75歳のタクシードライバーと淡路島の旅 | 人気講演会講師の商売繁盛心理学|ビジネス心理学講師・酒井とし夫

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講演会講師で人気のビジネス心理学講演会講師・酒井とし夫が集客、広告、販売促進、ビジネスコミュニケーション、モチベーションアップに役立つ商売繁盛のための心理学スキルとノウハウを紹介します。

◆75歳のタクシードライバーと淡路島の旅

今週の月曜日、講演のために南あわじ市に向かう。
金沢からサンダーバードで大阪へ行き、三ノ宮から淡路交通バスで明石大橋を渡る。

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橋を渡り淡路島に入るとどこかでみたような感覚。
どこかな、と思っていたら、20年前に行ったサイパンを思い出した。

左手に遠く遠くまで広がる青い海。
右手にはあまり高くない山々。

ところどころに台風12号と15号の影響で崩れた斜面が茶色の地肌を表している。
しばらくすると今度は右手にも海が見える。播磨灘。

車窓に流れる海や山を見ながらバスに揺られること1時間。陸の港西淡着。

やや小雨。

バス停に降り立つと南あわじ商工会の三宅さんがお出迎え。
三宅さんはニコニコとしたとても感じのよい女性。
車中で三宅さんの関西弁を聞きながら「あ~、淡路島に来たんだな」と実感。

南あわじ市商工会着。
正面玄関前には小学校のプール。
裏手は刈り入れ時の緑と黄土色の田んぼ。

後で聞いた話だけどこの地域のイネは茎が長いのだそうだ。
だから、台風で多くの稲が横倒しになっている。
こうなると稲刈りがたいへんだ。機械でがーっと刈れないからね。

玄関に入り挨拶。
「こんにちは、新潟の酒井です~。」

正面、右、そして左と室内を見渡すと左奥にぴたっと視線が一致する男性を発見。
すぐにその男性が今回の講演の担当者の榎本さんと分かる。
目がグリっと大きく、短髪。一目で実直真面目な青年と判断。

打ち合わせの後、榎本さんにホテルまで送って頂く。
ホテルにチェックイン後、近隣を散策。

いつも講演に行くとその街をフラフラと散歩する。
なんとなく身体で街の雰囲気とか、匂いとか、色を感じる。
道を聞いたり、コンビニに入って買い物をしてその街の人と言葉を交わす。
徐々にその街に溶け込むイメージ。

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夜、ホテルを出てすぐの交差点を左折。
2つ目の辻を右に曲がるとそば・うどんの看板を発見。
あまり腹も減ってないので今日は軽くそばとビールに決定。


ドアを開けると目の前に島型のカウンターデーブル。右手に4人掛けのテーブルが3つほど。奥には小さな座敷も見える。

「いらっしゃいませ」
たぶん、間違いなく、ぜったいに若いころはさぞかわいらしかっただろうなと想像できる女将さんらしき人が明るい声で言う。


島カウンターには先客の2人がそばをすすっていたので、右手奥のテーブルに座る。

「てんぷらそばとビールをください。」
「ビールはビンしかないけどいい?大中小とあるよ。」
「じゃあ、中で。」

しばらくしてニコニコ女将と一緒に冷えたビールがやってきた。

「御姐さん、ここから鳴門のうず潮が見えるところまでは遠いの?」
と聞いたことからしばらく会話が始まった。

女将さんの話では鳴門のうず潮まではここからそう遠くないらしい。
でも、歩いてはいけない。バスは1時間に1本程度。もし、バスで行くとしたらこういう移動の仕方があり、タクシーで行くと時間はこれくらい、橋を渡って四国まで行くと料金がこれくらい、大鳴門橋の道路の下には歩道があるけど、歩くなら徳島側まで橋を渡らないとならない・・といったことを教えてくれた。

「私、兄弟がいててあちこちにおんねん。でな・・。(たぶんこんな関西弁だっと思う。違ってたら兵庫の人ゴメンネ)」

今年、女将さん兄弟は大鳴門橋の近くのレストランでみんなで会ったらしい。そして、来年もそこで会うと約束した。


「いろんなとこ行って『ここは海がきれいです』というところをいくつも見たけど、やっぱり私は淡路島側から見る鳴門の海が一番キレイやと思うわ。」
そう女将さんは言った。

さっそく、女将さん兄弟が集ったと思われるレストランをスマホで検索すると道の駅「うずしお」がヒットした。

「ここ?」
と聞くと、女将さんは画面をのぞきこんで頷いた。

その瞬間、私は
「ここに行きたい」
と強く思った。

ビールを飲み干し、そばを食べて、女将さんにごちそうさまを言って店を出た。
ホテルに戻り、風呂に入る。

明日は午後1時半から3時間半の講演を行い、夜に2回目を行う。
前準備や質疑応答を入れるとたぶん9時間近くは立ちっぱなしで、そのほとんどをしゃばりっぱなし。だから、早く布団に入った。

