2012.09.20 粘膜疾患

テーマ:
チェアサイドで役立つ口腔粘膜疾患
場所:都内
講師:鶴見大学歯学部講師 山近重生 先生

メモ粘膜の見方の基本形

1. 形と色から見た疾患の鑑別

A. 形
・腫瘤状病変
・丘状の病変
・平坦な病変
・凹んだ病変

B. 色
・白い病変
・赤い病変
・赤白混在病変
・黄色い病変
・黒い病変
・正常粘膜色の病変

粘膜疾患は色と形と表面性状の組み合わせで鑑別する

クリップ線維腫と乳頭種の違い

乳頭腫 → 見え方:白色で表面粗造 上皮性腫瘍。上皮自体が腫瘍なので表面が粗造になる。
線維種 → 見え方:性状粘膜色で表面が平滑 間葉系腫瘍。上皮下組織である結合組織が腫瘍であり上皮を盛り上げた。

・線維腫症
・義歯性線維腫
・歯肉肥厚 ダイランチン
・歯肉肥厚→カルシウム拮抗剤
・骨隆起(外骨症:下顎舌側=下顎隆起 咬合圧が関係/内骨症:口蓋正中=口蓋隆起 粘膜の刺激による)
・唾液腺腫瘍
・多形性線維腫
・血管腫
・粘膜嚢胞
・ブランダンヌーン嚢胞(舌尖部下面)
・ガマ腫

クリップびらんと潰瘍の違い

びらん→見え方:赤く見える。上皮の一部が剥がれる。
潰瘍→見え方:白く見える。上皮が全部取れて結合組織がむき出し。

・潰瘍性口内炎

クリップアフタとは?

アフタ→中心が潰瘍で周囲が赤い。円形、境界平坦で白くまわりに発赤。硬結なし。

・孤立性アフタ
・多発性アフタ(ベーチェット病)
・慢性再発性アフタ

クリップ天疱瘡と類天疱瘡の違い

天疱瘡→上皮の中に水泡があるので剥がれると痂皮のようになる。
類天疱瘡→上皮の下層に水泡があるので剥がれるとびらんになる。

2. 癌と前癌病変

口腔悪性腫瘍の約90%は粘膜上皮を起源とする扁平上皮癌。

口腔癌のうち舌が最好発部位で40%を占める。
ほとんどが舌縁部に発生する。舌では白板症からの癌化率は他部位より高く19%から39%。
表在型、外向型、内向型に分類。癌は触診すると周囲組織よりも硬い「硬結」を触れる。増殖するにつれて中心は栄養が及ばなくなり壊死して潰瘍になる。潰瘍周辺は境界明瞭で堤防型の隆起を伴う。

歯肉癌は口腔癌の約30%を占め、歯肉は舌につぐ好発部位。下顎の発生率は上顎の各2倍で上下顎ともに入試部に多く見られる。歯肉は直下に骨が存在するので比較的早期から顎骨に浸潤するという特徴がある。歯周疾患と誤診されやすく歯周治療や抜歯を行った後、治癒不全のために癌と気づく事ももある。またそのような治療によって癌の進行を助長する事もある。

クリップ前癌病変と扁平上皮癌の病理

前癌病変:正常部に比べて癌がより発生しやすい形態学的変化をきたした組織を前癌病変と呼ぶ。白板症と紅板症が含まれる。異形成と異形成を構成する細胞の形態学的変化を示す。

上皮過形成:上皮層と角化層の肥厚を示すだけ。異形成なし。
軽度異形成:均等に上皮の厚みが増加。上皮脚は伸長、太く先端が丸くなる傾向にある。
中等度異形成~高度異形成(上皮内癌)~早期浸潤癌:上皮層の厚みは菲薄化、肥厚、菲薄化と肥厚化の混在、厚みが一定でうねる様な凹凸を占めす場合など多様。上皮脚先端は丸く太くなる。上皮細胞の異形成は基底細胞層近くだけでなく、上皮表層近くまでの多くの細胞に認められるようになる。上皮脚先端から細胞塊が分離して結合組織へ浸潤するようになる。上皮が途切れて浸潤し栄養が行き届かず潰瘍となる。

クリップ白板症と扁平苔蘚

白板症:角化亢進。厚くなる。白く見える。
扁平苔蘚:上皮の肥厚及び角化亢進(白く見える)と上皮の萎縮(赤く見える)が混在。上皮下に炎症性細胞の浸潤を認める。

クリップその他

・口唇ヘルペス
・帯状疱疹ヘルペス  ヘルペスウイルス→三叉神経
・ハント症候群→顔面神経 口、耳介、外耳道に水泡
・舌扁桃肥大
・正中菱形舌炎
・アミロイドーシス
・フォーダイス斑
・地図舌
・黒毛舌
・溝舌
・舌苔
・平滑舌(プライマリーソン症候群:鉄欠乏性貧血、ヘモグロビンが少ない、血行が悪い、チアノーゼ。胃、食道粘膜萎縮、嚥下障害。スプーンネイル。)
・色素沈着(血小板減少性紫斑症。血管がもろく歯肉出血、内出血、出血斑)
・シェーグレン症候群(唾液減少、こすれて赤味)

3. 粘膜疾患への対処

腫瘍性病変(癌/前癌病変/乳頭腫) → 切除
反応性増殖性病変(義歯性線維種/エプーリス/線維種) → 切除・原因除去
免疫反応関連病変(扁平苔蘚/天疱瘡/類天疱瘡) → ステロイド
感染性病変(帯状疱疹/疱疹性歯肉口内炎/口唇ヘルペス/壊死性潰瘍性歯肉口内炎/ガンジダ症) → 抗ウイスル薬・抗菌薬・抗真菌薬
形成異常(フォーダイス斑/溝状舌/正中菱形舌炎) → 治療の必要なし

目粘膜疾患の理解はメインテナンスを担う歯科衛生士にとってもとても大切事です。粘膜疾患はたくさん見る事だと私は思います。私達歯科衛生士が、異常を早期に発見する事で、患者様の健康の維持増進に寄与できればうれしく思います天使