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2009-08-20 09:43:50

発想の視点力

テーマ:アイデア生成本

「思い込み」の壁を突き崩せ

 前回紹介した「時刻表のヒミツ」では、1日に1往復しか走らない路線や1年のうち数日しか営業しない駅など、鉄道にまつわる常識外れのネタが紹介されていました。この種の話は、一度人から聞くと「へー」とその場では感心するものの、その場の話で終わってしまうか、いつかふと思い出したときの話のネタの素材になるくらいが関の山だったりするものです。

 でも、そこで一瞬「何で?」の一言が浮かぶか浮かばないかで、ただの小ネタを「生きる力」の種に変える土壌となると思います。なぜ、1日1往復なのか、なぜ廃止にはならないのか、なぜ1日1往復が必要なのか、そう考えるところから、その地域の持つ事情が見えてきますし人の流れも見えてくる。そして「ニーズ」とは何かまで考えが及んでいく。

 普段都心で暮らしている感覚では、いつ何時でも当たり前のようにやってくる山手線のダイヤが「電車の常識」として体に染みつき、その慣習に則って人の流れを捉えますが、それだけでは新たな流れを生み出す発想は見えてきません。時にはこうした、1日1往復の常識外路線の存在を視点の中に挟むと、いつも眺めている日常に多少の変化が見えてくるのではないでしょうか。そのわずかな変化にこそ、発想の種が潜んでおり、ビジネスチャンスそのものです。

 そんな、チャンスを捉える視点の育て方を説くのが、本日紹介する一冊「発想の視点力」です。

 人は日常の知識から得た“思い込み”にいかに依存して生きているかを、ズバリ指摘してくれるのがこの本の各章冒頭で出題されるクイズです。いわゆる「ミューラー・リヤの錯視図」と呼ばれる、目の錯覚を利用して上下に並べた直線のどちらが長いかを当引っかけ問題なのですが、まあこの種の本に手を出す人なら、この答えを知らない人の方が少数派でしょう。ところがところが、実はこの本に書いてある錯視図は一ひねり加わっているのです。しかるに読んだ人の大半がこれにまず引っかかるはず。もちろん私も見事にやられた口です。

 この問題が示しているのは、まさに「思い込み」の罠。新聞記者の取材でも、警察官の捜査でも、真実の前に立ちはだかるのはこの「思い込み」の壁です。商売でもそれは同じこと。その商品が売れている理由を、通説にとらわれて考えているだけでは真実は見えてこない。むしろ、売れている商品なのにそれを買わない層がいたときに、その理由を追及することが、対抗商品を生み出すヒントになる。この本ではこうした、視点の当て方を「比べる」「ハカる」そして「深掘りする」の3つの方向から突き詰めていきます。

 「常識にとらわれない発想力」は誰もが欲しいスキルですが、その方法を具体例を挙げて実践的に説いていく、実用的かつ刺激的な一冊といえます。

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