戸をしないという不用心だったが、都心にあっても夜になると街灯の光はなく真っ暗だった。
 1K、6畳にしては狭すぎるアパートに住んでいることも大きな不満だった。
 鍵を開ける金属音がするとドアが開き、部屋の明かりがつくまで10秒もかからなかった。
 そんな狭い間取りなのに、その半分がCDやDVDがうず高く積まれていた。中古を漁って安く買った物や、先輩からもらった物や、人から借りて返してない物ばかりだ。決してゴミが散乱しているわけではないが、万年床が他の半分を占領して、決して綺麗とは言えない。
 高橋は足元の毛布を蹴って敷布団代わりに使っている白色のマットレスの上にレジ袋をおいた。シーツを使ってないので薄茶のシミがあちこちにあった。
 それでも、まだ部屋の隙間を埋めるようにテーブルが置かれ、その上にCDやDVDデッキとスピーカー、そして19型の液晶テレビが置かれてあった。
 ポケットから携帯電話を出すと無造作にテーブルに置いた。それはテレビのリモコンとぶつかりガチャガチャと音を立てた。そして、おもむろにズボンとTシャツ、靴下を脱ぎ散らかすとパンツ一枚になり、テーブルの前にあぐらをかいた。
 高橋が一人になるといつも勝手に頭の中で繰り返して止まない心の声があった。それは、こういうものだった。

 誰が売れるお笑い芸人かは誰にもわからない。そんな法則があるのなら、芸能事務所は、多くのそれ以外の芸人を所属させないし、それらのマネージメントもしない。売れない芸人は無駄なのだから。
 担当マネージャーにできることは、一人ひとりに努力し続けることを求めるだけだ。時に励まし、時に叩き、飴と鞭を使い分けるやりかただ。次は社長との会食ときた。
 ネタだって同じだ。どんなネタが面白いのかも誰もわからない。もしわかったとしても、それが絶対的にものだったとしても、その法則で作ったネタを笑えないお客が悪い、ということになれば、まさに主客転倒じゃないか。
 しかし、それでもお笑いで一番ウケるのは、ひと目でわかるエキセントリックな人だ。それも演技ではなく、しかも秩序が保っていることが条件だ。誰でも普通ではない希少なものに興味がわく。
 テレビに出たいとか、人気者になりたいとか、金を稼ぎたいとか、なんだかんだと言っても、努力が報われると限らない、そんな世界だ。どんなに本気で売れたいと思っていたとしても……。
 望むのは、お笑い芸人を続けて、その上で多少でも幸せを感じたいということだ。それがどんなに微々たることでも、それがお笑いそのものから外れていたとしても……。








 それで高橋は満足していたのだ。
 レジ袋からのり弁と500ミリリットルの日本茶を取り出し、座りながら自分の前に置くと、それでテーブルは隙間なく一杯になった。
 のり弁当の透明な上蓋を剥がし、据えられている箸の袋を開封して、2つに割って弁当の上に乗せた。箸袋の端を手で探り、爪楊枝の尖っている方で袋を突き立てて半分を出し、いつでも使えるようにと手前に放り出した。と、爪楊枝が突き出た箸袋はDVDデッキに乗っかった。
 弁当を食べだし、ペットボトルのお茶を飲むと、テレビが点いていないことにいまさら気づいた。ペットボトルを置き、左手で携帯の下になったテレビのリモコンをとると、またアルミ枠とプラスティックがガチャガチャと音をたてた。
 リモコンの電源を押すと液晶テレビが午後7時、業界用語でゴールデンタイムという最も視聴率のいい時間帯に当てた番組を放送していた。
 タイトル「 クイズ究極の選択」と共にCGのタイトルがテレビ画面に踊るように輝く。けたたましいほどテンポの早いブラスサウンドが真新しいファンファーレで興奮を誘い、電飾が7色に点滅、スポットライトが交差しサイケデリックなセットを映すと、直接、観覧している50名が一斉に拍手というオープニングだった。
 この19型という画面の小ささも気に入らなかったが、このテレビの色調も、どう調整しても思い通りのコントラストにはならなかった。

「さあ、始まりました。クイズ究極の選択、レベル1です」と高らかに言い放つと番組の司会者がアップになった。
「こいつの何が面白いんだよ。それにしても顔色、悪いなぁ」
 高橋は、この司会者も気に入らなかった。面白くないお笑い芸人だという理由だ。
「司会の雑真亜(ざっまあ)です」
 この名前にしても、それがお笑い芸人だとしても「ふざけ過ぎている」と憤っていた。
「“ざっまあ”ってマーク・ザッカーバーグのモジリだろう。絶対だぜ。ザッカーバーグが苗字だから、それを縮めてザッ・マーなんだろう。Facebook(フェイスブック)の創業者に憧れてんのかよ。調子に乗りすぎて、いつかお前に“ざっまあ”なことがあるんじゃねぇーの?」とブツブツ言いながらのり弁に箸を刺した。
「今日の挑戦者は女子大生のアヤネさんです」
 海苔とご飯は口に運ばれるでもなく、テレビを見ながら高橋は「アヤネ」と、つぶやいた。そして思い出し、はっ、とした。
「究極の選択。賞金50万円か、罰金50万円か、運命を賭けたクイズです。問題は2つ出ますので、すべて正解ですと百万円となります。頑張ってください。  第1問。今日の挑戦者、アヤネさんが欲しい物はどっち。
 A、女優になって大ファンのお笑い芸人とベッドシーンの撮影。
 B、アラサー・ドクター達とのセレブリティーあふれる婚活パーティー、プラチナチケット。
 さあ、どっち」
 挑戦者、アヤネはしっかりとした声で、「Aです」
「Aですか。はい、わかりました。アヤネさんの答えは、A、女優になって大ファンのお笑い芸人とベッドシーン――どうか?」
 ピンポン、ピンポン、という効果音が割り込んだ。
「正解です。実は番組では、事前にある情報を入手しておりました。それは、アヤネさんがかねてから大ファンであった、お笑い芸人に3ヶ月前にナンパされた、というものです。ライブの出待ちで声をかけられたんですよね?」
「いやいや、まさか……」
「そうです」
「俺のことじゃないよな。他にもいるんだろう?」
 お笑い、それもディープな無名芸人好きであり、それは売れることを見越しての青田刈り的な意味があったとしても、そんな多数の内の一人であることは認めるとしても、3ヶ月前という期間もあることだし、自分以外の誰かの可能性もあるはずだ。そう、今はまだ不特定な一人に過ぎない、と自分自身に言い聞かしていた。
「それにしても、アラサー・ドクターとの婚活パーティーよりも、ということなんですか」
「医者よりもお笑い芸人を選ぶって、どんな女なんだよ? おかしくねぇ? 絶対この女の天秤、狂ってるよ」
「セレブリティーな将来よりも、女優になってお笑い芸人と共演という夢を選択しました。それじゃあ、ベッドシーンもリハーサル済みということですね」
 笑顔のアヤネさんがアップになる。
「賞金50万円はアヤネさんのものです」
「ベッドシーンもリハーサル済み、ねぇ……」と高橋は、人事のようにつぶやいた。空腹を忘れたかのようだった。
 第2問。第1問と同じく、アヤネさんが欲しい物は、どっち。
 A、このクイズの賞金総額、百万円。
 B、有名な整形外科医、執刀による女性への性転換手術――どうか?」
「性転換手術? 嘘だろ!」高橋が叫んだ。
 アヤネはきっぱりと、「Bです」
「B、Bでいいんですか? ということは、あのお笑い芸人は、どっちも行く、ということになりますね」
 高橋は目をつぶり、3ヶ月前の記憶を総動員させようとする。
「いやいや、そんなはずはない」
「B、有名な整形外科医、執刀による女性への性転換手術――どうか?」
 ピンポン、ピンポン、という効果音が、またもや割り込んだ。
「正解です。アヤネさんは賞金総額、百万円を放棄しましたが、それよりも数十倍も価値のある性転換手術を、この番組からプレゼントをすることとなりました。そして、この番組のプロデューサーはアヤネさんとお笑い芸人とのベッドシーンに大変興味を持った模様です。今後の展開に注目です。
 このクイズは、挑戦者へのサービス問題でも、ヤラセでもありません。
 アヤネさんは、婚活パーティーでシンデレラになる現実よりも、最愛の人との共演を夢見、また女性として戸籍を変えてでも結婚を望んだのです。
 ということで正解は、常に愛を選ぶこと、なのです。




