2002年、当時外交官であった佐藤優氏は、鈴木宗男議員とともに
日露外交で暗躍し不正を働いたとの容疑で逮捕されました。
(具体的な罪名は、背任容疑と偽計業務妨害容疑)
当時、マスコミが連日のように、
鈴木宗男議員のアフリカ出身の秘書や
北方領土に建てられた日露友好の家、通称ムネオハウスを
実にセンセーショナルに取り上げバッシングしていた様子は
いまだ記憶に新しいのではないかと思います。
たまたま佐藤さんの本を手に取ったのですが
思いがけずその内容に引き込まれ、何度も読み返しました。
(2006年に出版された単行本の文庫版です)
佐藤さんは出身が神学部で、もともとは外交官ではなくアカデミズムの世界に
身を投じたいと考えていたそうです。
また、この本から、佐藤さんの外交官としての手腕が
マルクス主義をはじめとする膨大なアカデミックの知識と
ロシア留学時代からのロシア人を知ろうとする努力に
裏打ちされたものであったことが分かりました。
ただ賢しいだけではなく努力の人(当たり前ですが)であることが分かりました。
この本を読み終わった後、佐藤さんのもう一冊の著書を読みました。
(2005年出版の単行本の文庫版です)
佐藤さんが外交官になるに至った経緯、
国家情報(インテリジェンス)を扱う情報分析官としての仕事、
ロシア政治家との関わり、田中眞紀子氏と鈴木宗男議員との確執、
逮捕から拘置所生活、裁判に至るまでの様子が克明に記されています。
(職業柄か、驚くべき記憶力だと思います。)
ロシアの政治家は、外国の政治家によって突きつけられる原理原則、主義主張が
いかに自国にとって受け入れがたいものであっても
それをいかなるときも貫き通す人間を信頼し尊敬するそうです。
この内容を真とみるか、偽とみるかは読み手が各自判断することですが
国を背負い、自分がいかなる状況に置かれても
最後まで主義主張を貫き通した当時の政治家および外交官の美学に
読み手として、人として感動を覚えました。
そして、この本の内容が真実であると仮定した場合、
当時のわたしには、そのほとんどが
見えていなかったのだと感じました。