そして、布団の中で思った。
明日は早起きして絶対に講演前に鳴門のうず潮を見に行こう。


朝、6時に起きる。
目覚ましがなくてもだいたいこんな時間に身体が起きる。ジジイ化。

TVをぼ~っとみながら支度をして、ストレッチ。
あんまり腹が空かないので1階の食堂でコーヒーだけ飲み、部屋に戻ってひげをそって、歯を磨いて、講演会場に持っていく荷物を整理してから外に出た。

超絶のドピーカン。高い青空。

ホテルの隣がタクシー会社。
年配の男性が一人、事務所にいた。
「おはようございます。鳴門のうず潮を見に行きたいんですけど。」
「今から?」
「はい。」
「橋渡るの?」
「淡路側からは歩道を歩けないですよね。」
「そうや。潮の時間がどうやったかな。」


うず潮が現れる時間帯が毎日決まっているのだ。
だから、鳴門海峡を通る遊覧船のパンフレットには満潮、干潮の時刻が日付ごとに分単位で掲載されている。
その時刻に合わせて見に行かないと大きなうず潮を見ることができないんだ。


年配の男性が電話のような無線のような機械でタクシーの手配を始めた。
・・・でも、車の手配がつかない。

「えらく、忙しいんだね。」
と聞くと
「いや、車の台数が少ないんや」
とのこと。

「他のタクシー会社のドライバーを手配してもいいか?」
と聞かれたので、もちろんと答える。

男性はまた電話のような無線のような機械で話はじめた。
「これからや、ほな頼むわ」
みたいな言葉がオジサンの口から出た。どうやらドライバーが見つかったようだ。


数分で一台のタクシーが到着。
「おはようございます。お願いしま~す。」
と乗り込むと結構年配のドライバーさん。

走り出したはいいのだがかなりの低スピードでノロノロ走る。
え~、こんなスピードで行くのか・・・と思った瞬間、
「今、蜂の世話をしとったんや」
と、その年配ドライバーが言った。

「えっ?」
「蜂の世話をしとったんや」
「おじさん、蜂を飼ってるの?」

助手席のダッシュボードの上にあるネームプレートが目に入った。
ドライバーの名前は藤本さんというらしい。
「藤本さん、いくつ?」
「75歳」

藤本さんは前歯が2本無い。

「何時までに帰らなあかんの?」
と藤本さんが聞く。

「う~ん、11時。」
「ほな、3時間あるからいろいろ連れてったる。」

そこから車中で藤本さんは蜂のことをいろいろと教えてくれた。
ひまだから蜂を飼っているのだという。
働き蜂の一日の行動、女王蜂のこと、鉢の巣にはメスしかおらずオスは突然変異で生まれること、女王蜂が死ぬと働き蜂は解散してどこかへ行くこと、日本ミツバチと洋蜂の違い、飼育法などを面白おかしく話してくれる。


「あそこに蜂の巣箱がみえるやろ」
「ん?どこ?」
運転しながら藤本さんが茂みの方を指さす。
当然、私には分からない。

「興味あるか?」
「うん」

そういうと藤本さんは車を止めて、それからバックした。
そして、外に降りて
「あそこや」

よ~く見ると林の中に小さな箱がある。

「そこらじゅうに花がある。あそこにも、ここにも、あっちにも」
と藤本さんは花を指差す。

「あ~ゆうとこで蜜を集めるんや」
よく見ると確かに全体としては緑一色の林のあちこちに小さな赤い花、紫の花、黄色い花がある。

「藤本さんははちみつを作って売ってるの?」

違うらしい。
家族で食べる分を取り、たまに蜂を欲しい人に分けてあげるくらい。


車に戻り一般道の山道を登る。
さらに藤本さんの蜂の話は続く。

蜂の話をしながらふいに入れ歯の話になる。
藤本さんは入れ歯を作ったけど気持ち悪くて吐きそうになるらしい。だからふだんは前歯が2本欠けたまま。「奇跡のりんご」の著者の木村秋則さんみたいな感じ。
話しながら、ドアの窓から外に手をだして、その手を振り回しながらさらに話をする。

山の頂き付近の空き地に車を入れ、そこで止まる。
ちなみに藤本さんはさっきの蜂の巣箱を見つけた時も、大鳴門橋に向かう道以外の寄り道をする時も必ず料金メータを止める。