「女性への性転換手術――まじか?」
 高橋は、司会者の、ざっまあへの不満どころではなくなった。まだ、アヤネのお相手が不特定とは言え、直接関係した1人であることは間違いのだが、今度は人の見る目や、今までの積極的な女性への指向そのものに疑いが出てきたのだ。

 タイトル「クイズ究極の選択』CGと共にテンポの早いサウンドが響き、観覧者たちの拍手。
「クイズ究極の選択、レベル2です」とタイトルコールした司会者・雑真亜(ざっまあ)がアップになった。
「究極の選択。賞金百万円か、罰金百万円か、運命を賭けたクイズです。
 次の挑戦者は、女子大生のユキさんです」
 オレンジ色の華やかなワンピースが目立つが、そんな椅子にかけた女性の顔は、白のスモークガラスに覆われたボックスの中だった。
「ユキ?」その名も、派手好みの服のセンスも、紛れもなく高橋にとって付き合っているという自覚のある現在形の彼女なのだが、顔だけがスモークガラスで確認できなかった。
 アヤネのときは、顔を確認できたことで3ヶ月前を思い出せたのだが、相手の名前がないことで不特定のはずで、自分以外の誰かの可能性が期待できたが、ユキの場合は、顔を隠したことで今、付き合っている彼女でない別人の可能性もあった。
「しかし、こうも2度も続けて『別人の誰かの可能性』などということがあるものだろうか?」高橋は混乱した。

「問題は2つ出ますので、すべて正解ですと二百万円となります。頑張ってください。
「はい」とスモークガラスの中で顔の顎部分が動いたのが見えたが、テレビから聞こえた声はボイスチャージャーによって低く加工されていた。
 高橋は声でもユキを確認できずに宙を仰いだ。
 
 第1問。今日のゲスト、お笑い芸人の彼女、ユキさんが別れたがっている理由とは、
 A、彼氏への信頼がなくなったから。
 B、元カノがブスだったから。
 さあ、どっち?」

「元カノがブスだった?」高橋は嫌気を隠さなかった。
「ユキさんの解答を聞く前に、ここで本日の挑戦者を紹介します。。
 芸歴9年目にしてテレビ出演なしの、お笑いコンビ、クレージー・シュガーの高橋さん」

 すると突然、19型の液晶テレビが高橋の背中と後頭部からの映像に切り替わり、そのテレビを見ている後ろ姿は、合せ鏡のように、画面の中に連続して映しだされ、それはまるでアパートの部屋もろとも、その中に一瞬で吸い込まれていくようだった。
「あーっ!」と後ろを振り返った高橋の顔も連続的にテレビの中に吸い込まれていった。
 画面が切り替わり一瞬、高橋の後頭部が映ったが、テレビを見ようと顔を戻したため画面いっぱいのアップとなった。
「高橋さん」と雑真亜(ざっまあ)が語りかけるが、高橋は口を半開きにさせて目玉を左右に動かしただけだった。
「高橋さん! 聞こえてますよね!」何か言え、とも聞き取れるように怒鳴った。
「はい」と自分の言った声がテレビのスピーカーからも聞こえた。
 また画面が変わるとマットレスに座った半裸の男と、CDやDVDがうずたかく積まれた奥まで映しだされた。
「があーっ!」高橋は驚いてその場で30センチ飛び上がった。
「芸歴9年目にしてテレビ初出演、おめでとうございます」
「はあ……」
「先ほどのクイズですが繰り返しますが」
「えっ?」
「第1問。今日の挑戦者、お笑い芸人の彼女、ユキさんが別れたがっている理由とは、
 A、彼氏への信頼がなくなったから。
 B、元カノがブスだったから。
 さあ、どっち?」
 高橋の頭に「実は番組では、事前にある情報を入手しておりました」というレベル1の説明がよぎった。(そうか全て俺自身のことだったのか)
「さあ、どっちでしょうか?」
(そうか、3ヶ月前じゃぁ、すでにユキと付き合っていたからな。浮気って言われれば、そうだ)
「A、彼氏への信頼がなくなったから。
 B、元カノがブスだったから」
(ええい、もう仕方ない。賞金の百万でも貰ってさっさと終わらせよう)「Aです」
「A、彼氏への信頼がなくなったから、でいいんですね。高橋さん」
「はい」(よし、こい!)
 ブーッ、と効果音が鳴り響いた。
「えっ?」(なんで?)
「不正解です。それではユキさんに答えてもらいましょう」
「Bです」
 ピンポン、ピンポン、という効果音が響き渡った。
「正解です。賞金百万円はユキさんのものです。
 答えは、元カノがブスだったから。先週の放送のアヤネさんのことでしょうか?
 別れる理由としては、よくわからない女心ではありますが、それで自分自身も顔出ししたくない、という心中はお察しします」
「私は、あんなブスじゃないから」
(ユキ本人だ)プライドの高さと怒った感じが彼女そのままだった。
「わかっております。ユキさんは本当に可愛らしい女子大生であることは私が保証します」 
「それにあいつ男だったし。彼氏の元カノがオネエでブスって、私にどんな顔してテレビに出ろっていうのよ。私、お笑い芸人じゃないんですけど」
「あっ、なるほど。それでですね。よくわかりました。
 それでは気を取り直して、第二問です。
 高橋さんがユキさんと付き合った理由とは何でしょうか?
 A、ユキさんがあまりにも可愛らしい女子大生だったから。
 B、遊びに行ったときに一人暮らしのマンションがあまりにも広くて、実家の両親は途方もないセレブだ、と思い込んだから。さあ、どっち」

