ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 DS全般・攻略ブログ

分岐ADVとしては力作、『極限脱出ADV 善人シボウデス』

テーマ:3DS 2012-03-04 13:00:00
【概要】
 国内よりも海外で高い評価を得た『極限脱出 9時間9人9の扉』の姉妹作であり、実質的な続編。日本のアドベンチャーのメインストリームが『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』のような一本道ものに固定化して久しい中、あえて分岐の楽しさを追求した作品を目指しており、ゲームディレクター兼メインシナリオはinfinityシリーズを手掛けた打越鋼太郎氏が前作に引き続いて担当し、脱出ゲームと組み合わせたデスゲームという設定も変わりないものの、ゲームデザインは大幅に切り替えられている。また販売元のチュンソフトは本作を最後にスパイクと合併しスパイクチュンソフトとなるため、パブリッシャーとしては最後の作品でもある。プレイボリュームは25~35時間程度。3DSとPSVitaのマルチプラットフォームで、レビューのプレイ環境は3DS。

極限脱出ADV 善人シボウデス極限脱出ADV 善人シボウデス

【システム】

物語の進行と選択による分岐をメインにした「ノベルパート」と、
パズル思考を求める「脱出パート」を交互にプレイするのが大まかなゲームの流れ。

分岐はキャラクター同士の駆け引きをテーマにした「ABゲーム」と
脱出パートにどのキャラクターと組んで挑戦するかで決定し、
フローチャートでどういった経路で分岐したかも可視化してしまっているため、
「どうしてそのエンディングになってしまったのか」を推理し試行錯誤するというよりも、
「ルート毎の展開の変化や繋がりを楽しむ」アプローチに仕上がっている。
実際キャラクター別のマルチエンディング方式を採用しているものの、
それぞれのエンディングがシナリオとして完結しているわけではなく、
そこで得た情報が他のルートへ干渉しフローチャート上の移動範囲を拡大していく仕掛けなので、
エンディング後になにをすればいいか良いか解らないという事態も避けられているため、
分岐による遊びをしつつ、構造としては各種エンディングを含めて
トゥルーエンディングへと地続きに一本筋が入っている作品と言えるだろう。

繰り返しプレイ前提なゲームデザイン上、
気になってくるのは前作で批判が集中していたインターフェース周りだが、
スイッチ切り替えによる既読スキップやフローチャートのシーンジャンプなどが取り入れられ、
どの分岐を選んでも脱出する部屋が変化するように作られているため、
一~二行の未読部分のためにスキップが止まってしまうのは気になったが、
基本的には周回プレイでストレスになる部分は取り除かれ、使い勝手は良くなっている。
そこが逆に選択に対するリスクを削ぎ、緊張感を薄れさせ、
エンディング埋めに作業感を生んでいるのも事実だが、
展開の横幅を楽しむゲームでもあるので、評価は難しいところだろう。

脱出パートは、画面を切り替えタッチでダイレクトに調べるタイプから、
フル3Dに起こされた部屋内を見回して調べるものへ一新されているのが最大の変化。
タッチパネルをフリックすることによってカメラを動かすのだが、
どうも感度が悪く、思ったように動作させるのが難しくなっている。
一応はスライドパットによるポインターの操作もできるのだが、
こちらはこちらでポインターの動きが早いため照準が合わせ難く、
カメラ操作も直感性が薄いため、どちらにしても操作性自体に問題アリ。

ただし、難易度自体はヒント量が減って若干難しくなっているものの、
随時ほぼ答えなヒントを教えてくれる「Easy」モードへ切り替えることができるので、
謎解きそのものに関して「完全に手詰まり」という状況に陥るのは避けられている。



【ゲームテンポ】

前作はライトユーザーへの訴求を意識し無駄な描写を省いていたそうだが、
今回はボリュームアップに伴ってテキストが回りくどくなっており、
比喩として説明される事例の文章が異常に長い上に物語に繋がりきっていなかったり、
重要なシーンや、命に関わる展開でも冗談を言い始める登場人物など、
スピード感や緊張感を削ぐような描写が随所で見受けられ
(この2つは打越作品のお約束だが、そんなものは一般ユーザーには関係ない)
一世代前のノベルゲーム的な「だるみ」が生まれてしまっている。

これに加えて一周目から「ループもの」という設定を取り込んでいるため、
「ループしていないプレイヤー」と「ループしている登場人物」にギャップがあり、
特に初回プレイでは置いてきぼりを食らう可能性が高い。
設定を把握し主要なテキストを読み終えた2~3周目から
ゲームとしてできる可動範囲が拡がりグッと面白くなってくるだけに、
スロースターターな内容に帰結してしまっているのは残念。

脱出パートはシステム項で触れた操作性の悪さに加え、
タッチで調べるには小さくクリックし難いオブジェクト、
場面転換やズーム注目などはシームレスに演出することなどから、
連続してプレイすると一~二拍子はテンポを遅くしてしまい、
積もり積もって全体への印象にも影響を出してしまっている。

