網走五郎・神社物語

天井桟敷時代、喧嘩三昧で明け暮れた網走五郎が神主になり定年退職を迎えるまでの物語である。 


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 網走五郎・神社物語 (24)

            菊地藤吉

 教育学博士の菊地藤吉(当時70歳)は「月例英霊顕彰祭」をおこなうため、毎月第1日曜日、沖縄県護国神社に訪れていた。菊地藤吉も室崎清平と同じ北海道出身であった。
 菊地は終戦直後の青年時代、共産党中央闘争委員として活躍していたが、谷口雅春の「生長の家」にふれ百八十度思想転換を計り、沖縄復帰の昭和47年まで「生長の家」本部理事を勤めていた。著書には「ここに道あり」などがある。
 その後生長の家を離れ沖縄に移住。移住にあたっては元参議院議員稲嶺一郎(元沖縄県知事稲嶺惠一の父)元衆議院議員国場幸昌・湧川善公・仲里誠吉・仲田稲造・恵憲一外五名連署での陳情要請があった。
 菊地藤吉にあてられた陳情書。

「沖縄は、去る五月十五日を以って米国施政権下に終止符を打ち、晴れて沖縄となのれるようになり、日本国民としての権利を回復致しました。沖縄は日本の縮図ともいわれ、政治、経済、教育、いろいろな面で問題の多いところでありますことは、御承知の通りであります。米国施政権下における反米思想は、復帰後、日本政府及び自衛隊即軍国主義復活と宣伝し、特に、沖教組が中心となって、反体制運動に父兄をまき込んでいる現状であります。このまま沖縄が放置されるならば、将来日本に大事をもたらす様なことになるのではないかと心配されます。それでふぼの教育、つまり家庭教育に自信をもたせ、社会教育の健全化を図り、青少年教育を強化しなければなりません。又、自衛隊と県民との相互理解を深めるために、自衛隊及び県民にたいしての時局講話など、その必要性を強く感ずるものであります。それに、日中国交以来、沖縄は地理的条件から益々重要性を帯びてきております。日本の最南端沖縄と、中華民国とは、今後教育、経済面でも一層交流を深め、健全なる思想の強化を図らなければなりません。近づく国体、海洋博と、めまぐるしい中で益々思想面、道徳面の教育が痛感されます。簡単に、かいつまんで申し上げましたが先生には、お察し戴けるものと思います。沖縄県民のためばかりでなく、日本国家のためにも、一日も早く先生を沖縄にお迎えもうしあげたいと思います。本部理事という重職にあられることを承知の上で、お願い申し上げております。どうぞ沖縄の異状な情勢を御賢察の上御承諾下さいますよう、私共一同連署してお願い申し上げます。                                                        
                                昭和四十八年二月十一日  」
 
 菊地藤吉は移住後「財団法人 沖縄総合教育センター」を設立。教育センターには「話し方教室」「応用心理学教室」「日本語教室」「心の相談室」「母親大学」「はなぞの保育園」「お母さん友の会」「人生問題日曜講座」「沖縄むすび会」などがあり、菊地は沖縄の教育に力を注いでいた。
 五郎は同郷のよしみで、「月例英霊顕彰祭」に訪れた菊地藤吉に、声が出なくなっている旨を相談した。
 菊地は笑顔で答えた。
「私のところに話し方教室がある。すぐ話せるようになります」
 話し方教室は初級クラス2ヵ月、中級クラス2ヵ月の計4ヵ月で、五郎は菊地の勧めにしたがい通い始めた。1ヵ月もしないうちに正式参拝での挨拶ができるようになった4ヵ月後には、ほぼ天井桟敷にいる時と同じ状態まで戻っていた。
 その後「応用心理学教室」へと進んだ。応用心理学とは、フロイドの精神分析等難解な心理学を、実生活に応用するため分かりやすく教えてくれる心理学で、第一章 意志について  第二章 本能について  第三章 欲望について  第四章 知覚について  第五章 記憶について  第六章 思考について  第七章 知能について  第八章 感情について  第九章 情動について  第十章 パーソナリティーについて・・・と次々学んでいった。
 五郎は「応用心理学教室」で心理学を学ぶことにより、人間への理解を深め、のちカウンセラー資格を取得し、
菊地藤吉が不在の時は「応用心理学教室」の講師を勤めるまでになっていた。
                          (次回につづく)

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