「ねえ?」
「なに?」
[俺んち、寄る?」
PVの撮影終わり。
ソギの車を運転している。
マネージャーが何人もいるのに。
彼がそう望んだから。
自分は眠いから運転したくないって。
俺だって、眠いんだけどな。
今日のソギは少しだけ機嫌が悪い。
ほんの少しだけ。
もう24時間近く一緒に撮影していたんだから、それくらいわかる。
俺が言いたいのは、少しってのが気になるってこと。
少しのはずがない。
今日は……
「ソギ、いいの?」
「なにが?」
「なにがって…」
ゲームをするフリをして、ずっと携帯を見ているくせに。
「あ。」
助手席に座ったソギが、携帯からちらりと視線を俺に向けた。
ふたえのまぶたしか見えないけどね。
「おっぱ…ジェウクヒョンとは、別れたから。」
「え?」
今日はまさにその人の入隊の日だ。
ソギが普通にいられるはずがない。
だって、昼も夜も、1日中、夢中だったんだもの。
俺が知り合ってから、初めて見た、ソギ。
華やかな世界にいる後輩が、あちこちで浮き名を流しているのは知っていた。
それが去年の暮れから、突然止んだ。
ただひとりの人を無我夢中で追いかけて、
時には、落ち込み、時には、超不機嫌になり、
その反対に舞い上がっていたり、ご機嫌だったり。
そして、ハッとするくらい綺麗な顔で笑っていた。
とにかく、あの人が大好きってオーラが、全身からばんばん出ていた。
そんな人が、入隊したんだから。
仕事で、見送りも行けなかったし。
すごーく機嫌が悪くても仕方ないと思っていたけど。
別れたなんて、聞いてない。
最近、変わった様子はなかったし。
「言ってなかった?」
「聞いてないよ。」
ソギはぷいっと顔を逸らして、そうだっけ?と惚けた。
「いつ?」
「いつでもいいじゃん。」
「いいけど…今日くらい連絡…」
「連絡?連絡くるのを、待ってればいいのかよ?こっちから、すればいいのかよ?」
流れる景色を見ながら、ソギが小さく言う。
反射する窓に映ったソギは、一点を睨みつけて、唇を人差し指で撫でている。
すぐ近くにある薄い肩は、力が入っているみたい。
「連絡、なかったんだ?」
「別れたんだから、当たり前だろ。」
狭い車内に、低い声が響く。
語尾が掠れていた。
「泣いてる?」
「泣いてない。」
こっちに顔を向けないけど、わかったよ。
人前では、絶対に泣かないからね。
「ヒョン、俺んち寄るよね?」
「夜から撮影だろ?」
「まだ夜まで時間ある。」
「いいけど…。」
ソギの手が、俺の腕を軽く引いた。
急に、車内の空気が変わった気がしてためらう。
ソギの自宅で遊ぶなんて珍しいことじゃないし。
なのに、ソギの冷たい手に、俺の二の腕を掴まれたら。
それがいつもの意味じゃないような・・・
「ヒョンは、俺と寝たいだろ?」
あっさり、確信に触れて、今まで見たことないような、
悪い顔で笑ってる。
車が信号待ちで止まった。
こいつ、絶対にタイミングを読んでいたんだ。
ソギは俺の左手を掴んで、自分のTシャツの中に入れた。
ソギの乳首が尖ってる。
「したいよね?俺と。ずっと、したかっただろ?」
柔らかな肌。
しっとりして、もっとさわりたくなる。
掴まれた手首が離せない。
こんな風に自分の気持ちを見透かされていたことを知るなんて、恥ずかしいのに。
利用されるなんて、悲しいのに。
ぽってりした半開きの唇から目が離せない。
ふざけてキスした感触が忘れられない。
もっと強く、深く、キスしてみたい。
友達だけど、俺はずっと前からソギが好きなんだ。
バレてたなんて…
バレないはずないか。
ソギは、頭がいいし、 冷静なところがある。
時々、凄くオトナに感じる。
「俺んち、来るよね?」
「おじさんや、おばさんは?」
「昼間だよ。事務所だろ。」
「……ソギ。こんなのよくないよ…。」
そっと掴まれた手首をふりほどこうとしたのに、強く掴み直される。
Tシャツの中、直に触れるソギの左胸。
ドキドキ…しているのは・・・
俺だけだ。
「どんななら、いいの?俺がヒョンを好きになるまで、待ってるの?」
キラキラ光る大きな目でのぞきこまれた。
反則。
いきなり芸能人オーラ出すなんて。
ソギは俺の手首をパッと離すと、前を向いてしまった。
「信号、変わったよ。俺んち寄ってね。」
クラクションを慣らされて、慌てて、車を出す。
前を見つめたままソギが囁いた。
長い髪に遮られて、表情は見えなかった。
「ヒョン。俺、ひとりだと眠れない。」
低くて、甘い声。
こいつに誰が逆らえるの?
男のくせに。
悪魔的にエロい。
こーなっちゃった(・∀・)
続きは未定。


