地裁の行政訴訟。



【事実関係】


身体障害者の夫婦が生活保護を受けていたが、

市の行政指導で「自家用車を手放すよう」指示されていたことに応じなかったため、保護停止処分を受けた。


「自動車以外の手段で買い物や通院などを行うことは極めて困難で、

 所有を認めなかった処分は違法」として提訴。



【判決】

処分の違法を認め、処分の取消しと慰謝料の支払いを命令。





【私見】


生活保護は、

憲法25条に定める『健康で文化的な最低限度の生活』を維持することができない者に対し、

国が必要な保護をし、最低限度の生活を保障することを目的する。


保護の範囲は補足性が原則。


要は、『最低限度の生活』を維持できるなら生活保護を受給できない。




市は、


車を所有し維持できるなら最低限度の生活を維持できるだろうと単に判断したか、


または、


生活保護法が医療扶助として法15条6号、生活扶助として法12条2号、で『移送』を定めているため、

これを逆手にとり、移送を必要とする生活保護者は生活する上で必要な移動手段を有せず、

これがなければ最低限度の生活ができない者、

つまり、移送を必要とする者が生活保護を受けるには、移送手段を持っていないことと判断したのだと思われる。



要保護者ないし被保護者が自家用車を所有していたとしても、

移送の扶助を受ける必要がないだけであって、それのみで生活保護の補足性が充足するわけではなく、

不支給を結論付けることはできない。



自分自身、業務で生活保護を受けている方からの無料法律相談を受けたことがありますが、

今後の業務にも活かせる時が来るかもしれない判例だと思いました。





【追記】


本件の流れは、生活保護法につき

①処分に不服がある場合⇒審査請求(法69条)

②棄却されたら⇒取消訴訟(行訴3条2項)と義務付け訴訟(行訴3条6項)を併合提起(37条の3第3項2号)。


試験問題の記述に出そうな事例だと思う。




最後まで読んでいただきありがとうございます m(_ _)m

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