2008-05-24 03:43:31
アースルーリンド『ファントレイユとの出会い』書き足し6
テーマ:出会い編
「アイリス・・・」
重い配色の室内の、窓から陽の差し込む廊下で、彼は二人が進んで来るのに気づいたように振り向いた。
その小柄で、艶やかな明るい栗毛に覆われた華やかな美貌は、面差しが彼に、似ていた。
ギュンターがアイリスを見つめると
「もう一人の、甥のレイファスだ」
「・・・ああ」
ギュンターは噂を、知っているようだったが、あえて口には、出さなかった。
アイリスは、その華やかな美貌の、小柄な甥に微笑みかけると、ささやくようにつぶやいた。
「・・・ローゼは口を、割った」
レイファスはほっ、と一息吐いて俯くと、横顔を彼らに晒した。
とても、可憐だとギュンターは思った。
が彼は理性的な表情を崩さすにつぶやいた。
「・・・では、ファントレイユは無事ギデオンを護ったんですね?」
アイリスは察して、彼が口にする前に優しく言った。
「ファントレイユは、無事だ」
レイファスは少し眉を寄せると、掠れた声でささやいた。
「テテュスに早く、使いを。
彼はそれは、心配している。
ギデオンの危機の時、ファントレイユは常軌を逸して無茶をすると。
・・・・・・それは、とても」
アイリスは頷いた。
「部下の一人がもう、『光の塔』に向かっている」
レイファスはアイリスの用意の良さを、忘れていた事に少し頬を染めたが、頷いた。
そのまま、背を向けてその場を立ち去りそうなレイファスに、アイリスは少しためらったが言葉を投げた。
「ファントレイユに、ローゼを味見した事を一生笑い者にしてやると伝えてくれと頼まれたんだが・・・」
小声で言ったつもりだった。
が、レイファスは振り向いた。途端、さっきの心配げな表情が一変し、きつい瞳をして眉間に皺を、寄せる。
ギュンターがつい、その変わり様に凝視すると、可憐な美青年は憮然とつぶやいた。
「・・・つまり、喧嘩を売るって、言うことですか?」
アイリスは少し微笑むと
「買いたくはないだろうが、彼はそのつもりらしい。
ひどく、怒っていた。
勿論、ギデオンを殺そうとした、ローゼにだが」
一瞬、腑に落ちない表情をしたが、アイリスの少しすまなそうな表情に、ああ、そういう事かと、少し笑った。
「・・・つまり、貴方を差し置いて、あんな奴と遊んだと、怒っていたと言う事ですか?」
ギュンターが見つめていると、アイリスは、少し首を傾けてそれでも、とても優しい声でささやいた。
「・・・私は、構わないと言ったんだがね」
レイファスはアイリスの、その素晴らしい男ぶりを瞳に映し、一瞬俯いてタメ息を吐くと、ささやくように言った。
「・・・貴方の事は良く、解っている。
だがファントレイユは私が貴方を、袖にしたと思っている」
「・・・だが、振ったろう?」
アイリスが微笑む。ギュンターはそれを聞いて一瞬目を、丸くしたが、表情を崩さなかった。
レイファスはそれを聞いても、俯いたままだった。
「・・・・・・でも貴方は傷ついたりは、しない筈だ。
私の方から頼んだ事だし、期間が終了したと思えば、それで」
アイリスは少し、寂しげな表情を、した。
「・・・君は少し自分の魅力を過小評価している。
君みたいに愛らしい相手に、恋人のように微笑まれたり、まとわりつかれたりしたら、大抵の男はそれは、嬉しいものだ。
ローゼもそれは、がっかりして見えた」
レイファスは顔を上げた。
その顔はとても冷静で、美貌が際立って見えたものの、きつくすら、見えた。
「・・・あの男は私と貴方の事を知っていたから、私が彼に傾いた時、それは大物の貴方に勝てたと、思い込んでいた。
でもその思惑が裏切られたからきっと、その事で落胆したんですよ」
だがアイリスはそれを聞いても、やっぱり意見を変える様子無く、微笑みを消さなかった。
ギュンターは、振ったのは確かにレイファスの方かも知れないが、痛手は彼の方が大きいように、思えて、その理性的な表情を崩さぬレイファスを、感心したように見つめた。
アイリスよりも年若いのに、振った相手を気遣って、何でもない表情を作るレイファスを。
ギュンターの目から見てもアイリスは、確かにレイファスに応えてはいるものの、恋しい相手としてでは無く、大切な身内を労り慈しむような態度を、醸し出しているように見えたからだった。
ファントレイユ、そしてレイファス。彼らに見合った気の使い方と、対応を、アイリスはしていた。
ファントレイユには、騎士としての彼をとても尊重し、レイファスにはその身はとても大切な存在だと、知らせるように。
レイファスはだが、そのギュンターの気持ちを、察したかのように視線を一瞬、ギュンターに向けて少し微笑むと、そのまま背を向けて立ち去って行った。
ギュンターは腕組んだまま、顔をアイリスに寄せて小声でささやいた。
「・・・君の噂の、相手だろう?
