連載小説『 人形と悪魔 <約束の章> 第十一節 』 | ADNOVEL

連載小説『 人形と悪魔 <約束の章> 第十一節 』

手紙小説家募集  メモ小説家一覧  右矢印TOPへ戻る
左矢印第十節 』 右矢印第十ニ節 』 右矢印目次へ戻る
■作品タイトル
『 人形と悪魔 <約束の章> 第十一節 』

■作者
AZL

■スキルアート
小説

■作品
薄暗い地獄の端にやってくると、場違いなぐらいに
光輝く老人がそこに立っていました。

カロンは急いでいましたが、好奇心からその光輝く老人に声をかけます。

「じいさん、そんなとこで何してる?」

どうやらその老人は、天国に住む人間が間違って
地獄に迷いこまないように見張りをしているようでした。
興味ついでに地獄の住人についてカロンは質問します。

「この奥で苦しめられている人間は何をした?」

光輝く老人はこう答えました。

「地上で悪い行ないをした人間がここに連れてこられるんじゃ。
 犯罪を犯した者や、不信仰な人間、欲深い者達が連れて来られ、
 この先ずっと苦しめ続けられるのじゃ、まぁ悪魔であるあんたにゃ天国だろうよ」

カロンは嫌な予感がして訪ねます。

「例えばの話だが、悪魔と契約をした人間はどうなる?」

老人は声を張り上げて一笑いし、呆れるように悪魔に答えます。

「文句なしにここへ招待されるじゃろうよ」

そうだよなと、少しカロンは残念そうに返事します。

老人に別れの挨拶を済まし、飛び立とうとする間際、
カロンは最後に老人に質問します。

「死んだ人間に会いたくて、悪魔に騙されてしまった人間はどうなる?」
老人は呆れたような顔をして首を横に振ります。

「人を惑わし、騙す事を生業とする悪魔である
 お前さんが心配する事では無かろう」

そうだなと造り笑いをしてその場を離れるカロン。
その表情は晴れません。
自分のしようとしている事が正しい事かどうか解らなくなったからです。

自問自答しながらも、悪魔カロンは神様に教えて貰った場所へと続く
入口へと辿り着きました。

第3天の端の端にあるその場所には、大きな飾り気の無い門がそびえ立っています。
女の子の記憶が眠る場所へと続く門です。

その門の扉の中央には天使が1人立っていました。
驚いた表情をしながら悪魔カロンの事をずっと見てきます。

そこを退くようにカロンは言いますが、不審がってそこを退きません。

「貴様の様な悪魔がこの場所になんの用だ!」

天使は手にしていた槍の刃先をカロンに向けます。

天使と比べてカロンの体の大きさは10倍近くあったので
相手が天使といえどカロンはたじろぎません。

神様にこの場所を教えて貰った事を
強く言うと意外にもあっさりと
天使はそこを退きます。



左矢印第十節 』 右矢印第十ニ節 』 右矢印目次へ戻る
手紙小説家募集  メモ小説家一覧  右矢印TOPへ戻る
リサイクルadleafblog