空き地の先は海、海、海の絶景。
左手はずっとど~んと広い太平洋と真っ青な空。右斜め前方には小さく大鳴門橋。その橋を目指して船が何艘も走っている。

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バブルの頃は鳴門海峡を通る船がもっともっと多かったのだそうだ。


後ろでクラクションが鳴る。
一台の車が空き地に入ってきた。
藤本さんが手を上げる。
二人は歩み寄り、しばし談笑。二人は幼馴染なのだ。

幼馴染が帰り際に言う。
「こいつは顔はごっついけど、気のええ奴やで~」
幼馴染は2回そう言って走り去った。

「そうや、蜂を捕る時の網があったわ」
そう言いながら藤本さんはトランクを開けてくれた。
しかも、それを被った。

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「こんなの、どこで買うの?」
「ホームセンター」
「あ~、ここにゴムが入っていて帽子に被せるんだ。」
「そう!スポッと。これ新潟製。」


二人は車に乗り、再びドライブに出発。
「藤本さんさあ、今まで仕事なにしてたの?」

藤本さんは地元の高校を卒業した。淡路から3人だけ推薦されてある大きな家電メーカーに研究者として就職。
しかし、20歳の時にお父さんが倒れて淡路に戻り、タクシーの運転手を始めた。
(翌日、藤本さんのお宅に伺うことになるのだけど、多分、自分でタクシー会社を経営しているのだと思う。立派な家にタクシー会社の看板が掛かっていて、1階は自動車整備ができるスペースがあったから。)


しばらくして道の駅うずしおに到着。
藤本さんは建物の裏手にある見晴らし台に連れて行ってくれた。
さっきより大鳴門橋が近くに見える。

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「お~、渦が見えるねえ。お~、すごい!すごい!」
「あんなもんじゃない。もう一時間するともっと大~きな渦が見られる。でも、11時にホテルに帰らなきゃいけないから、それまでの時間の中で一番いいうず潮を見せに連れて行ってやる」

二人で歩く。
歩きながら藤本さんが質問してきた。
「今日は11時から何の仕事だ?」
「商工会さんで講演」
「何を話す?」
「今日はキャッチコピーの話。」
「文の書き方とか言葉とか教えるンか?」
「そう」
「じゃあ、言葉の話を教えるわ。子供がふえるってどう書く?」
「ふえる?」
私は宙に「増」と書いた。

「そりゃ、単に数が増えるという意味や。
本当はこう書くんや。」

と、藤本さんは足元にあった棒っきれで地面に「殖」という字を書いた。


「宝物がふえる時は殖えると書くのが正しい。」


それから藤本さんは日本語の音読みと訓読みの違い、漢字一文字に込められた本質的な意味、その人が書く漢字や文章で素養や教育、育ち、礼儀作法が分かること、恋人と会う、合う、逢うの違いをジェスチャーを交えて面白おかしく、しかも理路整然と、まっすぐな目で話してくれた。

しばらく歩いて私がスマホで写真を送信しているとコンピュータの話になった。
OS、CPU、二進数、プログラム言語、マイクロソフトの話をずんずんと話す。
このころから私はこう思い始めた。
「いったいこの人は何者なんだ。」


藤本さんの口からはものすごい量の知識が溢れ出る。
蜂の話から漢字の意味から、プログラミングの話まで。


道の駅うずしお館内に入りエレベータで展望台へ。
展望台の外に出る。
左手にどこまでも続く太平洋。目の前に鳴門海峡。右手に瀬戸内海。後ろは淡路の山々。空は高く、雲ひとつない快晴秋晴れ。

藤本さんは満潮、干潮の潮の流れ、渦の巻き方。淡路の春のこと。夏のこと。秋のこと。冬の話をする。そして台風、津波、四国のこと、桜鯛の話をしてくれる。
潮の香り。そよぐ風。360度全開の海と山と空。


「人形とか興味ある?」
「はい。」

藤本さんは館内に入り人形浄瑠璃の資料館を案内してくれようとしたのだが、あいにく貸し切り上演中で入れない。残念。
その代わりにちょうどうずしおの3Dシアターの上映時間が近かったので、それを見る。

3D上映が終わって駐車場に行くと藤本さんはタクシーのボディをせっせと磨いていた。
「はい、お茶。」
と言って自動販売機で買ってきたお茶を手渡すとありがとうといって受け取った。

