先週の土曜日、常滑のやきもの散歩道にある『器とくらしの道具morrina』さんに伺ってきました。
morrinaのオーナー杉江さんとは、くらしやモノに対する考え方や想いがとってもよく似ていて
お会いするたびに時間を忘れて語り合ってしまいます。
器についてもいろいろと教えて頂いている、先生のような同士のような、私にとってそんな存在。
先日お伺いしたときは、2階ギャラリーで大原光一さんの個展が開催されていました。
常滑の土を使って薪窯で焼かれる大原さんのつくる器はとても力強く、
素朴でありながら、深みのある色と美しい質感が特徴。
たまたまギャラリーにいらっしゃっていた大原さんに、ご趣味だと言うお抹茶を立てて頂いて、
色々とお話を伺うことができました。
私はモノづくりをされている方にお話を伺うときには、
「その方とその方が生み出されたモノとの間にどんなストーリーがあるんだろう」
そんなことに注目しているのですが、大原さんはこんなことをおっしゃいました。
「器がもともと持っているストーリーに比べれば、僕ら作家のストーリーは本当に小さなことです。
地球は、もともと器と同じようなもの。
固い岩が、何万年もかけて様々な生物の体内を通り、柔らかい土になったんです。
焼き物の原料となる土は、言ってみれば地球の生(せい)の営みそのもの。
そんな生を形にし、焼いて固めることが器をつくるって言うことなんです。
時間の流れを止め、生を止めること、それが器をつくるということ。
器という形を作りながら、生きている土を、元々の地球の固さと同じにするんです。
器を持つということは、地球のカケラを持つということなんですよ。」
何万年も前につくられた土器や土偶が、時の流れを経て同じ型で発掘されたりします。
一度焼き固められ、時間の流れを止めた陶器は、ずっと器になった形をとどめたまま
あり続けることになるんですよね。
今、私たちは、様々なところで簡単に器を手に入れることができます。
でも、こんな風に器になるまでの、土が持っている長い長いストーリーを考えると、
改めてそれを手に入れることはとても大変なことなんだって
私自身も大原さんの言葉から気づきました。
流れ続けている時間の中で生きている土から生まれてくる食べ物を盛る
「陶器」という名前の地球のカケラ。
皆さんは、どんな地球のカケラを持ちたいですか?
写真右がmorrinaオーナーの杉江さん。左が、大原光一さん。
大原さん、ありがとうございました!
morrina杉江さんとは、9月に素敵なコラボ講座を計画中です。