「A、Aです」(司会者の前フリがあったじゃないか)と高橋は自信を持った。
 ブーッ、と効果音が鳴り響いた。それは一度目よりも大きく高橋には聞こえた。「不正解です。それでは、またまたユキさんに答えてもらいましょう。答えは?」
 「Bです」
 ピンポン、ピンポン、と効果音が鳴った。
 「それでは、こちらのVTRをご覧ください」
 
 高橋はテレビ画面を、さらに目を細めて注視した。
 そこには高橋の漫才コンビの相方、クレイジー・シュガー、林が映っていた。
 VTRにしてもテレビで初めて見る林は、「またやせたか」と思わせる面長な顔で、売れない9年目を物語っていた。
「高橋、高橋、高橋、私は林。クレージー・シュガーと、漫才、漫才です。高橋はイケメンで、イケてる、モテで、モテモテで、オネェにもねえ……」と、ここでVTRが切り替わって雑真亜(ざっまあ)の顔のアップに変わった。
「要点まとめてこちらで書いてカンペにして、それで30回撮り直したんですが、何を行っているのかさっぱりわからなくて、『カンペの字が動いて飛んで行く』って言い訳も全くわからなくて、どうやって漫才やっているのか一度見てみたいぐらいで……。
 で、もうカンペを私が読んだほうが早いので……。ええ、
『高橋とクレージー・シュガーという漫才コンビしている林と言います。高橋は、女にモテまして最近、付き合い出した女の誕生日パーティーに呼ばれたそうで、話を聞くと、恵比寿の3LDKのモデルルームみたいな新築マンションに住んでいて、すごいセレブだった、って行ってました。
 高橋は、金を貸してくれる女か、どうかが、付き合える条件だ、そうで、その額が、愛情の大きさに比例するんだ、って言ってたほどです』
 彼女をセレブと期待したのも、お金を介しての関係づくりが目的だったようで、まさにシュガー並の甘さでしたね。
 正解です。賞金百万円、総額二百万円は、ユキさんのものです。
 クレージー・シュガーという漫才コンビで、お笑い芸人の高橋さんは、本来であれば二問不正解で二百万円の罰金ですが、ゲスト出演のユキさんの活躍で罰金は免れました。彼女には、お礼をしなければならないところですね。であれば、お付き合いを終了したい・お別れしたい、というユキさんのお申し出も、快くお受けください
 アヤネさんはワンナイトラブではなく、今もなお高橋さんと付き合っている、と確信してらっしゃるようで、元ざや、というところで落ち着いてもらえれば、丸く収まるのではないでしょうか。
 このクイズは、ゲストへのサービス問題でも、ヤラセでもありません。
 正解は、常に愛を選ぶこと、なのです。しかし、それを見失ってしまうと、次に待っているのは女性からの復習でしかありません。

 それでも、マーク・ザッカーバーグのモジリが“ざっまあ”という、Facebook(フェイスブック)の創業者にして大天才を引き合いに出してくれたのには驚きましたよ。
 高橋は右手で両目を覆った。

 タイトル「クイズ究極の選択』CGと共に、さらにテンポの早いサウンドが響く。続いて観覧者たちの拍手。
「クイズ究極の選択、レベル3です」とタイトルコールの司会者・雑真亜(ざっまあ)がアップになった。
 次の挑戦者は、新芸プロモーション、大森社長と、クレージー・シュガー担当、関島マネージャー、そして先ほどVTRで出演したクレージー・シュガー、林さんです。えー、林さんはなるべく声を出さないようにお願いします」
 左端に座っていた関島マネージャーが相変わらず神経質そうに振り返って後ろに立っていた林を睨んだ。その横で大森社長は小太りで、それでも茶色のスーツのボタンを外さずお腹をつきだして腕を組んで座っていた。
「究極の選択。レベル3の賞金は、レベル1でのアヤネさん希望のベッドシーンの制作費全額です。

