アドベンチャーゲーム好きにつける薬
アドベンチャーゲームを元に、他媒体で似た性質の作品を紹介するコーナー。
タイトルの元ネタは呉智英の『マンガ狂につける薬』。
【アドベンチャーゲーム好きにつける薬】
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『かまいたちの夜』 → 『十角館の殺人』
ゲームの完成度自体はケチのつけようのない『かまいたちの夜』なんだけど、
舞台設定やトリック自体は明らかに『そして誰もいなくなった』のクローンで、
これの次に手を取ってもらう作品を考えた場合は何らかの“ひとひねり”は必須。
国内でも入りやすいクローズドサークル(外界との往来が断たれた状況)なら、
『斜め屋敷の犯罪』や『星降り山荘殺人事件』なども候補としては挙がるんだけど、
『かまいたちの夜』風の作品を念頭に入れた場合は除外対象に。
そこを考慮した結果、舞台設定や細かい行動などが
『そして誰もいなくなった』とほぼ同じながら、
トリックやギミックに“ひねり”があった、この『十角館の殺人』を選択。
著者の綾辻行人のデビュー作(当時は大学院生)ということで、
文章表現や展開に理解しがたい箇所は幾つかあるものの、
純粋なミステリー(推理性)に拘りドラマ性が薄い姿勢は、
『かまいたちの夜』とも共通する部分もあり、お奨めできる要因のひとつ。
まあ、有名すぎて既に読んでる方が大多数かと思われるし、
2作目の『水車館』以降は叙述物が基調になっているのだが…。
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『街 運命の交差点』 → 『運命じゃない人』
複数視点の映画は数あれど、
『街』に感じたゆる~い世界観まで再現した作品は
後にも先にもこの『運命じゃない人』ぐらいしかないんじゃないだろうか。
というのもこの作品はコメディと言う名の元、ワザとらしく登場人物が干渉しあうんだけど、
それがどうにも“軽い”ノリで、それでいて奇妙にバランスの取れた、
“不思議な人間関係”は、我々が『街』に感じたそれに近い何かを感じさせるからだ。
あと、設定も「平凡なサラリーマン」から「やくざ」まで揃える、
絶対確実に必要ない登場人物の幅の広さで、そこも『街』を髣髴とさせる。
脚本も練られているので映画単体としても楽しめる作品なのだが、
2時間という制約のために尻すぼみしている部分もあるので注意。
映画という媒体で複数視点を描く難しさも示す内容となっている。
『街』が好きな貴方には一回は観て貰いたい作品だ。

複数視点のコメディという意味では、最近放送されていた『行列48時間』と言う、
“行列”という閉鎖された空間で展開されるNHKのドラマも候補だったんだけど、
こっちは「勘違い」を主軸にしたテンポの速い密閉劇で、
やはり『街』とはかなり異なるテイストとなっている。まあ、別作品だし当たり前だが。
スピーディな展開からは、どちらかと言えば『428』に近い印象なので、
まあどっちも好きな方にはお奨めな作品ということで。
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『428 封鎖された渋谷で』 → 『バンテージポイント』
『428』自体、海外ドラマ『24』のスピード感を意識したサウンドノベルなのだが、
テロと言う題材の共通点を含めて、イメージ的には映画『バンテージポイント』の方が近い。
この作品も複数視点のスピーディに展開するジェットコースターサスペンスで
海外の作品とあってアクション性がかなり高く、映像も派手。
ミステリー性もそれなりにあるので続きを気にさせる緊張感もあり、
作品的に『428』と共通する面が多く、ファンには必見の一作だろう。
ただし展開の重複が激しいので、常に既視感が付きまとうため、
上で挙げている『運命じゃない人』と同じ短所を所持している。
元ネタの『24』に関しては、複数視点ではないので考慮しないが、
話を長引かせるため展開をドラマチックにしすぎている嫌いがあるので、
『428』的な部分はそこまでないんじゃないかなぁ、と思う。

