あぶが旅立ったのは6月6日8:15。
ほんのひと月前のこと。
ちょうど震災のあった頃からでした。
なんだか食事の量がめっきりと減り、ちょっぴり様子が変。
病院で診てもらうと歯肉炎のせいでは?と抗生物質などを処方されました。
薬を飲ませても一向に良くなる気配もなく…。
しばらく経ち、ならば歯科施術をいたしましょうということになり、
どうせ麻酔をけかるならばと、以前から気になっていた膀胱内の石も除去することに。
そして手術当日。
麻酔をかけ、口を大きく開いて見た時に獣医さんがその存在に気付いたのです。
癌……。
手術は中止。
その退院から数日後には、あぶは殆ど食事を摂らなくなりました。
身を隠す場所を探して家の中をウロつくようになり、
物陰でひっそりと過ごす時間が長くなりました。
旅立ちの準備。
私達は1日でも長く生きていてほしいから、無理にでも食物を与える。
口にすれば排泄しなくてはならない。
生きるものの定めだ。
排泄をするあぶが苦しむ姿を見た時…「やめよう」、そう思った。
あぶは準備をしている。
少しずつ少しずつ自分を清めていってる。
お水だけをひたすら飲むあぶ。
ガリガリにやせていく姿を見るのはつらいけど、
それでもあぶは必至に生きている。
亡くなる五日前まで支えられながらもトイレで用を足していた。
自力で立てなくなった時、元気な時ならば絶対に嫌がったであろうオムツを
なんの抵抗もなく受け入れた。
ねぇ、あぶちゃん。
私はあなたのオムツを替える時、オムツが濡れていたら本当に嬉しかったよ。
あなたが生きている証拠だもの。
まだまだ生きていられるってことを約束されているように思えたもの。
あなたの愛らしいオムツ姿をみんなにも見てもらおうね。