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2012-05-28 00:14:31

ある夏の情景

テーマ:ブログ


蒸し暑い夏の日の事だった


僕は母親と田舎の田んぼ道をトボトボと歩いていた


よく晴れて空は真っ青だった


具合の思わしくない母を病院に連れていく為にバス停まで歩いていたのだ


母は体が辛いのか
時々歩くのをやめて
立ち止まって田んぼを眺めている


田んぼは田植えが済んで水をたっぷりとたくわえている
水面に青い空が反射して見える
なんだか涼しげな光景だ


母は田んぼの上を吹きわたる風を感じているのか

いつまでも田んぼを眺めている


僕はそんな母を心配しながらも
バスに遅れてしまわないか不安になっている


僕は空を見上げる


飛行機が遠くに飛んで
後に長く白い飛行機雲を作っている


僕は軽くため息をついた


母はやっとゆっくりと歩きだす

僕もゆっくりと並んで歩く


しばらく歩くと小さな売店がある
店先には氷の旗がひらひらと風になびいていた



母は
「ノドが渇いたね。何か飲んでいくか」
と言った

店の奥から老婆がニコニコと笑いながら顔を出す


「うん、そうだね。何を飲もうか?」

僕はそう答えながらも
バスに遅れないか心配している



まだまだバス停は遠い…








これが母親が亡くなって3年後に


始めて見た母親との夢だった。






2012-05-19 14:35:07

雨の日の思い出

テーマ:ブログ


雨の日の記憶は
遠い幼い頃の思い出につながっている


僕がまだ保育園に通っていた頃
母親は仕事をしていて
いつもお迎えが遅かった


友達がみんな帰ってしまっても
僕は薄暗い教室でお迎えを待っていた


雨の日は窓ガラスに当たって流れる雨粒をいつも窓辺に座って見ていた


梅雨の頃にはかたつむりがいて
窓にそってゆっくり動くカタツムリの後を
指で追ってなぞっていた


窓からは園庭に植えられた紫陽花が雨にうたれてきれいに咲いていた


ため息が窓ガラスを白く染めた

そこに指で落書きをして遅く流れる時間を切り刻んでいた


ため息が寂しさに変わり

雨粒のように
涙が流れそうになるのをこらえる時もあった


次々とお迎えがきて
帰っていく友達


いつも残される子供たちの顔ぶれは決まっていた


最後まで残っているのは3~4人だった


保母さんも机に向かって本を見つめたまま動かなかった

まるで時が止まってしまったようだった






やっと母が来て

僕はバネ仕掛のオモチャのように母に向かって
駆け寄った




でも
僕のお迎えがきても


いつもまだ残っている女の子がいた


彼女は僕に必ずバイバイって手を振ってくれた



その寂しそうな笑顔が

今も忘れられない




いまでも時々
雨の日に窓に打ち付ける雨粒を見ると


彼女を思い出す




いまはもう






最後まで待ってないといいんだけど。






2012-05-04 17:08:09

歌は人生の応援歌

テーマ:ブログ


昨日久しぶりに友人とカラオケにいった

自分の好きな歌を思う存分に歌った時に
ふと気付いた事があった

それはカラオケの画面に表示されたある作詞家の名前だった



星野哲郎




『幸せは歩いてこない
だから歩いて行くんだね
一日一歩
三日で三歩
三歩進んで二歩さがる』




「365歩のマーチ」
「函館の女」
「男はつらいよ」
「昔の名前で出ています」


などの名曲を世に送り出し85歳でお亡くなりになった名作詞家だ



もともとは船員だった

遠洋漁業の後
病気療養中に雑誌に投稿した歌詞が入選し作詞家デビュー


彼の作詞家哲学は


「歌はすべて人生の応援歌」
であった


冒頭の「365歩のマーチ」はその思いが凝縮されたような傑作だった




ネオン街を愛し
店が替わったホステスから電話があり
またお店に来てねと誘われた
源氏名を尋ねると

「前と同じよ」
と言われ


「昔の名前で出ています」

が生まれた




『はるばるきたぜ函館へ 逆巻く波を乗り越えて』


「函館の女」は

作曲家の島津伸男さんに
急がされて自宅でその詞を書いた

慌ていたが突然尿意を催した

急いでトイレに駆け込んで
出てきてほっとして言った一言がそのまま歌詞になった


『と~ても我慢が できなかったよ~』


笑い話のような本当の話だった




生前 創作の舞台裏について聞かれると

「僕は今でも懸賞屋の癖が抜けなくてね 選者の心を射止める為には出だしが肝心 だから僕の歌は最初の二行が一番いいところ二行が決まると後はサーッとできる」




『俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ 分かっちゃいるんだ妹よ いつかお前の喜ぶような 偉い兄貴になりたくて 奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の 今日も涙の日が暮れる 日が暮れる』



うん うん そうだよなぁ
と共感しながらも


『ドブに落ちても根のある奴は いつかは蓮(はちす)の花と咲く 』




共感させて
最後に励まされて
ホロリとする


そして
また頑張ろうと思う



そうだったんだ


この歌も星野さんの歌だったんだ



知らないうちに励まされていたんだなぁ


温かい眼差しに感謝…





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