皆さんは「傾聴」という言葉を聞いたことがありますか?「傾聴」は簡単にいうと「心を傾けて聴く」ということです。相手の話を丁寧に聴くことは簡単なようで、実はとっても難しいですよね。家族や友人と話をするときに、自分ではしっかり話を聴いていると思っていても、実際には話すことに集中していることがあります。
自分の意見を押し付けたり、相手の話を否定したりしないで、話している人の言葉に耳を傾ける。そして言葉以外の表情やしぐさ、雰囲気などから相手の感情を感じ取っていきます。相手の立場にたってすべてを受け入れることで、聞き手は話し手の鏡となっていきます。聞き手の人が何か積極的な意見やアドバイスを言わなくても、話し手の人はもう一人の自分と対話することになっていくのだと思います。
私はよく色々なことを考えるのですが、自分ひとりで考えていると思考が循環してしまうことがあります。そんなとき、心の許せる人に話をすると自分の考えていることがクリアに見えてきます。「あー、いろんな事を考えていたけど、本当はこのことが気になっていたんだ」と気付くことも多いです。自分では変えたり動かしたりできないことがあって悩んでいても、実際にはその周りのことが原因だったということもあります。
「この人には自分の素直な気持ちを話しても受け入れてくれる。そして、聞いたことを他の人に話したりする心配はない。」と思える人がいたら、いつもは心にしまっていることも話せると思います。話を聞くとき、どうしても自分の考え方を通して考えてしまいますが「相手の考え方」に同感して、相手が発する信号をきちんと受け止めることはとても大切な行為だなと思っています。人に話を聴いてもらうことで、自分でも気付かなかった気持ちを知ることができるかもしれません。
私はある患者さんの病室に伺ったとき、一人の看護師さんの「傾聴」する態度に出会いました。ベッドで横になる患者さんと目線を合わせるため腰を落とし、患者さんの気持ちを受け止める。すると患者さんは少しずつ自分の気持ちを話し始めました。自分でもわからないモヤモヤした感情、不安な気持ちを看護師さんに伝えて生きました。そんな姿を見て、自分も患者さんの言葉を受け取ることのできるサポートをしていきたいと思いました。病気の治療という医療行為はできないけれど、患者さんの気がかりとなっていること見つけて、改善するお手伝いをしていきたいと思っています。