彼の母親は君の妹だと聞いた。
・・・その母親を敵に回しても、彼を奪い取ったそうだが、随分な事情がありそうだな」
アイリスは困ったように、眉を寄せた。
「・・・彼の、名誉に関わる事なのでね。私が悪者で、いいさ」
短くそう言うとギュンターを見た。が、その紫の瞳は得心したような色を見せ、アイリスの、眉が更に寄った。
「・・・・・・・・・知って、いるのか?」
ギュンターは肩をすくめた。
「別の噂が真実だとたった今、解った所だ」
「・・・・・・別の、噂が出回っていたのか?」
アイリスが秘かに、心配げに尋ねるので、ギュンターは彼の他人に見せた事の無いその表情に、呆れた。
「・・・余程彼の名誉を護りたいようだが安心しろ。
君を悪者にしたい奴らが、そっちの噂はデマだと、言い張っていたからな」
と、アイリスを見つめて続ける。
「・・・お望み道理、君は妹からその息子を奪った悪徳略奪者だ」
アイリスは、ほっとしたように、吐息を吐いた。
がギュンターはそれを見届けない内から小声で言葉を続けた。
「・・・つまり君は、自分の領地内で幼い彼が犯されたりしたから、責任を取ったんだろう?」
アイリスはそれを口にするギュンターを、少し睨んだ。が、ギュンターは平気でささやいた。
「・・・彼は責任を取られても嬉しくなかろう。
魅力を過小評価してるのは、君自身もだ。
君に恋人のように扱ってもらっても、気持ちがそれじゃな。
・・・しかも、彼の方から振ったんだろう?」
ギュンターが、いかにもレイファスに、同情するように首を横に振り、歩を先に進めるのでつい、アイリスはその背に、声を落として投げかけた。
「・・・彼が、気の毒のような口ぶりだな」
ギュンターは振り向くと、ぶっきら棒に告げた。
「・・・惚れた相手にははっきりそう言い、惚れてない相手にはそのまま言え。
恨まれても相手を、本当に傷つける事には、ならない」
アイリスは、俯いたまま吐息を吐き出すと
「・・・レイファスは幼かった。大人で自分を大事にしてくれる相手と、恋愛ごっこをしていたに過ぎない」
ギュンターが呆れて思い切り、肩をすくめた。
「・・・その相手がこれ程いい男なら、その初恋は永遠だろうな。彼はあれでどうやら君の甥だけあって、姿の割には肝が座っているようだが、その初恋を忘れさせるような相手に出会うのは、至難の技だろうよ!」
アイリスはますます項垂れ、ため息を、付いた。
「・・・つまり私はレイファスにとっても、悪者だって事なんだな?」
ギュンターは、思い切り、頷いた。
その、一度も人前で見せた事の無い、しょげ返ったアイリスについ、吹き出し言った。
「・・・君の弱味らしいな」
アイリスが、気を悪くする様子無く、素直につぶやいた。
「ご覧の通りだ。
私は息子のテテュスにとってもとっくに、悪者なんだ。世間を敵にしてレイファスを護ったが、テテュスに迄思い切り恨まれた。
後で気づいて全く迂闊だったが、テテュスはレイファスがとても、好きらしくてね・・・・・・・・・
彼は私を父親じゃなく、まるで恋敵のように睨む」
ギュンターは呆けてその、一度も人前で見せた事の無い、弱々しい表情のアイリスを、見つめた。
アイリスは最愛の妻を病で亡くして以来、その愛息子テテュスが彼の、唯一の弱点だと言われ続けて来た。がテテュスはギデオンに継ぐ剣豪で、頭の回転も早く、アイリスの敵達にとって彼はアイリス同様、それは手強い相手だった。
つまり、アイリスには弱点が無いと、誰もが思っていた。
その最愛の息子に、恨まれて憎まれるだなんて。
ギュンターは吐息を短く吐くと、つぶやいた。
「・・・それは・・・・・・・・・とても気の毒な状況だな。