 それでは、第1問。アヤネさん希望のベッドシーンとは、
 A、アヤネさんと高橋さんが現実に結婚を前提に交際する2時間スペシャル、ドキュメンタリーの1シーン。
 B、この番組ではありますが、スピンオフ(副産物)、ネット配信だけの10分もの。
 C、高橋さんは出演辞退で、急遽アヤネさんの性転換手術ドキュメントに変更。
 さあ、どっち?」
「CってA、Bだけじゃないのかよ」と思わず高橋はテレビに突っ込んだ。
 林は「なるべく声を出さないように」と釘を刺されたのだが、「2時間スペシャルすごい。俺も出たい」を何度もブツブツつぶやいて、その場をクルクルと回っていた。
 関島マネージャーが少し前のめりになって「Aです」と答えた。
 大森社長が腕組をしながら3回頷いた。
「Aって……」と高橋はのけぞった。もう弁当どころではなく、その場に立ち上がり敷布団代わりのマットレスの上を行ったり来たりしだした。
「それではクレージー・シュガー高橋さんに答えてもらいましょう。
 レベル3、第1問。アヤネさん希望のベッドシーンとは、
 A、アヤネさんと高橋さんが現実に結婚を前提に交際する2時間スペシャル、ドキュメンタリーの1シーン。
 B、この番組ではありますが、スピンオフ(副産物)、ネット配信だけの10分もの。
 C、高橋さんは出演辞退で、急遽アヤネさんの性転換手術ドキュメントに変更。
 さあ、どっち?」と、さっきよりも強い口調の雑真亜だった。
 高橋は動きを止めてテレビに振り返る。
「だって男なんだろう、相手は? 無理じゃん」雑真亜に聞こえないように小さくつぶやく。
「さあ、どっちですか?」とせっつく。
「C!」と力んだ。
 ブーッ、と効果音が鳴り響いた。
 大森社長と関島マネージャーが一斉に「ああろっ!」と落胆し、しかめっ面でのけぞる。
「不正解です」
 林が焦って社長たちの前に出てきた。
「高橋、高橋、大丈夫、大丈夫。アヤネさん、アヤネさん、整形だから。整形、ブスが治るから」
「整形じゃないんだよ。性転換手術。美容整形じゃないから」と関島マネージャーが大声で訂正する。
「えっ、ブスのまま?」
「ブスじゃねぇだろう」と、たまらず高橋が口を挟む。
「そこんところは関係がないようです。で答えはC、不正解でした」と雑真亜が収めた。
「だって、オネェって男でしょう」と高橋は説明した。
 しかめっ面の大森社長がたまらず口を開いた。
「だから性転換手術で女になるだろう! 男じゃないんだよ。女なんだよ。こいつらわからねぇ奴らだな」
「いや、どうしたって不正解ですから」と雑真亜が言い争いを終わらせようとした。社長とマネージャーはがっくりと肩を落としてうなだれる。
「えっ、お二人は高橋さんの考えを変えさせたいと思ってらしゃるんですか?」
「もちろんですよ」大森社長が意気込んだ。
「数分で説得できます」と関島マネージャーが当然のように言った。
「しかし、ここはクイズ番組なので、クイズでの決着となります。
 それでは第二問。テレビ初出演にして、キー局のゴールデンタイム、二時間スペシャル番組を断った高橋さんですが、
 A、この独断の責任をとってクレージー・シュガー、新芸プロモーションを解雇。
 B、考えなおし性転換手術して女性となったアヤネさんと交際する。
 さあ、どっちでしょうか? 高橋さん、お答えをどうぞ」
「俺も」と自分の顔を指差し驚嘆する林。
 声を押し殺して「うるさい。しゃべるな」と振り返っる大森社長。
「高橋、答え次第では10年目はないと思えよ。これが社長や俺の最後通告だ」と担当マネージャーとして言い聞かせるように訴えた。
 テレビ画面が関島のアップとなる。
 アパートの一室で高橋は、今、パンツだけの半背に気づいて、脱ぎ捨てた靴下を履き、ズボンに足を通してチャックを上げ、Tシャツを着て、テレビ画面に星座をした。
 社長がテレビカメラを指さして一歩前に出た。
「お前らに一体何ができるんだよ。今まで何をやってきた。こいつを見ろ」と林を指差す。
「大物社長」今日、初めて聞いた苗字だったが、「大森だよ」と本人に怒鳴られた。
「しかしユキと付き合っているのに……」と高橋は、まだ納得がいかない。
「『別れたがっている』って言ってただろう。そっちは、もうお終いなんだよ」大森社長は、もういいかげんにしろ、というように頭を振った。
「ネタが面白いんだったらいいんだよ。それだけで10年目はあるよ。しかしお前らのネタ、誰が笑うんだよ。一番、ウケたのは、二人でネタが飛んで頭が真っ白になってパニクった時だろう。それでもいいんだよ。ハプニングでもいいんだよ、ウケれば」関島マネージャーはクレイジー・シュガーの10年目を望んでいたのだ。
「さあ……」と雑真亜が静かに割り込んだ。
「実は大森社長は、テレビ初出演のお笑い芸人が、それも主演での2時間スペシャル番組を断りはしない、と自信満々でした。それで企画が進行してきたのですが、それがポシャったとすると、今までの撮れ高は全部、無駄となり、結構な制作費の赤字が発生してしまいます。万が一のリスクでしょうが、それを新芸プロモーションが請け負う、という約束で番組は進行しています。もしも万が一のリスクが発生した場合には、大森社長とその事務所の存続が一転、危うい状況に陥るでしょう。あなたの一言で、クレイジー・シュガー林さんだけではなく、所属する多くの芸人やタレントの今後も左右されます。と同時に、テレビ初出演は雲散霧消し、この収録のVTRは倉庫に眠りお蔵入りです。オンエアしません。これは生放送ではないんですから。
 もう問題は繰り返しませんよ。高橋さん、最終問題、A、Bどっち」
 高橋の見ていたテレビ画面に『B、考えなおし性転換手術して女性となったアヤネさんと交際する』というテロップが映しだされる。
「B、考えなおし性転換手術して女性となったアヤネさんと交際する」と、それを読む高橋。
「新芸プロモーション、大森社長、高橋さんの答えは正解でしょうか?」
「『B、考えなおし性転換手術して女性となったアヤネさんと交際する』正解です」
 ピンポン、ピンポン、という効果音が割り込んだ。
 カメラがゆっくりと雑真亜を写し、その顔がアップとなる。
「クイズ究極の選択はクイズ番史上、完全ドキュメンタリーとして企画され放送を続けて参りました。そして次回は、アヤネさんと高橋さんが現実に結婚を前提に交際する2時間スペシャルを放送する予定です。
 このクイズは、挑戦者へのサービス問題でも、ヤラセでもありません。 
 正解は、常に愛を選ぶこと、なのです。
 それではクイズ究極の選択また来週です」雑真亜が手を振ると、「はい、OKです。お疲れ様でした」とフロアーディレクターの声がかかった。
「社長、お疲れ様でした」と雑真亜が先に右手を差し出して握手を交わした。
「いやあー、ありがとうございます。最後でとんでもないことになるところだった。それにしても高橋で大丈夫ですかね」
「大丈夫でしょう。なんせ考え抜いて出した答えが間違っている方が、面白いんですから」
 技術のスタッフが出演者のピンマイクとワイヤレスのトランスミッターを3人で外しだす。と、大道具のスタッフ、5人がセットを解体しだす。
 雑真亜と大森社長が並んでスタジオを後にすると、その後ろから関島マネージャーが付いて行く。林はテレビの収録スタジオが名残惜しいのか、四方八方をキョロキョロしながら関島の後ろを付いて行く。

