姑息なすり替え/ルーカス、君にはガッカリだよ(その4) | アディクトリポート

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『ジェダイ』(1983)から『エピソード1』(1999)までの16年間にあった不穏な動き。
それはルーカスの神格化と、スター・ウォーズの神話化だった。

著名な神話学者ジョーゼフ・キャンベルは、1987年に没する直前に、
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-キャンベル
ジャーナリストのビル・モイヤーズと、
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-モイヤーズ
スカイウォーカーランチで対談し、
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ランチ
この内容は翌88年に「神話の力」というテレビ番組となり、本にもなった。日本語訳もある。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-神話の力

キャンベルは「映画スターウォーズは、神話における英雄伝説を完全に体現している」と指摘し、一方でジョージ・ルーカスも、キャンベルの著作を参考にしたと認めている。

----とかいうのを、〈特別篇〉(1997)あたりにようやく知って、知人から借り受けた「神話の力」を読んではみたが……クソつまらなくて、途中で断念した。

これまで、まがりなりにもSW研究の第一人者を気取って来て、それなりのルーツや元ネタには鼻がきく方だったのに、まるで予想外の神話学なんぞが出てきたことに、出鼻をくじかれたような思いもあったのかも知れないが、とにかくこの件に関しては、まるでピンと来なかった。

だいたい旧三部作の魅力は、自分にとってはキャラクターよりメカだったから、物語の根底に流れる神話性だとか、英雄のたどる過程なんかは隠し味程度でしかなく、それが映画SW成功の主要因だとも思えない、ということもあった。

そうこうしてるうちに、ますますSWの神話との類似点が取りざたされるようになった。
日本で1992年から翌93年まで1年間かけて開催された「ジョージ・ルーカス展」は、その翌年からアメリカ国内でも巡回展が開催されたが、むこうの学芸員やら司書らが、「わざわざ博物館でやるなら、こうやらなくちゃ」と尾ヒレハヒレがついて、「神話の魔術」という本まで出版された。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-魔術

一応買ってはみたものの、並んでいる写真をざっと眺めても、あまり感心しなかった。

たとえば比較に並んでいる写真が、こんな感じ。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-対比

それ(左)と並べて比較するなら、ふつーこっち(右)でしょ!
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-比較

といった具合で、本の最初から最後まで、
「その事物については、そのものずばりの元ネタが、他にあるじゃん!」
という、誰にでもわかりやすいものは意図的に除外され、
「よくもまあ、そんなものを持ち出して来て、それと強引に結びつけるよなあ」
という〈こじつけ〉に終始している。

それで結論は、ジョージ・ルーカスは、誰でも思いつきそうな短絡的なモチーフの引き写しなんかせずに、反対に凡人が思いも寄らぬものに着目して、いったん自分の中で消化して、これまた誰も思いつかない形に姿を変えて映画に生かした。(=だからルーカスはスゴイ。天才、ネ申)」みたいな結論になってる感じがする。

いやいや、違いますから!

もしもこの本「神話の魔術」の通りに、SWが神話の巧みな転用で、それを鮮やかにこなしたルーカスの手際の良さが賞賛されるなら、同じことは新三部作でもやれたはずではないか。

神話の作品への応用の極意をルーカスがつかんでいたなら、何もそれをSWに限定せずに、「ラビリンス/魔王の迷宮」(1986)とか、
↓♥ジェニファー・コネリー!♥
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ラビ
「ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀」(1986)
↓♥リー(リーア)・トンプソン!♥
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ダック
にだって、応用できたはずではないか!

なのに同じ奇跡は、二度は起きなかった。

生き残りのモイヤーズとルーカスの対談するテレビ番組は、『エピソード1』の1999年に製作され、日本でも後年にWOWOW等で放映された。
そこでの母シミと息子アナキンに関する分析は深く、映画本編よりも感動的で、その対談の後に流れる映画の一シーンに、不覚にも涙してしまった。
映画館では一度も泣けなかったのに!
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-別れ

映画よりその特集番組の方が感動的なんだから本末転倒、結局映画本編は失敗作だったことになる。

とにかくこういう巧みな大衆操作としての姑息なすり替え=神話化・神格化にごまかされ、本当のSWのルーツ、もっと俗に言えばパクリの元ネタ探しは、なんだか「やってはいけないこと」みたいな雰囲気になっている。

たとえば、最近発売された「SWエンサイクロペディア完全版三巻組」。
これがもう、本当に、クソつまらない!
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-完璧
「ええ、最新の辻褄合わせ会議の結果、今度こういうことになりましたので、皆さん、一つよろしくお願いします」みたいな、知っても役に立たないゴミ知識の集積で、ネットの無料SW百科事典ウーキーペディアの英語版(日本語版は怖くて見る気もしない)で、一番おもしろくてためになる「裏話」(ビハインド・ザ・シーン)に該当する記述は、何もない。

というわけで、このブログでは、SW各キャラクターのホントの元ネタ、そのものズバリに今後も迫って行きますので、ご期待ください。

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