数多くの有名作家を輩出してきた江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催)は、セミプロ級の応募も多く、公募ミステリー賞の最高峰とも呼ばれている。第56回受賞者となった横関大(よこぜき・だい)さん(35)は、静岡県富士宮市職員。連続応募8回目に加え、最終選考にも過去3度残った乱歩賞の常連だ。8年越しの“大願成就”だが、「最終選考に鍛えていただいた」とあくまで控えめだった。(三品貴志)

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 受賞作「再会」(「再会のタイムカプセル」を改題)は、タイムカプセルに埋めた拳銃(けんじゅう)をめぐって、23年前と現在の事件が絡み合うミステリー。選考委員の東野圭吾さんは「肩の力を抜いた自然体で、今自分に書けるものを一生懸命書いている」と称賛する。

 東野さんは最近の傾向について、「社会問題や特殊な職業、専門知識を盛り込んだ方がいいという賞の『迷信』を意識した応募作が多い」とくぎを刺す。そんななか、受賞作は「感情移入できるような等身大のキャラクター作りを心がけた」という作者の狙いが奏功したようだ。

 横関さんは大学卒業後、約5年にわたって東京都内でアルバイトをしながら作家を目指していたが、母親から願書が送られてきたのをきっかけに、公務員試験の受験を決めたという。地元に戻り、市職員として勤務する傍ら、「やるなら一番大きな新人賞を」と乱歩賞への応募を始めた。

 帰宅後の2、3時間を執筆に充てる生活を「いいペースだった」と淡々と語るが、「最終選考に何度も残ったことが僕にとっての運命だった」と8年の“支え”に思いをはせる。特に2年前の落選時、東野さんの「殺人がなくてもミステリーは書ける」という選評を読んだことは今作の着想につながったという。

 「東野先生の予言から始まった。『誰がうそをついたのか』というミステリーを書けないか、と思ったのが出発点だった」

 講談社担当者は「4度の最終候補は過去20年くらいの最多記録といっていいのでは」と、新人作家の継続力と実力に太鼓判を押す。だが、本人は「8年間も小説ばかり書いているので…これが趣味かなと思います」とあくまで謙虚だ。

 「人間の感情の動きに注意を払って『人を書く』ということをしていきたい」と語る肩の力を抜いたデビュー作を期待したい。

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 受賞作は8月上旬、講談社から刊行予定。

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