最近読んだ小説の『血と暴力の国』も、
無駄な描写がごっそり切り取られた複数視点という点では
『428』と共通する部分があると思うのだけど、
如何せん文学系アメリカハードボイルドなので取っ付きが悪く、今回は除外。
まあ、古書店で見かけたら手にとって見ても良いかもね。
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『逆転裁判』 → 『十二人の怒れる男』
密室劇といえば『ダイヤルMを廻せ!』や『天国と地獄』など、
長ーい映画史では傑作は何作もあるんだけど、同じ密室劇でも、
陪審員として他者と「討論」し、相手をロジカルに言い負かせるという、
ディスカッション型密室劇とも言うべきテイストの作品を生み出し、
そして始祖にしてここまで高い完成度の映画に仕上がったは、
後にも先にもこの『十二人の怒れる男』ぐらいしかないだろう。
通常、密室劇では相手が犯人であるか否かや、
あるいは交渉が焦点となるが、この作品には犯人も居なければ、交渉もない。
あるのは陪審員の意見の相違。有罪か、それとも無罪か。ただそれだけなのだ。
劇中で何度も主人公が他の裁判員に問いかける
「話し合いましょう」という台詞は、この映画が目的は何かを指し示している。
『十二人の怒れる男』に国内で影響を受けている(と思われる)のは、
まず三谷幸喜の『12人のやさしい日本人』、
そしてロジックによって相手を説得させるという大まかなプロットは、
ゲームと言う媒体違いは有るものの『逆転裁判』が挙げられるだろう。
そのため、とてつもなく古い映画だが
『逆転』ファンには元ネタという意味で見返してみて欲しい。
恐らく今の映画に引けをとらない完成度の高い密室劇と、
『逆転裁判』のそれに近いロジックパズルな爽快感が楽しめるだろう。
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『探偵 神宮寺三郎』 → 『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』
この神宮寺三郎シリーズは良くも悪くもジャンクな所があり、
PS中期にあった完全無欠の探偵像と言う意味ではダシール・ハメットを、
『Innocent Black』の凶悪な中国人が出てくる世界観は馳星周を、
恐らく参考にしているのだが、どちらも実は「神宮寺」とはかなり離れた作品でもある。
というのも、このシリーズは色々とハードボイルドな世界観を
ごちゃまぜにしすぎた結果、王道と言う名のステレオタイプに行き着いていて、
逆に普通のハードボイルドとはどこにも対応しなくなった、
凄いサブカルチャーらしい経緯で“独自進化”しちゃった存在だからだ。
ただまあトリックでもミステリーでもなんでもなく、
心情とドラマで攻めるというハードボイルドの基本文法は忘れていないので、
神宮寺好きならば日本の良質なハードボイルドならどれでも対応可能かと思われる。
とはいえ新宿という舞台性が肝なところがあるシリーズなので、
あえて本を挙げるとすれば…この『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』かな。
元ネタは70年代に放送され伝説的な人気を誇ったドラマ『傷だらけの天使』で、
ファンサービスに溢れているものの、小説として現代風に噛み砕いてあるので
これから入った方でも楽しめる作りになってはいる。
ストーリーとしては弱りきった中年の再生話で、
神宮寺の弱いけど強い人物像と対応するのでまあ楽しめるかと。
ただし著者の代表作『ららら科學の子』の設定を焼きまわしで、
団塊の世代の“気分”みたいなのがちらほら見える作品なので、雑音は多い。

でも、この人間好きのおっさんの元ネタはやっぱりマーロウでしょう。
『長いお別れ』『さらば愛しき女よ』『プレイバック』など、
どの長編も神宮寺好きなら確実に楽しめる安定した世界観。
気の利いたキャラクターに、どうあれ我を通す主人公の姿。
独自な生き方をするマーロウがサスペンスでバイオレンスな事件を、
自分の捜査で解決していくスタイル。どれを取っても神宮寺好きで嫌う理由がない。
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『EVE burst error』 → 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』
ミステリーの世界では『EVE』の様に2人の主人公が、
視点を交互させて終結する作品が多いので次に取れる作品は多く、
そこから攻めるのでは芸がないため、あえて文学畑より選択。
とはいえ、難しすぎる内容でも付いてくる人も居ないので
簡単な文章で楽しく読める文学でお馴染みの村上春樹から、
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を紹介。
この作品は文学作品と言うことで取っ付き難そうに見えるが、
2つの交互に示される世界はメリハリの利いたもので、
文学畑ではかなり解りやすい文章を用いているので案外スラスラ文章が入り、
また舞台となる2つの異なるように見えていた世界が繋がり、
終結に向かうストーリーの構図は楽しく、そして『EVE』に近いものがある。
何より村上春樹の最高傑作とも言われる作品だけあって展開は読ませるのだ。
著者の村上春樹は『ねじ巻き鳥クロニクル』以降、
完全悪が出てきてみたり、安易な描写に傾倒していった作家ではあるけども、
この作品と『羊をめぐる冒険』は個人的に評価が高い。一読の価値ありだ。


