印象に残るBGMのアドベンチャーゲーム10選
独断と偏見でアドベンチャーゲームの良BGMを10作品選ぶ企画。
【印象に残るBGMのアドベンチャーゲーム10選】
『かまいたちの夜』
活動期間 1994年~2006年 BGM担当者 中嶋康二郎/加藤恒太
通常は一曲につき4~5分程度で聴き手にインパクトが残せればそれで良しとされるのが日本の楽曲だが、ゲームという主題があり時間単位で聴かれるのがゲームBGMの世界。当然ながらゲームのBGMはその特性に合わせて制作されていて、解りやすく別けると①プレイヤーの想像力をかき立てること。②主題(ゲームプレイ)の邪魔にならないこと。③聞き飽きないこと。の三つの要件を抱えている。
アドベンチャーゲームも当然それを念頭にBGMが作られているんだけども、その中でもこの『かまいたちの夜』のBGMは3要件を踏まえつつかなり高い完成度を誇っていて、未だに『かまいたちの夜』が高評価である理由の一つと見て間違いない。なにせサウンドトラックは高値で取引され、現在もニュースのBGMに使われたりするほどなんだから。これもひとえに、後に『忌火起草』の監督となる中嶋康二郎と、現在はボーイズゲームを中心に活動している加藤恒太の二人の力量のなせる技だったのだが、両者共に作品の音楽にそこまで関わらなくなった(中嶋は出世、加藤は退社している)のは、ファンとしては寂しい。このシリーズのBGMに関しては『2』も良く出来ているのだが、如何せん内容が…。
『街 運命の交差点』
活動期間 1998~2006年 BGM担当者 難波弘之/加藤恒太
『街』は複数の主人公が、それぞれを干渉しあって進むサウンドノベルだ。だから、それぞれの主人公に写真の色調や構図に特徴をつけてプレイヤーに印象の重複をさせない工夫を凝らしていて、当然ながらBGMもそれぞれの主人公に合わせて制作されている。これが見事なまでに主人公ごとに楽曲として立っていて、恐らくプレイし終えた頃にはそれぞれの主人公に使われたか識別できるほど。『街』が未だ多くのファンを抱えたタイトルであるのも、この主人公ごとにゲームとして立っていながら絶妙なバランスで共同世界を成しているという点があってこそ。実質的にまとめのカーテンコール(メイキングを見せることで「俳優の素顔」を見せ、驚きを完走感に昇華させている)EDの『One and Only』の効果も含めて、『街』という世界観作りには音楽担当の難波弘之の功績も間違いなくある。
『探偵・癸生川凌介事件譚』
活動期間 2003年~(現役) BGM担当者 石山貴也
唯一のケータイアプリ作品から選出。パッケージ版は音楽に『クロノトリガー』の光田康典が担当していたことが有名なのだが、本元のアプリシリーズは生王正生こと石山貴也がシナリオ・ディレクション・音楽を一任しており、動画に流れるメインテーマ曲も元は彼が作曲したもの。なにせこの人、今でこそディレクター業を生業としているが元々は『ときメモドラマシリーズ』『メタルギアソリッド』などのサウンドを手がけたサウンド畑出身者だもの。この『癸生川凌介事件譚』は初期のケータイアプリ作品なので、BGMも制約が多かったのだがメインテーマをはじめ印象に残る楽曲が数々収録され、音質的には向上した現在のアプリシリーズでも一部は起用され続けている。個人的にもこのメインテーマはお気に入りで、石山貴也の作品は初期の頃から触れているが、未だにシナリオライターとしてよりもサウンドデザイナーとしての方が評価は高い。
『逆転裁判』
活動期間 2001年~(現役) BGM担当者 杉森雅和/木村明美/岩垂徳行
当然ながらBGMはゲーム演出のひとつ。主体を活かすさり気無い演出としては『かまいたちの夜』が最も優れていたと思うのだが、ゲーム内での曲を入れるタイミングを意図的に目立たせることでストーリーを盛り上げる解りやすい「演出」の意味ではこの『逆転裁判』は頭二つ三つ出ていて、プラットフォームはGBAと音質的には据置き機には当然劣るのだが、そこを逆手にとって荒々しいながらスピード感のある楽曲を揃え、勢いを重視した『逆転裁判』のゲームプレイのテンポを良くする潤滑油としての音楽の完成度が高かった。特に裁判パートにおける「追随」時のBGMは入るタイミングは絶妙で、軽快でハイテンポな楽曲も合わさってロジックパズルにプレイヤーにカタルシスを与える大きな要素の一つとなっている。まあつまり、『逆転裁判』というタイトルの爽快感が、シナリオとシステム、そして音楽が絶妙なバランスの上で成り立っていたと言うことだな。
『シルバー事件』
活動期間 1999年~(現役) BGM担当者 高田雅史