「そろそろうずの近くに行こうか」
と、再び、タクシーに乗る。

車中で藤本さんが言う。
「古事記とか日本書記は知ってるよね。」
「・・・んん、まあ、名前だけ。」

藤本さんは古事記について話し始めた。
聞いたことも無いような神様の名前がポンポンと飛び出す。
「昔な、高天原にあめのみなかぬしのかみという神さんが現れてな・・・」
「いざなきのみことさんと、いざなみのみことさんが天の浮橋に立って矛を海におろしてころころとかき回して引き揚げた時に、矛の先から海水が垂れ落ちた。その海水がたまって積もって島ができた。それがオノゴロ島。その島に天の御柱を見立てて・・・。」
「古事記の原書は今は名古屋の・・・」
「いざなきのみことさんと、いざなみのみことさんが交わった時の様子はこう書いてあるけど、千円程度の解説本にはそんなことは書いてない。でも原書にはちゃんと記述がのこっていてな・・・。」

本当にこの人の知識には唖然とする。


「よっしゃ、ちょうどええ」
そう言ってタクシーが着いたのは大鳴門橋のたもと。


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橋のすぐ下にまで入れる。
眼下には鳴門の大渦。



「思っていたより海水面の高低差があるねえ。」
「こんなもんやないよ。春に来たらええ。もっと凄いから。渦もこの倍はある。」

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海水面が太平洋側に向かって明らかに下がっている。
大きな幅の広い川のように海水が播磨灘から太平洋側に向かって鳴門海峡をはさんでごうごうと流れている。
その流れの先に大きな渦がいくつもできる。
渦の向こうには徳島。四国の山並み。左に大海原。右に播磨灘。紺碧快晴秋空。
陽光が水面に反射してきらきら光る。まぶしいけど気持ちいい。大きな大きなうず潮が足元でぐるぐる回る。まっすぐに長い長い橋が島と島をつなぐ。海風と潮の香り。大きな船が海峡を渡る。こりゃ、絶景だわ。
昨夜、蕎麦屋の女将さんが言ったことは本当だった。

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「藤本さ~ん!ありがとう。こりゃ最高だわ。」
私はでっかい声で何回か叫んだ。

「春に来たらええ。もっと凄いから。」
藤本さんが応える。


しばし、その時間を楽しむ。浸る。
見とれる。とはことういうことか。



「そろそろ・・」
藤本さんにうながされる。

「明日の予定は?」
「朝、商工会さんに高速バスの乗り場まで送ってもらう。」
「バスは何時?」
「陸の港西淡を8時3分発だったかな。」
「それ、8時2分や。もし早起きできるならおのごろ神社に寄って欲しいな。」
「オノゴロ?」
「さっき、古事記の話の中でいざなきのみことさんと、いざなみのみことさんが天の浮橋に立って矛を海におろしてころころとかき回して引き揚げた時に、矛の先から海水が垂れ落ちた。その海水がたまって積もって島ができた。それがオノゴロ島。いざなきのみことさんと、いざなみのみことさんがその島に高天原より降りきて、神聖な柱と広い御殿を見出した・・・と話したその柱と御殿がある神社。」

私がその申し出を断るはずもなく、翌日、朝7時にホテルで待ち合わせることとなった。

大鳴門橋からホテルに戻る車中で
「携帯で**番に掛けてワン切りしてみて。」
と藤本さん。
「はいはい」
と私。


ホテルの駐車場に車が着いた。
時計を見たらどんぴしゃり11時00分。(ホント)
恐るべし、タクシードライバー藤本さん。


着いた途端
「そや、1冊あったはずや。」
といいながらトランクを開けてがさごそと何かを探す藤本さん。

藤本さんがトランクから取り出したのは「古事記」の入門書。
その横にはドコモの携帯マニュアル。
やっぱり、この人、相当面白い。

「14ページと15ページ読んどいて!」
と言いながら私に「古事記」の入門書を手渡す。

別れ際に道の駅で買っておいたプリンを渡すと「こんなもったいなことするなよ」といった意味のことを関西弁で言いながら、ちょっと照れた感じで受け取ってくれた。

藤本さんと別れた私はシャツを着替えて、講演会場へ移動。
その日は午後から昼夜2回講演。(その様子はこちら


翌日はいそいそとホテルのチェックアウトを済ませて、外に出る。
今日も快晴の青空。
待っているとすぐに藤本さんがやってきた。


「昨日はありがとうございました。」
「昨日はプリンご馳走さん。美味しかったわ。」


と言いながら藤本さんはコピー用紙を私に渡した。
それは「古事記上巻 神話の世界」と書かれた資料。

藤本さん曰く、古事記の解説書にも安いのから高いのがあっていろいろ読み比べると解釈の違いがあったり、視点が違っていて面白いらしい。先ほど藤本さんからもらった資料はこれから向かうおのごろ神社についての記述がある高価な古事記解説書の数ページ部分をコピーしてくれたもの。

