精一杯のドンペリ
テーマ:日々今日は銀座のとあるワインバーでのドンペリ君の物語。
彼は数日前に開封され、残りグラス一杯分の命しかない。
もはや抜栓当時の活き活きとしたガス状態ではなくなり、商品としての価値を失くしている。
今日は、そんなバーでの彼の最後の一幕です。
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俺はドンペリ。
もう残りグラス一杯分しか人を喜ばすことができない。
若い頃のガスの勢いもなくなり、店が俺でお金を取ることはないだろう。
俺はこの先、どうなるのか・・・。
野々村よっ。(ソムリエさんの仮名)
どうする、はっきり言ってくれ。
どんな最後を俺にくれるんだ?
最後の俺の役割は何だ?
頼むよっ、俺に有終の美を飾らせてくれっ。
"カラン、コローンッ"
あっ、客がやってきた。
おっ、男が女に花をプレゼントしてやがる。
何かの記念日だなぁ~っ。
何だよ~、女が花を愛おしそうに見てるじゃないか。
あっ、男がトイレに行ったぞ。
野々村、今だっ、ちょっと調べて来いよっ。
野々村:「今日は何かの記念日ですか?」
彼女:「はい、二人だけの記念日なんです。」
野々村:「幸せそうですね。」
彼女:「はい、実はこの花が私の一番好きな花なんです。」
彼女:「今の時期しか手に入らなくって、、、しかも彼が初めてくれたので。」
彼女:「さっきから気になってたんですよね、何を大事そうに持ってるのかなって。」
彼女:「覚えててくれたんだって思って。」
野々村:「そうですか、やさしい彼ですね。」
彼女:「はい。(笑)」
野々村:「それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい。」
彼女:「ありがとうございます。」
よくやった、野々村よっ。
俺はあの二人の空気が気に入ったぜ。
見ろよっ、二人のあの姿。
くぁ~っ、羨ましいぜっ、野々村もそう思うだろっ?
・・・、決めたっ。
あの二人が俺の最後だ。
野々村っち、今までありがとう。
俺の最後の願いを聞いて欲しい。
彼らに、あの二人に、俺の最後を。
野々村:「失礼します。」
野々村:「先ほど、今日はお二人の記念日だとお聞きしましたので。」
野々村:「最後の一杯なので、少しずつなんですが、お二人へのプレゼントです。」
彼女:「あっ、ありがとうございます。」
hitoshi:「えっ、あっ、ありがとうございます。」
hitoshi:「あっ、ドンペリッ。」
二人:「じゃ、乾杯っ!!」
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今日は銀座のとあるワインバーでのドンペリ君の物語。
止め処なく溢れ出るガスがフルートグラスを駆け昇り、
近づけた鼻に芳醇な香りが流れ込んで来る、、、そんな状態ではなかった。
でも、現在の状態の中で、できる限り僕達を喜ばそうと踏ん張っている、
そんな彼の最後の頑張りは確かに存在した。
本当に、精一杯のドンペリだった。
遺影じゃないけど、hitoshi は彼に敬意を払い、彼の最後の姿を残すことにした。


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