1月18日  (火)

かって下宿した同じ建物に,お婆さんが二人住んでいた。 一人は、
一方のお婆さんの亡くなった主人の姉であったが、二人はどういう
わけか仲が悪かった。

主人の姉にあたるお婆さんは、未婚であったが、息子いた。しかし
この息子は、ソビエトの戦線で戦死をした。 部屋に息子の写真を
飾ってあったが、お婆さんは 写真を見るたびに涙を流した。 この
お婆さんも、最後にはもうろくして頭がおかしくなり、同じ村に住
んでいた弟に引き取られた。

一方のお婆さんにも一人息子がいた。主人が亡くなった後、息子
が借金をして、お婆さんは家を手放すことになった。 こうして
お婆さんは一文無しになった。 子供は当てにならないものだ。 一体
どちらのお婆さんが幸せであったろう?

最近、8人子供がある夫婦のレポートを見た。 4才から17才までの
子供達がいて、このうち双子が二組いる。 この夫婦にとっては毎日
が戦争のような忙しさである。 奥さんも一日台所に立ちっ放しである
という。

昔は子供が8人いても驚かなかった。音楽家のバッハも、トルストイ
も子沢山であった。 それなりに子供の死亡率も高かった。 3人子供
がいたら、いまでは子沢山といわれる。

最近は晩婚時代。それに結婚しても子供は要らない、という夫婦
がいる。 育児は面倒、子供はキャリアの妨げと考えている人がい
る。 先進諸国では、社会の老齢 化が高速化し、少子化で頭を抱え
ている。 子供がすくすくと成長できる条件が満たされない限り、
女性は子供を生もうとはしない。 おまけに、最近の女性は高望
みをする。 彼女達の意に叶った王子さまなど、そうザラにいるもの
ではない。

お隣の中国は70年代、一子制度を導入した。 これは国家が、将来
の食料事情を考慮してのことだ。 中国には 「子沢山は福」 という
伝統がある。 このまま人口が 増加したら破綻する。 だから歯止め
をかけた。人口は経済とつり合ったものではならない。 就業先がなく
人口ばかり増えたら、社会が不穏となる。

中国では2-4-8制度ということが言われる。 結婚する夫婦に双方の
両親が四人、その又親、祖父祖母が八人という構成になる。 この
システムが続くと、人口 構成がいびつとなる。 一子制度下では
どの夫婦も男児を欲しがる。 だから最近は適齢期の女性の絶対
数が足りない。 相手の見つからない男性が既に巷にあぶれて
いる。

それにしても、子供のいない社会は生気が無い。 将来性がない。