車中で藤本さんが聞く。
「ヨーグルト大丈夫?」
私が答える。
「ん?大丈夫ですよ。」

そういうと携帯で電話をかけ始めた。
どうやら奥さんに電話をしているらしい。
はちみつとヨーグルトを用意しておくように言っている。

ということはこれから藤本宅に寄るわけだね。
それはどんなヨーグルトなのか?昨日聞いた藤本さん自家製のはちみつは一体どんな味なのか?はたまた藤本さんの奥さんとはいったいどんな人なのか?
今日も朝からワクワクしっぱなし。


藤本さんのお宅はビルのような3階建て。1階部分が玄関と自動車の整備場みたいになっている。

奥さんが玄関から出てきた。
ニコニコしてて、丸い眼鏡が似合っていて、透明感がある感じ。
手にヨーグルトとはちみつがたっぷりはいったガラス瓶を持っている。

「こんにちは、新潟の酒井と申します。昨日からすっかり藤本さんにお世話になっています!」とあいさつ。

その場で、自家製のはちみつと自家製のヨーグルトがたっぷり入ったコップをぐるぐるとかき回して、パクっと頂く。

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・・・たぶん、49年間で食べたヨーグルトで一番美味い、と思った。
本当にそう思った。

「あ~。これ美味い!藤本さん、これ本当においしい。」
と言う。

すると奥さんが言う。
「ウチの健康食品!」

「あの裏にあるのが蜂の巣箱だ。」
と藤本さん。

庭に置かれた陽光にきらめく巣箱。
これが藤本印のはちみつ製造工場なのだ。
裏の雑木林の中にもたくさんこの箱があるらしい。


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「酒井さん、○○は好きか?」
「うん、好き。」

「ほんなら○○の作り方教えるわ。」
「え、え、え~っ、それって作っていいの・・・。」

ちょっとここでは○○については書けない。
それはフツーの人はよく使うけど、それを自宅で作っている人はほとんどいない。絶対にいない。そんなものまで藤本さんは自宅で作っていたのだ。

その○○の製造マニュアルを頂いたのだが、
「このとおりにやれば、誰が作っても美味い○○が出来上がる」
のだそうだ。


そのマニュアルには○○を自宅で作るための原材料から分量、製造方法までのすべてが記載されているのだが、以前、藤本さんがそのマニュアルを○○製造のプロに見せたところこう言われたらしい。
「あんた、タダもんやないなあ」



奥様に別れを告げて再びタクシーに乗り、おのごろ神社に向かう。

数分で到着。

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大きな大きな鳥居が朝日に照らされて光を放つ。
その鳥居の下で藤本さんに鳥居のくぐり方を教えて頂く。
さらに神社にお参りをする時のお辞儀の仕方も習う。
その後、手水場(ちょうずば)での手と口の清め方もご指導頂く。
さらにさらに階段の昇り方、おさい銭の正しい入れ方、御鈴の意味と鳴らし方までもレクチャーして頂く。
そして、この神社でいざなきのみことさんと、いざなみのみことさんがどのように契りを結んだのかをこと細かくジェスチャー付きで解説して頂く。


昨日の蜂の話から、漢字の意味から、プログラミングの話、満潮、干潮の潮の流れ、渦の巻き方。淡路の春のこと。夏のこと。秋のこと。冬の話。台風、津波、四国のこと、桜鯛の話。古事記・日本書記から神々の話。そして今日の自家製ヨーグルトから、○○作り、鳥居のくぐり方から始まる礼儀作法まで。もちろん、現役のプロドライバー。しかもおそらく社長。本当にいったいこの人は何者なのだ。


「そろそろ行こか。」

藤本さんとのお別れの時間が近づいてきた。三ノ宮行きの高速バスの停留所につながる階段下。ここでお別れだけど、やっぱり別れがたい。

ここへ来る途中、藤本さんは何回か私にこう聞いた。
「三ノ宮の電車は何時?」
藤本さんももう少し一緒に居たかったのかな。


バイバイ、藤本さん。


・・・高速バスに乗り一番後ろの左側の席に座った。
そして、淡路の海や山を見ながらこの3日間のことを思い出した。
いろんなことを思い出しながら、昨日は睡眠時間が短かったので途中で寝てしまった。
起きるとスマートフォンに着信が入っていた。それは藤本さんから。

三ノ宮の駅から電話をかけると、電話の向こうで藤本さんがこう言った。
「ちゃんと着いた?」


優しくて、面白くて、何でも知っている藤本さん。
再会の日まで元気でね。



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