 高橋はアパートでテレビの前にまだ正座していた。テレビ画面は、すでに砂嵐状態で、音声だけが「ざーっ」と嫌な音を立ててた。そんなとき、玄関のドアの鍵を開ける金属音と同時に、6人の男たちが一斉に中に雪崩れ込んでくる。
「お疲れ様でした。アパートの大家さんには事前に許可とってありますから」とディレクターらしき男が遠慮無く高橋に声をかけた。後の5人が一斉にマイクロカメラとワイアレスのトランスミッターを取り外し、持ち込んだケースにしまった。
 高橋に声をかけた男は、液晶テレビの音声と映像の出力からコードがついたプラグを引き抜くとそれに接続していた機材を取り出し、他のスタッフに渡した。まさに勝手知ったる他人の家よろしく、テレビのリモコンを手に取るとドライバーで分解すると、ポケットから同じ形のリモコンの機械部分をはめ込んで組み立てた。
それで地上波ボタン押すとテレビは砂嵐から通常の番組に変わったる
「これで普通に見られますから」と部屋を出て行こうとする。もうスタッフの大半は作業を終えて部屋を出て行った。
「カギ、カギ」と相手に忘れ物があるかのように高橋は最速した。
「これ? スペアーキーは関島マネージャーから借りたものですから」
「借りたものって……。まだなんかあるの?」
「高橋さんのスペシャル番組は始まったばかりじゃないですか。じゃあ、おお疲れ、っす」と男は出て行った。
 高橋は、テレビスタッフたちの無遠慮な図々しさをなんとも思ってはいなかった。腹が立つどころか、こんなもんだ、と理解していた。そして意識的でも能動的にでもなかったにせよ、一仕事終えた充実感に浸っていた。
「芸能界は、こんなもんだ」と理解した。

 高橋は左向きに背を丸めて寝ていたが、雨戸を閉めてないため強い陽差しに目が覚めた。状態をお越し、テーブルに目をやると、汚らしい食べかけの弁当と、その右隣に携帯が14時23分と表示をしていた。
「なかなか眠れなかったから……」にしても西陽に起こされたことで時間を無駄にしてしまったように思えた。
 携帯の下からテレビのリモコンを取り出し、ガチャガチャと音を立てながら電源ボタンを押す。情報番組の放送をぼーっと見ていると、あっと気づいて液晶テレビを両手で持ち上げ横にして映像と音声の端子を確認した。なんのプラグも差し込まれてなかった。リモコンで映像に切り替えてもなんの映像も映らず黒いままだった。
 テレビを元に戻して立ち上がると、部屋の隅から手探りでマイクロカメラを探したが何も見つからなかった。高橋は、しばらく呆然として何をするべきか考えつかなかった。昨日のことが、まさか夢だとは思わないとしても、なんの証拠も残ってないのだ。
 携帯を取っても、なんの着信履歴もメールもなかった。ライブで見かけた芸人が初めてテレビ出演したときなど何度も電話かけてきたので電源をきったほどだったのに、林自身がスタジオで収録していたにも関わらずなんにも言ってこないことがいぶかしかった。

 15時には情報番組を見ながらカップラーメンが出来上がるのを待った。食べ残したのり弁当の箸で出来上がったラーメンをすする。干からびたご飯をすくって食べ、ラーメンのスープで流し込んだ。
 21時にはバラエティー番組を見ながら、焼きそばパンを食べ1リットル紙パックのレモンティーを飲んだ。
 22時になっても林からも事務所の関島マネージャーからも、なんの連絡もなかった。そんな変な孤独感が続くと、テレビをつけていても、自分の深い溜息が聞こえた。
 0時。
「まただ。昨日と同じだ」眠れなかった。今まで仕事も全くなかった高橋は関島マネージャーに自分から直接電話をしたことがなかった。自分が出演するであろう2時間スペシャルの収録について、または社長からの食事の誘いはあるのか、と聞きたいのだが、電話をしていいものか判断できなかった。

 テレビ収録後の充実感は、緊張から開放された安堵感程度のものだった。ただ仕事が終わった実感を感じていたかったのだが、高橋自体なんともいえない不確かさを無視できないでいた。時間が過ぎるごとにお笑いのプロである自信がなくなっていきそうに感じた。
 そこで高橋は、今度は意識的かつ能動的に自分が行うことで心より満足できるはずのいつものことを実行した。地下鉄と山手線を乗り継いでユキが住んでいる恵比寿のゴウジャスなシティーマンションにやってきたのだ。
 玄関入り口のモニターホンで最上階の801号室を入力した。
「はい。あっ!」と来客のモニター映像を確認したユキの声がした。
 都内で遊んだ時に何度か寄ることもあったので、さほどのサプライズでもないのだが、テレビ・デヴューし将来を約束された若手お笑い芸人と本気で別れるはずはない、と自信を持っていた。
 待つまでもなく電子音と共に透明のドアが開いた。
 お笑い芸人10年目は確実に迎えられる。2時間スペシャル番組が明るい将来を約束してくれる。そして彼女は俺と別れないはずだ。ユキが俺にまた自信を与えてくれる。
 これが高橋にとっての唯一の幸せなひとときなのだ。





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http://rental-ak.com/rental/rental-item/av/1242.html
SHUREの800MHz帯ワイヤレスピンマイクセットです。
1台で2チャンネルを使用できます。
チャンネル設定は、ボタン1つで簡単にできます。

    仕様
ID     1242
サイズ     受信機:W39×D12×H4
仕様・その他     SHURE PG88/PG01 800MHz(B帯10ch)
付属品     チューナー受信機(1機)、送信機(2機)、ピンマイク(2本)、クリップ(2本)



http://unknownvideo.info/?p=2187
ワイヤレスピンマイク「ATW-1701/L」

送信機と受信機のペアリングや録音レベルの調整などの操作も簡単で、このような機材に扱いなれていない人でも楽に扱えるかと思います。

私は一眼レフに取り付けて使っていますが、それもステレオケーブルで繋ぐだけです。特に一眼レフの備え付けマイクは性能がそこまでよくないので、これだけで音質は格段に向上します。

