朗読劇「文豪、そして殺人・前日譚~事件記者・尺光輝~」
御観覧、誠に有り難うございました。
大勢の制作スタッフの皆様、共演の益山君、小松君、別日の熊谷君、井上君、アンサブルで支えてくれた野村君、丸野君、遠藤君。
なにより、劇場に脚を運んで下さいました皆様、配信でご覧頂いた方々、叶わずとも念を送ってくれた方々。
本公演に関わった全ての人々に、改めて感謝を。
板の上に立ち、密度の高い客席が視界に入った時の興奮と感動。
大勢の皆様の前で芝居ができたこと、日を置いた今なお感謝の念が尽きません。
願わくは、皆様がもっと気軽に劇場に足を向けられる日が一日も早く来ますよう。
2年前、本編となる「文豪、そして殺人」に尺として出演して以来の参加となりました。
尺本人をやれないもどかしさはありましたが、さすがに10代は無理ですね(笑)
京都部忠明として、どんな尺と接することができるのかワクワクしておりました。
ツイッターでも呟きましたが個人的にやりたいことは全部出し切りました。
忘れ物はありません。
ライブでの掛け合いという最高に滾る環境に丸一日いられたのは本当に幸せですね。
蜂須賀広樹役の益山君とは一度朗読で共演をしたのですが、安心できる役者さんで、稽古の時からいろいろ甘えてました。
件のアドリブも稽古で初っ端から放置プレイしてみたらずっとやってくれてるので「これはいける!」と(笑)
2日間でゲネを加えれば計6ステ分のハードスケジュール。本当に頼りになる存在です。
小松君は初めましてでしたが、そこは賢プロ。
広樹の最後のシーンは袖で聴いてるのですが、辛い。本当に辛い。
京都部としては知るはずがないのに知ってしまうという、中々に気持ちの持って行き方が難しくなるほど良い場面でしたね。
おかげでいまだに軽い燃え尽き症候群みたいになってます。明日から仕事なのに(笑)
踏ん切りをつけるためにこうしてキーボードを叩いてます。
以下前作からのネタバレ的要素を含む書き込みになるので、ご興味のある方だけお付き合い下さいませ。
京都部忠明という人物についてはとてもシンプルで、
「蜂須賀広樹と彼の信じるものを守る」
ただこれだけでした。
アフタートークでも触れましたが、「当時の日本を包んでいた『漠然としながらも明瞭な価値観』を信じて疑わない人」というのをより個人にフォーカスさせていくとそうなるのかなと。
台本に目を通した時点でこの方針になり、それは最後まで変わりませんでしたね。
広樹に対する想いも、自身に関わる思いもそこからの肉付けになっていきました。
彼が同性愛者だったか否かはお客様人それぞれの解釈にお任せしますが、個人的には是ではないかと思います。
あの当時の同性愛者に対する理解は限りなく薄く、良くて病人、ほとんどは所謂「異常者」だったわけで、彼が自身の心の内に持っていた感情は彼自身が否定し隠し通さなければいけないものでした。
誰よりも自信を否定し、押さえつけていたのは京都部本人だったのでは。
だからこそ、その「心の拠り所」たらんとした広樹こそが救いであり「糸」だったのだと思います。