復活LOVE〜スプリンクラー
#6 「長い孤独、
君なしでは生きられない ③」
趣味、嫌いな食べ物、
笑いのツボ、
育った環境、
そんなところが似ていて、
二人でいることが自然になった。
そんな表立った部分は似ていても、
性格や考え方はまるで正反対の僕らで。
凹凸のあるパズルのピースをはめ合わせていくように、
隙間が出来れば、
その足りないところを埋め合わせるように…
それで、大丈夫だと思っていた。
上手くいってると、思っていた。
二人で居られるだけで
足りないものなどは ないと…
君は束縛されるのが嫌いで…
だから、いつもいつもくっついてるような関係ではなく、
お互いに何よりもまず、
自分のことを優先して、その時間を尊重し合っていた………
え、
待った。
そんなこと、君が言ったんだっけ?
君が……言った……?
君がこの部屋を出てから、
君を失ってから、
僕はたくさんのことに気づくよ…
リビングの隅に積み上げた、君が買ったファッション雑誌の中に、
たまに混じっていたのは旅行のパンフレットだった。
それを抜き出して、
1冊ずつペラペラと目を通してみた。
「金沢か…行ったことないな。」
いや、君は友達と行ってたよ。
金沢も、箱根も、小樽も、沖縄だって。
確かいつも、仲の良い同僚の子たちと3人で。
それなのに、
そのパンフレットの全てに印が付けてあったのは、
「………2人…?」
2人、2人、2人。
二人での旅行プランばかりだった。
束縛されるのを嫌っていたのは君じゃない。
僕だ。
自分のことを優先してきたのも、
君じゃない、
僕だ。
僕が生きやすいように、君がいつも…
いつも…
初めから凹凸が上手く出来ていたわけではなく、君がその姿を柔軟に…
いや、
時には我慢もして変えてくれてたんだ。
隙間を埋めるのではなく、
形を変える努力をし続けてくれてたんだ。
僕はなんて馬鹿なんだろう。
僕だけが、我慢も努力もしてるんだと、
そう思い込んでいた。
君の淋しさ
知らずにいたこと 悔やむだけ…
淋しいとか、
我慢だとか、努力だとか、
そんなダイレクトな言葉を口にすれば、
壊れてしまう。
そんな危うささえ、
君はきっと気づいてた。
待ち続けると決心はしたものの、
失ったものの大きさに僕は愕然として、
積み上がった雑誌とともに、
その場に崩れ落ちた。
もう遅いのか、
今頃気づいても、もう、もう……
(つづく)