ワイヤレスピンマイクはこんな時に便利
私が実際にワイヤレスピンマイクを使ってみて便利だなと感じるのは以下のような状況の時です。

・街中やイベント会場など人が大勢いるときでの撮影
・カメラ(マイク)と対象者の距離が遠い状況での撮影

いわゆる雑音が多い環境や、カメラマイクでは音が拾えない状況であっても、対象となる人にワイヤレスマイクを付けてあげるだけで、きちんと音声を録音することができます。

YouTube用の動画を撮影する時に、出演者2人の音声を雑音の多い場所でもクリアに録音しようと思って購入したのですが、実際に2人の音声をクリアに収録することができました。



 ただのテレビだと思って見ていたのがワイヤレス送信機からの映像を受信するチューナー受信機だった、という話。
 盗んできたか、知らない誰かに貰ったか、という代物。
 チューナー受信機には人を殺害する映像が写っている。殺人の映像だ。
 ハードディスクが入っているようで、DVDデッキのリモコンで巻き戻しや再生ができる。
 その翌日、テレビのニュース番組で猟奇的な殺人事件が報道される。男は新聞を買うと事件の住所を見て、現場に行く。
 警察車両と警察官がマンションの入り口に立って住居人以外を入れないように封鎖をしている。
 その左右の歩道にメディアのニュース記者たちや、キャスターでの解説を写していたりしている。
 男は「テレビの人?」と聞いてディレクターと接触する。そして「自分は犯人を見た」と言い出す。

 午後のナマの情報番組に男は出ていた。そして犯人の人相を言う。ビデオを見ていたので、それは正確だった。
 男の希望通り出演料はその日のうちに出た。
 帰宅したのは夜だった。高額な出演料に思わず近所のい゛かやで飲んでいい気分だった。

 でテレビをつけると、男のアパートの外に犯人がいて、男のアパートを写していた。という話。

 面白くするのどうしたらいいか?

お迎え


メリットゼロ

・スーパーに泥棒が入る。閉店後の深夜に、いつもの侵入口が開かないので諦めかけたのだが、裏口が開いていたので除くと誰もいない。入るとめぼしいものはテレビしかないので、電源コードを抜いて持ち去った。
・警備員は店内を懐中電灯を照らして巡回警備をしていたのだが、警備室に戻ってみると監視カメラからの映像を映すワイアレス受信機内臓のモニターが無くなっていた。
 後輩に「ドアを閉め忘れたんだろう、何やってんだ」と責めるが、本社に報告しないようにしよう、と言いくるめる。
・泥棒は自宅に戻ってテレビをつけてびっくりする。それはテレビではなく、監視カメラの受信機だったからだ。
 映像は、あのスーパーであることは一目見てわかったが、朝が開けてきたので電源を消して寝ることにした。
・深夜になると習慣のように監視モニターを見ていた。警備員の巡回警備が頻繁になっているように感じたが、そんな真面目さは4日も続かなかった。
・ある日の深夜、監視モニターを見ていると、泥棒が入ってくるのが見えた。それも自分と同じ侵入口からだった。「こいつは俺の侵入口を利用していたのか。俺の知らない開閉方法をで閉めだされたんだ」と理解した。それでスーパーに行って「どうやって開け閉めしているのかを確かめよう」とした。
 最初のやり方は、サッシの窓の鍵を硫酸で腐食させる方法だった。しかし次の泥棒のやり方は、そのサッシを締めるために小さな同じアルミ板をカンヌキのように挟んで止めてしまうものだった。
 泥棒が戦利品を抱えて帰った後、それを確認してドアを開けることができるのを確認後、その小さいアルミのカンヌキを挟んでしまったことも確認した。
・自宅に戻ると「俺が作った侵入口から、その俺を閉めだしやがった」と立腹。仕返しを誓った。
・スーパーの開店後、店長を呼び出して「泥棒が入ってますよ」と忠告した。
「私には超能力が備わっており様々なものが見える。深夜にここに泥棒が入ったはずだ」
 店長は一応、お互いの連絡先を交わし、そのことを社長に告げた。
 社長は警備会社がわからなったことに憤慨し、それを超能力者が知っていたので簡単に信用してしまった。それで「また泥棒が入ってくることがわかったら連絡してくれ」と超能力者に頼んでくれと指示し、礼金も約束した。

・店長から、そんなことを聞き、泥棒は警備員と変貌した。閉店後、深夜になるとモニターから目が離せなくなる。
 そして2週間が過ぎたとき泥棒が侵入してきた。泥棒は早速、店長に連絡した。その時、自ら名乗った名前が「天野匠」。

・店長から連絡が貼った社長は、住まいのビルの最上階から一回のスーパーに降りてきた。180センチ100キロ以上ある社長は泥棒を捕まえる気満々で、そして捕まえて警察に引き渡した。
 捕まった泥棒は、サッシを壊したことや過去の被害まで背負わされてしまって、元々の泥棒の罪は消えてしまった。
・社長は警備会社と警備員に激怒し契約を破棄した。今後は超能力者に期待して礼金を奮発した。警備会社の年間契約に比べるとはした金だった。
・これからも超能力警備を依頼された泥棒だったが、警備会社が撤退しても監視カメラは撤収されてなかった。システム費のものはスーパーで設置していたもので、警備員はただの派遣だったからだ。
・泥棒はこれからも近所のスーパーの警備員として深夜、働かざるをえなくなった。







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 チェーン店が多い中、個人経営の大型スーパーマーケットがあった。
 地域の住人に長年利用してもらっているだけに、歴史を感じるほどの古い鉄筋コンクリートの建物が、厳しい商戦の中、生き残っていた。
 1階は、青果、食料品、調理済み商品、台所・洗面、浴室商品などの陳列とレジ、裏には仕入れ搬入口と警備室、そして倉庫と調理室があった。
 2階は、衣料、靴、寝具、小物雑貨などの陳列とレジ、その裏には倉庫と従業員の更衣室と休憩室があった。
 3階は、大部屋の事務室と会議室が3つあったが、社長室はなかった。店舗拡大を考えてなかったので店長と複数の専門管理責任者を置くだけの組織で、社長は大部屋の事務所の奥で陽が沈むまで伝票をチェックしていた。
 最上階の4階は社長とその家族たちの住居となっていた。
 住宅の多い地域であるほど、夜遅い帰宅する人たちのために、どうしても夜11時までの営業が必要だったが、閉店は店長に任せきりで、社長は6時には自宅のある4階に帰っていた。
 深夜ともなると歩道の街灯だけで、スーパーの玄関口前の自転車置き場は、より暗く冷たく感じた。