ただそれよりも気になるのは、脱出パートのカタルシスがノベルパートと繋がらないために、
バランス的な出来栄えはそう悪いものでもないにも関わらず、
ストーリーと組み合わせると単なる「物語上の障壁」になってしまっている点で、
開始時の情報集めが作業的という短所を持つ脱出ゲームの特性もあって
後半ごろには脱出すること自体がダレてしまい、面倒になることが何度かあった。



【ストーリー】

この作品のキモになるのは、間違いなくストーリーの分岐性だろう。
本作では既存のノベルゲームのような分岐によるゲームオーバーだけではなく、
正当ルートでもシナリオの進行を止めてしまう「シナリオロック」という足止め機能を取り入れており、
ほかのルートで得た情報やエンディングがキーに真相へ近づいて行く構成を取ることで
分岐に自由度を持たせつつも進行具合によって提示される情報や伏線の回収を管理し、
「分岐」と「ストーリー」を上手く組み合わせて、
フローチャートを埋める(新事実を見つける)快楽性を演出している。
前作は各エンディングに「謎」を持たせ、掛け合わせることをゲーム全体の引きにしていたが、
エンディングが細分化した本作も、この「シナリオロック」が引きとして働くよう、
入念かつキメ細かに進行できる内容とフラグのバランスが練られており、
積み重なる「謎」という部分はアプローチは異なれど受け継がれていると言えるだろう。

惜しむべくは、ゲームとしての難易度付けが脱出部分に依存しているため、
分岐ゲームとしての手ごたえ自体がかなり薄くなってしまっていることで、
(メモを要するものもあるが、エンディングを埋めることでほぼロックがはずれる)
ノーストレス化の弊害というのもあるのだろうが、もう少しルート間を跨いだ仕掛けが欲しかった。
また分岐が細分化し、フローの移動を頻繁に行わなければならないため、
自分がシナリオ上で「どの位置にいるのか」(シーンジャンプした前後の展開が解らない)
という状況になりがちという短所も発生しており、分岐の快適性が裏目になった面もある。

ストーリーそのものについては、分岐システムを過去の「ループもの」の定石を踏襲するためか、
(そもそも分岐としての仕掛けも『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』タイプに近い)
かなり形式ばった部分があり、見方によっては手堅いとも、ベタとも、新鮮味が薄いとも言える。
逆に言えば美少女ゲームの「ループもの」の文法を噛み砕いたような内容なので、
この手のゲームをプレイしていないライトなユーザーほど楽しめるのではないだろうか。

ただし続編ものなので伏線を読み込むには前作『9時間9人9の扉』のプレイ経験が必要な点や、
前作以上に美少女ゲーム的になってしまったテキスト周りなどには、
未プレイ者が楽しめないとまでは行かないが、そっち方向へ薦めるには扱いが難しい部分がある。

【総括】
 ウィークポイントが解りやすいため、評価の仕方が足し算か引き算かで評価に大幅な差が出るであろうタイトル。私もどちらかと言えば「引き算」タイプなのだが、だからといって中盤から終盤にかけてのフローチャートを埋めていく面白さをマイナス要素で持って相殺させるというのは、まがりなりにもモノを評する側の態度としてする気はしなかった。シーンジャンプにしようと、シナリオロックにしようと、ループという設定にしようと、ある程度の奥まったところまでプレイしなければ効果が出て来ない仕掛けなだけに、全体的なスローペース化、(ビジュアルこそ異なれど)美少女ゲーム化は顕著と言わざるを得ないが、そのフィールド内で上手くまとまった内容になっているのも疑いようはなく、相変わらず一見さんに壁を作っているのは気になるが、特に練られたバランスの部分は充分に評価されるべき作品だろう。

 ネタバレをして語れば、(以下ネタバレを避けるため黒字)続編前提のエンディングをどう受け止めるかと言う部分も評価する上で避けられない作品で、実際ワンパッケージとして区切れば蛇足かつ予定調和としか言いようがない終わり方をしているのだが、続編が構想にあり、続きが出る可能性もある限り(なければ1点減点されても仕方ない程の失速感)は、挽回される余地も逆に台無しになる余地もどちらもあり得るので、現時点では(少し卑怯かもしれないが)ゲーム的な部分を評価しつつもオチについては「あえて無視」という態度とさせてもらった。

【得点】
7/10




極限脱出 9時間9人9の扉(チュンセレクション)

DS『極限脱出 9時間9人9の扉』

レイトン教授と奇跡の仮面

テーマ:3DS 2012-02-28 17:00:00
【概要】
 『レイトン教授』シリーズの第5作目でありNintendo 3DSのロンチソフト。当初はDS向けとして発表されていたのだが、3DS発売と併せて急遽プラットフォームを変更しており、このような経緯もあって日野社長からは「途中で全部作り直しました」といった発言がなされ、スタッフ数も従来シリーズの3倍に増加している。本体と同時発売なため3DS最大の特徴である立体視を生かすべく、ビジュアルが2Dからトゥーンシェードの3Dへ全面的に切り替わり、モーションキャプチャーを使用することで初めて立ち絵に口パクとまばたき以外のアニメーションを取り入れるなど、グラフィックス方面でグレードアップが進化の主な部分となった。アドベンチャー部分のプレイボリュームは15~20時間程度。セールスは2011年内で累計36.2万本と、DSと比べるとほぼ1/2程度にまで萎んでしまっている。