元ネタは上で挙げてる『長いお別れ』。エンターテイメントとブンガク性の中間地点に立っていた村上春樹円熟期の一作なので活字慣れしていなくても消費できるため、もしかしたら『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』より『EVE』ファンは楽しめるかもしれないという本末転倒なことを言ってみる。ただし、『風の唄を聴け』『1973年のピンボール』(双子の美少女に耳掃除してもらうハーレム小説)に続く三部作の最終巻なので、いきなり読んでも楽しめるかは不明。
ここに来てようやく、作品が本質的に異なる作品が挙げられたのであった。
だが、かなり性質が違う作品なので不安で仕方がない。
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『ひぐらしのなく頃に』 → 『7回死んだ男』
『ひぐらしのなく頃に』という作品はミステリーとしては、
『綿流し篇』をピークにドラマ性と疑心暗鬼の世界に方向転換していて、
ぶっちゃけて言えば風呂敷を広げすぎて収拾できたなかった所があると思うんだけど、
逆に言えばあのスケールの謎を世界観に塗りこむことができた作品だとも思う。
とはいえ本格ミステリーを期待したプレイヤーには食い足りない部分があるのは、
間違いないので題材的に似ているこの『7回死んだ男』をお奨めしておこう。
この作品は9回同じ日を繰り返して体験することが出来る主人公が、
死んでしまう予定となった祖父をなんとか助けるために奔走する内容なのだが、
ミステリーとして出来が良く、伏線を張りつつ紐解かれる人間関係から続きを気にさせ、
基本となるコメディとスパイスの利いたシリアスの配分量は絶妙で、
テンポ良く読める文章から快適に読書できる。
終盤にはこれまでの展開もちゃんと納得できる“オチ”も用意されており、
食い足りなさの補完としても十二分に機能するだろう。

逆にお奨めの本から、次の作品としてこの『解体諸因』も紹介。
この本の何が凄いって、わざわざ全部解体殺人を題材にしているんだけど、
それがもうどーかんがえてもトリックの後付で作られた、
当てこすりで無茶苦茶なもので、要は動機がギャグになっているわけだ。
私はこれを「これをどうギャグにするんだ!」と思いつつ読書し、
「やられた!こんなアホな動機があったとは!」と虚を突かれる体験を連続してしたので、
足りなかったギャグ成分をここで補充するのもアリだろう。
【コメント】
元ネタのコンセプトは完全に無視してるなぁ。
しかも有名なのばかりだって?ものすごい濃いのやっても戸惑うじゃないですか。
一応マイナーなのもちらりほらりと入れてるから勘弁して…。
年末の休みに入ったので、現在こんな感じ。
しかしこうなることで書かないといけない記事がどんどん増えるのであった。
完。










1 ■メリークリトリー!
僕、本も読まないし、新聞も読まないし、テレビ大好きなわけでもないし、
インプットが少ないのですー(>_<)インプットあってのアウトプットでしょー。
このままじゃ、この業界(?)で生き残ってけないよーo(TωT )
ということで、これからどんどん吸収したいです!
参考にさせていただきますにぇーv(^-^)v
『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』…コレ、完全に僕ですね。
僕という傷だらけの天使が、これからまさに、現代日本という魔都に、
怒りというハンマーを振りおろさんとしてるわけですから。
今に見てろよ!バーーーーーカ!