 スーパーの裏には3階建てのアパートがあった。やはりスーパーに劣らないほどの古さであり、街灯から避けられたように、さらに暗かった。その1Kのアパートの窓から見える景色といえば、スーパー専用駐車場と、裏口にあたる仕入れの搬入口などであり、日が落ちてからの明かりといえば警備室から漏れるわずかな照明だけだった。
 そのアパートの一階、一番日当たりの悪い奥の部屋に、もう50歳も過ぎた頃の痩せぎすの男が住んでいた。その男は、どの住人とも会うことがない時間――たいていの人たちが出勤して残っていないような――8時頃に部屋を出て午後の1時頃には帰ってくるという日常だった。だから住人の誰とも挨拶はしなかったし、挨拶されても返事を返すということがなかった。何年ぶりかで見かけた住人でも、どんな仕事をしているのかもわかないが、確かに薄暗い湿気の多いそこに住んでいる、としか言いようがないばかりか、その風体や挙動が明らかに一般とは違うことに異質さや奇異さしか感じられなかった。

 スーパーの裏には3階建てのアパートがあった。やはりスーパーに劣らないほどの古さであり、街灯から避けられたように、さらに暗かった。その1Kのアパートの窓から見える景色といえば、スーパー専用駐車場と、裏口にあたる仕入れの搬入口などであり、日が落ちてからの明かりといえば警備室から漏れるわずかな照明だけだった。
 そのアパートの一階、一番日当たりの悪い奥の部屋に、もう50歳も過ぎた頃の痩せぎすの男が住んでいた。その男は、どの住人とも会うことがない時間――たいていの人たちが出勤して残っていないような――8時頃に部屋を出て午後の1時頃には帰ってくるという日常だった。だから住人の誰とも挨拶はしなかったし、挨拶されても返事を返すということがなかった。何年ぶりかで見かけた住人でも、どんな仕事をしているのかもわかないが、確かに薄暗い湿気の多いそこに住んでいる、としか言いようがないばかりか、その風体や挙動が明らかに一般とは違うことに異質さや奇異さしか感じられなかった。

 スーパーの裏手にある警備室では、夜8時から朝8時までの12時間、夜警が一人で勤務していたが、今夜から2日間だけ新人が研修のために来ていた。
 先輩の警備員は後輩に、壁にかけられた11の鍵をチェックすること、また閉店になったらそれぞれの扉の施錠が完全であるかのチェック、そして9画面に分割された監視カメラのワイヤレス受信モニタと、映しだされている個々の店内を図にした張り紙の説明をしていた。
 夜も11時をすぎれば閉店され客が帰ったところで玄関の施錠が店長によって行われる。青果や鮮魚、精肉などの責任者が冷蔵倉庫に売れ残った物をしまい、レジでは担当者が売上金を集計する。
 店長は売上金とレジ金を回収し、近くの夜間金庫に専用のバッグで投入して営業終了となる。3階の事務所では伝票が整理され、客数や単価、売上などがパソコンに入力される頃になると、売り場の責任者たちも作業を終えて事務員と同じ時間帯に帰宅した。
 店長は携帯で最上階の社長に閉店を告げて、最終的に倉庫と出口の施錠をして、警備室に鍵を戻した。
「お願いします」と警備員に言い残し疲れた顔で帰宅した。深夜1時であった。
 2時、施錠確認などの店内巡回が終わって警備室に二人が戻ってきた。人仕事終えた気分の先輩警備員が、あとはこいつがいるからいいや、と思っていた。
「俺よう、コンビニで朝飯、買って来るから、お前、ここでモニター見といて」
「はい」
 先輩警備員が出て行くと、後輩はしばらくは監視モニターを見ていたが、閉店スーパーの非常灯とダウンライトという薄明かりの中の無人の店内は、静止画を見ているのと同様ですぐに飽いてしまって、30分が過ぎると携帯をいじりだした。そればかりか、次第に落ち着きがなくなると、パイプ椅子から立ち上がった。
「あれ? 誰もいないんじゃモニターをつけているのは意味がないな」
 深夜の孤独な中、意味のない独り言を言いながら、モニターの電源を切ると、外室の出入口とは反対の店内に向かう側のドアから出ていた。


 スーパーの正面では歩道を行ったり来たりする挙動のおかしい黒尽くめの男が入り口ではなく、もっと薄暗い駐輪場のスペースの奥を伺っていた。辺りを伺うと通行人がいないのを確認し駐輪場に入り込んだ。そこからまっすぐ行くと突き当りのスーパーの大きなサッシ窓に近づいた。振り向き人が見当たらないと、両手に安物のビニール手袋をはめ窓の端に指をかけて開けようとした。だが大きなサッシ窓はそのままだった。
「あれ?」開かないのが意外だとでもいうように男は驚いた顔をした。
 男は窓から離れ、そのまま右手に回り込んでスーパーの裏手、自分のアパートの方向に歩いた。三階建てのアパートが見えた時、ふと左に首を向けると、警備室の明かりが普段とは違って見えた。ドアが完全に閉まっていなかったのだ。
 男はここでも辺りを伺い誰もいないことを確認すると、足を忍ばせて近づき、ゆっくりとノブをを回してドアを2ミリほど開けてみた。中には誰もいなかったが黒く何も映っていない大きなモニターがあった。男は速やかに警備室に入るとポケットから黒いゴミ袋を取り出すとモニターをすっぽりと入れてしまった。リモコンも、コンセントから抜いた電源も入れて、大きなそのゴミ袋を抱えると、そのまま警備室から出たのだが、今度はドアを完全に閉める丁寧さを見せた。すると今度は足早に男は右手で抱え込んだ長方形のゴミ袋ごと自分の住まいがあるアパートの中に消えていった。