BGM担当の高田雅史は元HUMAN組の一人。グラスホッパーマニファクチュア独立以前から『シルバー事件』の須田剛一とコンビで『ムーンライト・シンドローム』の様な“パンク”なゲームに関わり続けているが、作曲家としては別に須田の様な“狂った”作風ではなく、ジャズやクラシックなど多種多様な音楽を手がける幅はかなり広い。彼の音楽は須田作品の“パンク”な雰囲気作りには重要な役割を担っており、ゲームとして退屈なことが多い『シルバー事件』関係の作品の世界観を構築する重要な一要素になっている。特に「長い距離を延々と歩き続けるお遍路さんゲーム」であった『花と太陽と雨と』は、彼が作曲した軽快なアレンジBGMと保本信吾のギターがなければ退屈すぎてゲームとして成立しないと言っていいほど。フリーとなった現在も須田剛一と共にゲーム作りをしているが、『THE地球防衛軍』(サンドロッド)『無限航路』(ヌードメーカー)など元HUMAN系のメーカーの音楽を手がけることもままある。地味に豪華すぎるスタッフで話題になった『スマブラX』にも召集されていた。
『探偵 神宮寺三郎』
活動期間 1987年~(現役) BGM担当者 馳見゙Ace゛大地ほか多数
ゲーム音楽でもジャズミュージックは良く見かけるが、ここまで全面的に押し出し、そしてFC時代から一貫し続けているのはこの『神宮寺三郎』シリーズぐらいだろう。元々「雰囲気」つまり言えば、その世界観を楽しませることを念頭に入れたシリーズだったので、演出としての音楽周りが進化して行ったのは至極当然の成り行きなのだが、ジャズというテーマ自体は昔から取り組んできたためイメージもある程度は固定されており、安定感がとても高い。シナリオ面、演出面では徐々に弱体化しているシリーズなのだが、音楽面では未だに高い支持を集めるのも納得…なのだが、ここ数作は楽曲の使い回しが激しいのは残念。
『ウィッシュルーム 天使の記憶』
活動期間 2007年~(現役) BGM担当者 大久保賢/森祐紀
この作品もシナリオが主体でゲームとしては演出を重視しているので、アプローチとしては上の「神宮寺三郎」に近い。プラットフォーム的に“音”が捨てられがちな携帯機で、アメリカン・ハードボイルドの世界をゲーム世界に仕上げるため正攻法でここまでのクオリティーの音楽を収録した制作のCiNGスタッフには拍手。それもあった動画の「秘密」を筆頭にこの作品は印象に残る曲が多く、あの独特なグラフィックとの相乗効果もあってDS向けの雰囲気重視な作品でこの『ウィッシュルーム』の右に出る作品は今のところはない。
『ファミコン探偵倶楽部』
活動期間 1989年~1998年 BGM担当者 山本健誌
今回では唯一のファミコンから選抜。ファミコン時代の作品は、いわゆるピコピコ音で構成されているためイメージを触発させる能力は高いものの、音楽が演出の一つだったコマンド選択型アドベンチャーゲームとの相性が良いかはと言われると果てしなく謎なのだが、個人的にはこの『ファミコン探偵倶楽部』シリーズの楽曲は味があって好き。特に第二弾である『後ろに立つ少女』は『メトロイド』シリーズのBGMを殆ど全てに関わっている山本健誌がサウンドを担当していたため、名曲揃い。今プレイしてみるとシナリオ的には尻切れトンボといわれて仕方ない『後ろに立つ少女』を、独特の雰囲気をもった名作にまで押し上げられたのも、これらの楽曲を含めた演出能力の高さゆえだ。ついでに山本は『はじまりの森』にも参加しており、こちらも名曲が多い。
『MISSING PARTS the TANTEI stories』
活動期間 2002~2004年 BGM担当者 橋本美佐/風水嵯峨
監修・編曲は風水嵯峨。ご存知の方も多いと思うが、この方は既に故人。今回のBGM特集ではどうしても取りあげたい人物の一人だったので取りあげたのだが、彼の代表作である『久遠の絆』にしようと『風雨来記』にしようと趣旨的に浮いてしまうためあえて関わりの薄い『MISSING PARTS』を選択。作曲の橋本美佐は本作がデビュー作なのだが、彼女が師と仰ぐ風水嵯峨の元で丁重な仕事をしており、ボイスを入れなかったのも納得の頭に残る名曲がズラリ。ゲームメーカーとしてのF.O.G.円熟期の仕事ぶりもあって、印象に残る作品に仕上がっている。
『四八(仮)』
活動期間 2007年 BGM担当者 不明
いわゆる一つのオチ。別に10つ都合がつかなかった訳では…ないよね!
【コメント】
ケータイだとイメージが見えないニコニコはあんまり使いたくなかったんだけど、
BGM特集と言うことで何時もよりかは多くなっちゃいましたな。
しかし、何だかメジャーなのばかり集まっちゃいましたわ。
多分、自分の根本は結構ミーハーなんじゃないかなと思ったりもしました。
あ、今回の企画提供して下さった岸みきお(1stime)さんに感謝。










1 ■ウィッシュルームのサウンドについて
有限会社ティーズミュージック
大久保賢
森祐紀
がサウンドスタッフです。
ソースは、
大久保さんのブログの
http://blogs.yahoo.co.jp/mss_okubo/folder/1481305.html この記事か。
ウィッシュルームの説明書をご覧ください。