2010-03-18 00:20:22

③決算書 の 読み方 の実例(下準備編)3

テーマ:3.「会計」を経営にどう活かすか
福岡 税理士・公認会計士の阿比留です。

【セミナー】私が決算書を読む場合

私が初めての会社の 決算書 を 読む 場合 について説明した動画です。
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<概要>
今回の記事はこちらのつづきになりますので、まずはこちらからご覧下さい。

3.会社の決算書をおおよそで予想する
さてここまでで、

・常識で考えた中古車販売業のイメージ

・拠点数や人員数などのこの会社独自の情報


を把握しました。

次のステップとして、これらを使って、

「この会社の決算書はたぶんこんな感じになっているはずだ。」

という数字を予想していきます。

予想する順番としては、私の場合は、

①まずはビジネスの土台になる、設備などへの投資がどうなっていそうか

②日々の業務で発生してくる在庫や売上債権(売上のツケ)、仕入債務(仕入のツケ)がどうなっていそうか

③これら①②のために必要なお金をどのくらい、どうやって集めていそうか

④ビジネスの結果としての利益の構造はどのようになっているだろうか


という感じでやっていきます。

この辺は具体的に話を進めた方がわかりやすいでしょう。

早速、

①まずはビジネスの土台になる、設備などへの投資がどうなっていそうか

からいきましょう。

前回の記事で書いたとおり、中古車販売業の店舗に関するイメージは

・やや町の中心部から離れた郊外

に、

・それなりに広い敷地をもった店舗

ということでしたので、単純に考えると「土地」という資産科目にそれなりの金額があがっていそうな気がします。

逆に、「建物」という資産勘定なんかは、割と簡素な作りの平屋のイメージなので、そんなに大きな金額にはならないでしょう。

しかも、この会社は

・営業所は5か所

でしたし、普通に考えると、中古車販売業が店舗をたくさん持っているとしても、

・各店舗それぞれが同じような作り

になっているでしょうから、単純に、5か所分の「土地」が資産として計上されていそうです。

逆に、実際の決算書を見たら「土地」という資産勘定にあまり金額があがっていなかったとしたら、どうでしょうか?

中古車販売業で土地そのものを使わない、ということは通常考えられません。

となると、自分で土地を持っていないわけだから、誰かから借りている、と考えるのが自然です。

その場合は、「土地」という資産勘定が無い代わりに、「支払賃料」という費用がそれなりの金額あがっているはずです。

というわけで、

①まずはビジネスの土台になる、設備などへの投資がどうなっていそうか
に関しては、

・おそらく「土地」という資産勘定にそれなりの金額があがっているだろう。

・逆に、「土地」勘定が無い場合は「支払賃料」にそれなりの金額があがっているだろう。

・土地以外の「建物」とかはそんなに大した金額はあがっていないだろう。


という予想をたてました。

次に、

②日々の業務で発生してくる在庫や売上債権(売上のツケ)、仕入債務(仕入のツケ)がどうなっていそうか

を予想してみましょう。

前回の記事で書いたとおり、中古車販売業に関するイメージは

・敷地に中古車が、お手頃価格のものからそこそこの高級車までがズラッと並んでいる

でしたので、単純に考えると、「商品」という資産勘定にそれなりの金額があがっていると予想されます。

車の場合、1台の単価が高いですし、台数も結構あるでしょうからね。

それから、自分が車を売ったとき、つまり中古車販売業の仕入のことを考えてみると、

・お店としては、車を買い取ったらその代金はすぐに支払う

で、反対に自分が車を買ったとき、つまり中古車販売業の売上のことを考えてみると、

・車を買ったお客さんは、大体ローンを組む、ローンを組まない場合は即金

でした。

ということは、仕入に関するツケである「買掛金」という負債勘定はほとんど発生しないでしょうし、

売上に関するツケである「売掛金」という資産勘定もほとんど発生しないでしょう。

あるとすれば、ローン会社からのローン実行待ちの金額分くらいでしょうか。

というわけで、

②日々の業務で発生してくる在庫や売上債権(売上のツケ)、仕入債務(仕入のツケ)がどうなっていそうか

に関しては、

・「商品」という資産勘定にそれなりの金額があがっているだろう。

・「買掛金」という負債勘定はほとんど発生しないだろう。

・「売掛金」という資産勘定もほとんど発生しないだろう。


という予想をたてました。

次に、

③これら①②のために必要なお金をどのくらい、どうやって集めていそうか

の予想ですが、これについては普通の中小企業の場合は、株式の発行や社債の発行による資金の調達を行う可能性は低いです。

ですから、余程の事前情報が無い限りは、

①と②で予想される資産勘定と負債勘定の差額分くらいを銀行・代表者・関連会社などからの借入でまかなっている

と予想して差し支えないでしょう。

最後に、

④ビジネスの結果としての利益の構造はどのようになっているだろうか

を予想していきます。

前回の記事で書いたとおり、この会社は、

・例えば、中古車に何らかの改造をして価値を高めてから販売する、というようなことはなく、一般的な販売業務に徹している

ということでした。

通常は、自社で独自の加工などをすればするほど、販売する商品・サービスの付加価値が高まります。

逆に、仕入たものをそのまま販売する場合は、同じ商品を扱っている限り他社との間で商品そのものには差がつかないことになります。

なので、その場合は仕入値と販売値の差である利幅は、薄くなる傾向にあります。
(卸売業・小売業がこれにあたりますね)

ということは、この会社の利幅はせいぜい15%前後、良くて20%とかでしょうか。
(イメージ的には、卸売業だと5~10%前後、製造業は30%前後くらいと思っています。)

利幅が厚くないので、在庫の回転を高めないといけないタイプのビジネスですね。

それから、

・従業員数は38人

ということでしたので、1人あたり年間人件費3.5百万円としても、単純計算で133百万円くらいの人件費が費用勘定としてあがっていると予想できます。

また、中古車販売業といえば、中古車情報誌や中古車情報webサイトへの掲載を行うでしょうから、「広告宣伝費」という費用勘定が発生するでしょう。

あとは、上の①で書いた「支払賃料」が発生するかどうか、というところでしょうね、大きな費用勘定としては。

というわけで、

④ビジネスの結果としての利益の構造はどのようになっているだろうか

に関しては、

・利幅はせいぜい15%前後、良くて20%くらいだろう

・人件費は133百万円くらいだろう

・「広告宣伝費」という費用勘定がそれなりに発生するだろう

・「土地」という資産勘定が無い場合、「支払賃料」がそれなりの金額あがっているだろう


という予想をたてました。

さあ、このような予想をたてた上で、いよいよこの予想と実際の決算書を見比べていくわけです。

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