 警備室では、やっと後輩の研修警備員がトイレから帰ってきた。店内で入り口を閉めるといつもの事務机に座ってまた携帯を操作しだした。
 それから10分が過ぎた頃に外出用出入口のドアが2回ノックされた。ドアに目を向けて研修警備員は「えっ?」というような顔をした。(先輩だったらそのまま入ってくるんじゃないのか? それとも全く知らない誰かか?)研修警備員は立ち上がり恐る恐るドアを開けた。外には先輩が立っていた。
「ああ……」としか言えず、すぐ視線を外して元の席に座った。
 手にコンビニ袋を下げて帰ってきた先輩警備員は、ドアを閉めて警備室に向き直ってから一歩も動けなかった。
「監視モニターは?」
 今日が初めての研修日であった後輩警備員は一瞬、何を行っているのかわからなかった。
「ここに監視モニターがあったろう。俺が『見とけよ』と言ったろう」
「ああ、ああ……」とやっと思い出した。「あれ、ないですね。どうしたんですかね?」
「『どうしたんですかね』ってお前が警備室にいたんだろう。お前しか知らないだろう」
「いや、ちょっと、さっきトイレに行ってて……」
「ドアの鍵はしたんだろう? していると思っていから帰った時にノックしたんだけど……」
「したかな?」
「『したかな』って、深夜も2、3時になって鍵もしないで一人でよく要られるな。お前にとって鍵を閉めるとか開けるって習慣じゃないの?」
「いや、おれここ初めてだし……」
「お前、警備員なんだぞ。留守番もできやしないじゃないか。いったいどうすんだよ、あんなにでかい監視モニター無くなって……」
「監視モニターって何台もカメラから線でつながって固定されているもんじゃないんですか?」
「馬鹿野郎! 何年前の中古品のことを言ってるんだ。あれはワイヤレス受信機内臓のモニターだったんだよ。まったくなんにも知らないんだな。しかしまずいぞ、監視モニターがなくなりました、なんて。本当に、全部、お前のせいだからな!」
 そう言われると研修警備員の顔が青くなっていった。

 男はアパートの部屋に戻ると早速、黒のゴミ袋の上下を確認してテーブルに置くと恭しく、そのビニールを引き上げた。テレビモニターが半分ほどあらわになるとひかかっていたリモコンがテーブルに落ちてプラスティックがけたたましい音を出した。ハッとし思わずリモコンを手で抑えた。電源ケーブルをコンセントに差し込んでリモコンの電源ボタンを押すと見慣れない9画面の映像が映った。
 男は意外な顔をしてリモコンを見たが地上波と書かれたボタンはなかった。仕方がないので1のボタンから順に押すと9画面が1つの画面に変わったが、それはテレビ番組ではなかった。だがよく見ると、それはさっき行こうとしたスーパーの玄関入り口、自動扉と青果売り場であることに気がついた。
 2から順番に押すとスーパーの店内全域が見ることが確認できた。
(これは防犯用の監視カメラを受信するワイヤレス監視モニターなんだ。こことスーパーは100メートルも離れていない。それで……)
 それから男はリモコンに付いているボタンを押しまくり、その機能を知ろうと熱中した。自分の盗んだ、この30型ほどの大きなテレビがいったいいくらで売れるのか、ということを忘れさせるほどだった。
 男は30分ほど画面をリモコンで切り替えていたが、9画面の左下、レジ付近の客が袋詰をする台付近に人影を見つけた。さっと自分が開けようとした大きなサッシの窓だった。
(開くはずはない)だがサッシはあっさり開いて一人の男が窓から身軽に侵入した。男はこの時、全てを察した。
(こいつは以前、俺がここから盗みに入ったことを目撃していたんだ。営業中に窓の錠の薄い部分に希硫酸を少量たらし腐食させて壊し開閉できるようにした。そんな俺の苦労を無視して俺を閉めだし、代わりに獲物を横取りしようとしてるんだ)男はいても立ってもいられなくなり、立ち上がると部屋を出て行った。
(あいつはもう中に入っている)そう思い侵入口にやってくると、あの姿がそこには、もういないことを確認した。
(奥で物色しているんだろう)すると男は隣接するビルの隙間に隠れ、侵入口から出てくるのを待った。
(どうやって窓を開かないようにしているんんだ?)そのことを確かめたかったのだ。
 しばらくして、ようやく戻ってきた不法侵入者は、黒のナイロンのボストンバックを抱えてやってきた。侵入口の窓を音もなく開け、乗り越えると外からゆっくりと閉めた。そしてズボンのポケットから何かを取り出し、窓枠の中央下に差し込み窓が開かないことを確かめると、周りを気にするでもなく何事もなかったように足早に立ち去った。
 男は何度もその背中が見えなくなるのを確認してから、侵入口の窓に戻ってきた。そしてポケットから取り出した手袋をはめてサッシの枠の中央下を見ると、2つの窓と下の枠の3つにクサビを打ったような金属があった。男はそれを指で掴み外した。それで窓が開くのが確認できた。見たこともない手製の金属の加工品であることが分かった。もう一度はめ直すと窓はびくとも動かなくなった。
(これだけのものを手作りするとは、なかなかの腕だな)しかし自分が利用されてしまって上前をはねられた悔しさは忘れることができなかった。
 男は侵入者が逃げて行った方を追っかけた。すでに姿はなかったが黒の大きめなナイロンバッグを肩がけしているので、深夜の人通りの少ない歩道では見逃すことはないと自信を持っていた。
 すでに侵入者は2つの通りを抜けて路地に入って行った。慌てて男は赤信号を無視して2車線の通り渡って路地に向かった。
(これを見逃していたら、まかれたところだった)と自分の運を信じた。
 二人がすれ違うことができる路地を右や左に曲がると、これもまた古びたマンションに侵入者が入っていった。男は外でマンションの全体を眺めていると2分もかからず一つの部屋の明かりがついた。一緒に入り込んで足音で気づかれるよりも、昼間に再度来て部屋番号を確認するのが男のやり方だった。
(あいつをこれから、どうしてやろうか)と1つだけ明かりのついた3階の角部屋を眺めていた。



 朝8時45分になると店長が出勤してきた。銀行から夜間金庫用バッグにレジ金だけを受け取って来たのだ。警備室とは別の従業員専用の出入口をキーで開けた。しばらくすると、そこから次々に従業員も出勤してきた。
 担当部署の責任者の指示の下、従業員たちが商品を並び終えると、店長が玄関の自動扉の鍵を警備室に取りに来た。
「おはよう」と声をかけ、壁に取り付けたフックから鍵を取ったのだが、何か違和感を感じた。
「んっ? なんか模様替えでもした?」
「ええ、ちょっと」咄嗟に先輩警備員が言った。
「んーっ」と店長は客が待っている玄関入り口に急いだ。
 まるで、俺がかばってやった、と言いたげに先輩が睨むと、後輩の研修警備員が不満気な顔を悟られないようにとうつむいた。







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