12月に入り、カラダをきゅっと縮めたくなるような寒い日が増えてきましたね。私はインフルエンザの予防接種を受けましたが、皆さんはいかがですか?師走はなんだかバタバタしてしまって、自分のことが後回しになってしまいがちですが、自分メンテナンスを忘れずにいきたいですね。
さて、今日は「療養病床」についてお伝えしたいと思います。
症状が強く出ている際に行う手術や処置(急性期の医療)が終わり、症状の落ち着きがみられると、転院について病院から告げられることがあります。最近では、病院のベッド管理の関連で、早めに転院の声掛けが行われる病院もありますよね。
とくに、高齢の患者さんの場合には「症状が落ち着いたといっても、自宅で過ごすことは難しい」「食事や吸引などの問題で、引き続き医療に近い場所で過ごす方がよい」と判断される方もいらっしゃいます。そのような時、退院後の選択肢に挙がるのが「療養病床」です。
「療養病床」とは、症状は安定しているけれど、長期の療養が必要とされる患者さんのために設けられた長期入院用のベッドのことをいいます。療養病床は、医療保険が適用される医療型病床(医療療養病床)と、介護保険が適用される介護型病床(介護療養病床)の2種類に分けられます。
「療養」という言葉からもわかるように、比較的長期の入院を前提としていますので、療養病床を決める際には、患者さんご本人にあった環境の病院を選ぶことが大切です。多くの場合、転院が必要な時期になると「医療相談室」のソーシャルワーカーや退院支援の看護師さんが、患者さんやご家族へ、転院先候補をお伝えし、転院病院を選択していくことになります。
転院先候補として複数の病院が提示された場合、皆さんはどのように転院する病院を決められるでしょうか?この選択は、難しいものですよね。質の高い療養病床選びのチェックポイントについて、言及している記事を見つけましたので、ご紹介します。
2011.11.29 朝日新聞朝刊医療面から![]()
『質高い療養病床を選ぶには 床ずれやベッドへの拘束…4項目まず確認』
上記記事の中では「身体拘束の状態」「尿道に排尿用の管を入れている方の割合」「膀胱炎など尿路感染の発症率」「褥瘡(じょくそう)、床ずれを発症されている方の率」の4つの指標にについて病院に現状を確認し、全国平均の割合と比較することを、提案しています。
療養病床に入院される方は、ご高齢の方が多く、要介護度が高い人の割合も高いため、きめ細かいケアをするためには、たくさんの人員が必要になります。しかし、現場では医療スタッフの数が少なく、それを補うために転倒防止のために拘束のような状態が生じていたり、体の向きを頻繁に変えることが難しくて床ずれが出来てしまう方もいらっしゃいます。
実際に、患者さんやそのご家族が、転院先候補の療養病床を持つ病院に行き、上記の4つの事項の情報開示を求めることは、大変なことかもしれません。「とにかく転院先が決まらないと、家で看ることは出来ないし、なんとかしなければ・・・」と焦る気持ちになっている方がほとんどだからです。
しかし、ここで一つ心に留めておいていただきたいことがあります。それは「療養病床は長期の入院になることが多く、一度入院すると、その後すぐに病院を変えることは非常に難しい」ということです。転院先が決まると、そこでの生活が固定化してしまいます。
「どの病院でも、受け入れてくれるならいい」という瞬間の感情が、私たちの病院選びを焦らせます。すると、現在入院している病院から提示された転院先のリストを見て、一番早く入れる病院を選んでしまったり、転院先の病院について確認を何もせずに決めてしまうことがあるのです。
転院先について複数の病院が提示された場合、私からお願いしたいことは「まず実際にその病院に足を運んでいただきたい」ということです。パンフレットやインターネットで情報を集め確認することも重要ですが、実際に見てその空間を体感するということは、非常に重要です。
例えば、家から病院までの交通経路や時間、病院窓口の対応、入院病棟のニオイ、医療者の対応、入院されている患者さんの様子・・・などなど、私たちは五感で様々なことを感じます。一人で心細い場合には、複数人で訪れるといいでしょう。人によって気付くこと、気になることが異なり、より広い視野で病院を見ることが可能になります。病院によっては、とにかく長期間入院できることが押し出されているところもありますし、3ヶ月・6ヶ月ごとに、患者さんの病状によって「老人ホーム」などへの転居が可能か、家に戻ることが可能かなど、検討を行って家族との話し合いを持つ病院もあります。
病院名のリストだけではわからないことがあるのです。入院する患者さんにとって、その病院が生活の場になり、人生の一定の時間を過ごす場所となります。転院前に訪問をして、検討をして、転院先を決めた場合にも、実際に入院しなければわからないこともある・・・ということも事実です。しかし、転院前に出来ることをまずはしっかりと行うことが、肝心です。
患者さんの病状やケアの必要度によっては、受け入れ先を見つけることが難しいことがあります。その場合には「この病院しか、転院は難しいでしょう」と、病院を特定して勧められることもあります。また、現在では療養病床の空きが少なく、選択肢がないという厳しい現状に突き当たることもあります。その場合にも、転院先として提示された病院について、是非足を運んでいただき、転院前の確認をしてもらいたいと思います。