レイトン教授と奇跡の仮面(特典なし)

【システム】
 謎解きをギミックに取り入れた、ポイント&クリック系のアドベンチャー。ただし立体視に対応しているのは上画面のみというハードの仕様から、ダイレクトにタッチするものから下画面を通して上画面のポインタを操作するものへと、ユーザーインターフェースは前4作から大幅に変更されている。大まかなゲームプレイ自体の変化は少なく、クリックや会話で発生する「頭の体操」をクリアしつつ、閉鎖されたフィールドをイベントの消化によって拡大させてゆき、最終的に最深部を目指すという内容。アドベンチャーとしては、ドラマと(時にはフィールドのギミック、時にはストーリーの演出にもなる)謎解きの組み合わせで、話というよりも様々なシチュエーションを楽しませる、フィクション世界の観光旅行ゲームといった色彩が強い。流石に5作目ということもあって、謎解きとストーリーのバランス自体は良く練られているのだが、マップデザインの方の出来がよろしくないため移動場所が重複しがちで、進化という面から見ても新鮮味は薄い。

【ゲームテンポ】
 「アドベンチャーゲーム」としては、クリックや移動をタッチによるダイレクトに指示していたDSシリーズから、下画面から上画面のポインターに指示を出すタイプへ変更され、移動もマップを呼び出さないといけないため、全体的に手順がひとつ多くなっており、ポインターで照準を合わせるとレスポンスの有無を色で表示するなど各所でフォローは行っているものの、実際のテンポとは別に体感するスピードの部分で遅くなってしまっている。またこのシリーズは、一度通った道を繰り返し通ることを避けるため、一直線的な構造のマップデザインが獲られているのだが、今回は街の構造が序盤で2本道に枝分かれしているため、イベントごとに街をUターンすることとなり、ショートカット機能も中盤まで出てこず、観光するゲームとしてもテンポが悪くなっている。

 「謎解きゲーム」としては、前4作品で明らかにネタが切れてしまった関係で、新出になるほど説明文が複雑化してしまっているため問題の趣旨を理解するのが難しくなっており、上述の操作方法もあってこちらもテンポは悪化。解らない場合はスルーも可、尚且つ行きすぎなほど豊富なヒント機能など、気楽なゲームプレイを心がけた態度はシリーズを通して評価されるべき点で、他の謎解き系クリックアドベンチャーとは比べるまでもなく軽快ではあるものの、問題の質自体が習練者向けになってしていしまっている印象は否めず。やたらめったら収録されているやりこみ要素のミニゲームは、頭の体操ではないこともあって旧来並みのテンポを保っている。

【ストーリー】
 話のデキ自体は、恐らくシリーズ内では最も良い。ただし、『レイトン教授』自体は「フィクションの世界や町並みを観光するゲーム」という側面があり、大まかなストーリーも目的地でムービーを流す程度のものでゲームとの係わり合いも薄く、「物語」であることに重きは置いていないため他のアドベンチャーよりシナリオ部分は極端に弱いので、わざわざ切り取って語るに足りる内容かと言えば、そんなわけでもない。それでもストーリー単体を切り取って語るならば、派手な展開を優先するがゆえに人物の設定や心情など過程の部分が描かれず、中盤ごろからご都合主義が露呈、最終的には張った伏線は破綻し言いたいテーマも白々しくなる。というシリーズを通して抱える問題点を受け継いでおり、シリーズ内で良いか悪いかは関係なく、他のものと横並びにできるレベルに達しているとはお世辞にも言えない。とはいえ全面3Dで描かれたグラフィックスやより強化された音楽など演出面は確かにリッチで、「観光地に浸る」という意味ではグレードアップしている。

【ここが○】
・向上した演出能力。
・気軽さを重視したゲームプレイ。

【ここが×】
・全体のテンポが悪化。
・元よりストーリーが破綻している。

【総括】
 『レイトン教授』シリーズは三作目の『最後の時間旅行』で進化は頭打ちだったため、表現力が向上し、よりリッチになった本作にはそれなりに期待していたのだが、むしろゴージャスさに拘った仕様が逆にテンポが悪化を招くというなんとも言えない内容になっている。まあ、外装は幾ら豪華にしたところで質を伴っていないという意味で見れば、レベルファイブ路線の限界を示しているともとれなくもない。とまとめてしまうのは少しだけアンフェアか。一般的なADVと比べて作り込み自体はかなりしているので、「そのタイプ」を求めているなら一定水準には達しているのは事実だが、ゲームプレイとしてストレスになる部分は『最後の時間旅行』『魔神の笛』より多い。

【得点】
5/10

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