リック・ベイカーだったんだ!(5)/ベイダーマスクのひみつ | アディクトリポート

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真実をリポート Addictoe Report

ようやく今回で終了…かな?

その1
その2
その3
その4

また脱線しないうちに、eFX社のサイト記述の、最後の部分を見ておきましょう。

Our master pattern was cast from vintage molds in the Lucasfilm archives which are believed to have been made by none other than Rick Baker from the screen used Vader helmet back in 1977.

今回の製品の一次原型(マスターパターン)は、ルーカスフィルム資料庫に保管されていた、一番古いモールド一式から型抜きしたものである。
そしてこのモールドは、映画に使用されたベイダーの実物のヘルメットから、1977年にリック・ベイカーが型どりしたものと推測される。


さて、では、
1.どうしてリック・ベイカーだと推察され、
2.なんで実物からの型どりが1977年だとわかるのか
ですが、

まずは1について。

リック・ベイカーは1作目『スター・ウォーズ』(1977)完成間際の助っ人として、
ロンドンで撮影しただけではみすぼらしかった、カンティーナ(酒場)のシーンの追加撮影のために、

↑グリードのマスクとコスチュームは、当初より複数個用意されていた。
↓この画面でも、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ぽぽぽ
↓〈はしのえみ〉みたいなエイリアン(右・ニンバネル)の隣にいるし、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-はしの
編集の差で、別々の個体として登場。
↓座して振り返る姿のこのカットの直後に、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ふりむく
↓ベン・ケノービの後ろに立っており、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-たってる
↓ドッキングベイ94での、ソロとジャバの対面シーンで、

↓女性2人(ジャニス・バーチェット/Janice Burchetteと、リンダ・ジョーンズ/Linda Jones)が演じた複数個体の前から、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-もえらか
グリードの種族(ローディアン)が、数人いることが示されていた。

グリードのマスクを、口や耳が動くように改造したり、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-あかまる
↑イギリスのスチュアート・フリボーンの工房で造形されたグリードのマスク(赤丸内)は、
↓ベイカーがアメリカのロス市内で可動式に改造。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-akamaru
↓元々の編集では目も当てられなかったグリード(と同種族の客)の登場する場面。

↓細長く生気に欠けるマスクは、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ほそなが
↓ソロのブラスターで黒焦げになるダミーにも使用。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ばくはつ
↑これは現在のDVD(や、間もなく発売されるブルーレイ)でも、コマ送りすれば見られますよ。

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↓ポール・ブレイクが、イギリスで演じたグリードのアップは、ほとんどカット。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-po-ru
↓代わりにリムジン運転手だったマリア・デ・アラゴンという女性が、ロスのラブレア通りのスタジオの追加撮影で、ベイカーが顔の各部が動くように改良したマスクで演じ直した。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-maria
↑吸盤触手状のグリードの指は、別種族デュロスのものに交換。
後ろを通るゴウタルのマスクは、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-goutaru
現在LFLにはなく、ベイカーと親交のあった中子真治が所有されているはず。


新規追加造形だけでなく、自分の作り置きのマスクまで総動員して、どうにかサマになるカンティーナのシーンに化粧直ししてくれた大殊勲者。

それだけに、『帝国の逆襲』(1980)では、当時の妻エレイン・ベイカーが、銀河皇帝の姿を演じたくらい、スター・ウォーズには縁がある。

1997年にボブ・バーンズ邸を訪れたら、管理厳重で門外不出のはずで、LFL社外では見たことのないSWのプロップがあって、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-asi
↑C-3POの足もありました。
カンティーナ・クリーチャー(モンスター)のマスクが大半だったから、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-suupatann
↑これなんか、何パターンか変遷モデルまでありましたよ。
これらは(中子氏同様に)リック・ベイカーから譲り受けたのだろう。

当時、ルーカスフィルムのVFX(特撮)工房ILMは、光学合成用の宇宙船作りで手一杯で、コスチュームの延長にある、
*実物大のマスク造形も、
*複数の同形品を量産する型抜きのやり方も、
*複製をとるための型の取り方も、
誰も知らなかった。

だからそれをやるとすれば、マスク造形から型取り、型抜きなんてお手の物の、リック・ベイカーしかいなかったんである。

終わらないけど、長くなったので、「その2.なぜ1977年だったのか?」についてはまた次に。

これだけ詳しくやってるんだから、いいよね?