- 花柳界には独自の言い回しや言葉があります。
- 一般化して使われている言葉もありますので、いくつか御紹介致しましょう。
【た行】
●太鼓持ち(たいこもち)●
太鼓持ちの由来にはいくつかの説があり、どれが本当なのかは定かではない。
「ある殿様が家来を集めて賑やかに宴会をした時、鉦(かね)の役は鉦を持って踊った。
鉦を持たない者は太鼓を持って打った。
それで金(鉦)持ちの席で鉦を持たないでご機嫌を取り結んで遊ぶから太鼓持ちなった。」という説と、
「太鼓の好きな殿様が、太鼓打ちの名人を自分の座敷に呼んだ。当時は太鼓に台が無く、
弟子が太鼓を支えて打つものでした。その弟子は太鼓を持つのが上手だったので、
名人のお伴に重用されました。それが他の弟子からは師匠におべっかばっかり使い、
調子の野郎だとの嫉妬をかい、太鼓を持つ機嫌取りの上手い弟子を太鼓持ちと呼ぶようになった」という説。
「豊臣秀吉の家臣で曾呂利新左衛門は頓智のきく侍で、秀吉のご機嫌伺いをしては太閤を持ち上げていた
という所から、太閤持ち→たいこ持ち→太鼓持ちになった」等。
●立方(たちかた)●
舞踊を主にする者。これに対して地方がいる。
●遠出(とおで)●
芸者が客と花街の外にでかけること。又は、芸者の所属する花街の外のお座敷に出ること。
一般の社会では出張費が付くのと同じように、別料金が加算されます。
東京では芸者はお客様と一緒に居た時間だけにお花代が派生するのが普通ですが、
土地によっては芸者(芸妓)が玄関を出てから玄関に入るまでお花が付くというところもあります。
そういったシステムの土地では別料金が加算されることは少ないようです。
【は行】
●端唄(はうた)●
小品の三味線歌曲。江戸時代に大成した。 小唄は端唄から派生したものです。
●箱屋(はこや)●
芸者の引き着の着付け、送迎、玉代の集金などをする男性の職業。
主に三味線の箱を運んでいたことからこう呼ばれた。
置屋、芸者、料亭からの祝儀が収入源であった。 現在、東京に箱屋はいない。
置屋、芸者の組合費で運営されている連絡事務所。
●半玉(はんぎょく)●
芸者見習いの少女の事で、玉代(花代の項目を参照)が芸者の半分だったことからこう呼ばれた。
京都でいう舞妓にあたる。
芸妓の雛だから雛妓とも言う。宴席ではもっぱらお酌ばかりするところから、「お酌(おしゃく)」。
半衿が赤いことから「赤衿(あかえり)」とも呼ばれた。
お客様にからかわれると「あら、よございますよ」と答えたことから、明治中期頃までは「あらよござい」と呼ばれたこともある。
昔、玉代が半分だったことから命名された言葉。 現在では芸者も半玉も玉代は同じです。
●左褄を取る(ひだりつまをとる)●
芸者になる事をさす。 引着の褄を左手で持つことから転じた。
左手で褄を持つと、着物と長襦袢の合わせ目が反対になるため、男性の手が入りにくくなる。
これは「芸は売っても身体は売らない」という意思表示。
人数のお客様のお座敷。 こまのお客様という用い方もします。
●罰盃(ばつさかづき)●
お座敷遊びで負けた人が飲むお酒。
●太棹(ふとざお)●
義太夫三味線。大きく厚い撥を用いる。近年注目の集まっている津軽三味線もこの一種。
【ま行】
●待合(まちあい)●
待合茶屋の略。
かつて花柳界で宴席を開きたい客は待合いで貸席を利用する仕組みになっていた。
料理はここで作らず、料理屋から取り寄せ、宿泊も出来たので、現在の料亭とは果たす役割も異なる。
現在ではそのほとんどが廃業に追い込まれたが、料亭に改装して営業しているところもある。
【や行】
●約束(やくそく)●
お座敷のご予約の事。
●洋髪(ようはつ)●
江戸時代以降もも依然として結われた日本髪に対して、西洋風の髪の結い方のこと。
和洋折衷ともいえる、束髪、夜会巻き、耳隠し、ラヂオ巻き、行方不明髷、等の洋服、和服双方に合う髪型。
芸者をお座敷に呼ぶとき、「洋髪でいいですか?それとも日本髪(島田)にしますか?」と尋ねられたら、
普通の着物姿でいいですか? それとも白塗りに日本髪で言った方がいいですか? という問いです。
- 《参考文献》
- ●女芸者の時代・・・岸井 良衛(著)
- ●お座敷遊び・・・浅原 須美(著)
- ●花柳風俗語辞典・・・藤井 宗哲(著)
- ●芸者論-神々に扮する事を忘れた日本人・・・岩下 尚史(著)
- ●コレクション・モダン都市文化(22)・・・和田 博文(著)
- ●花街 異空間の歳史・・・加藤 政洋(著)
- ●日本花街史・・・明田 鉄男(著)