俺は君に同情は一切無用だと思っていたが、この件に関しては心から同情する」
アイリスは顔を、上げ、少し微笑んだ。
「・・・君のような男に同情されるのは、有り難い。
言葉だけや上滑りの同情じゃ、ないからな」
ギュンターが、頷きながら素っ気なく言った。
「・・・俺は滅多に、同情はしないからな」
アイリスはそう言う彼を、じっ、と見た。
「・・・・・・・・・つまり、そんなに私が、気の毒に見えると言う事か?」
ギュンターは、少し言葉を溜めて、つぶやいた。
「その、通りだ」
アイリスは今度こそ、肩を落として深い、ため息を、吐いた。
それを見て、今度はギュンターが、アイリスの腕の横を、パンと叩いた。
まるで一度もしょげた事のない男を、力付ける様にして。
アイリスは感謝するように微笑みを浮かべたが、俯く顔を、上げる事は、出来なかった。
つづく。
重い配色の室内の、窓から陽の差し込む廊下で、彼は二人が進んで来るのに気づいたように振り向いた。
その小柄で、艶やかな明るい栗毛に覆われた華やかな美貌は、面差しが彼に、似ていた。
ギュンターがアイリスを見つめると
「もう一人の、甥のレイファスだ」
「・・・ああ」
ギュンターは噂を、知っているようだったが、あえて口には、出さなかった。
アイリスは、その華やかな美貌の、小柄な甥に微笑みかけると、ささやくようにつぶやいた。
「・・・ローゼは口を、割った」
レイファスはほっ、と一息吐いて俯くと、横顔を彼らに晒した。
とても、可憐だとギュンターは思った。
が彼は理性的な表情を崩さすにつぶやいた。
「・・・では、ファントレイユは無事ギデオンを護ったんですね?」
アイリスは察して、彼が口にする前に優しく言った。
「ファントレイユは、無事だ」
レイファスは少し眉を寄せると、掠れた声でささやいた。
「テテュスに早く、使いを。
彼はそれは、心配している。
ギデオンの危機の時、ファントレイユは常軌を逸して無茶をすると。
・・・・・・それは、とても」
アイリスは頷いた。
「部下の一人がもう、『光の塔』に向かっている」
レイファスはアイリスの用意の良さを、忘れていた事に少し頬を染めたが、頷いた。
そのまま、背を向けてその場を立ち去りそうなレイファスに、アイリスは少しためらったが言葉を投げた。
「ファントレイユに、ローゼを味見した事を一生笑い者にしてやると伝えてくれと頼まれたんだが・・・」
小声で言ったつもりだった。
が、レイファスは振り向いた。途端、さっきの心配げな表情が一変し、きつい瞳をして眉間に皺を、寄せる。
ギュンターがつい、その変わり様に凝視すると、可憐な美青年は憮然とつぶやいた。
「・・・つまり、喧嘩を売るって、言うことですか?」
アイリスは少し微笑むと
「買いたくはないだろうが、彼はそのつもりらしい。
ひどく、怒っていた。
勿論、ギデオンを殺そうとした、ローゼにだが」
一瞬、腑に落ちない表情をしたが、アイリスの少しすまなそうな表情に、ああ、そういう事かと、少し笑った。
「・・・つまり、貴方を差し置いて、あんな奴と遊んだと、怒っていたと言う事ですか?」
ギュンターが見つめていると、アイリスは、少し首を傾けてそれでも、とても優しい声でささやいた。
「・・・私は、構わないと言ったんだがね」
レイファスはアイリスの、その素晴らしい男ぶりを瞳に映し、一瞬俯いてタメ息を吐くと、ささやくように言った。
「・・・貴方の事は良く、解っている。
だがファントレイユは私が貴方を、袖にしたと思っている」
「・・・だが、振ったろう?」
アイリスが微笑む。ギュンターはそれを聞いて一瞬目を、丸くしたが、表情を崩さなかった。
レイファスはそれを聞いても、俯いたままだった。
「・・・・・・でも貴方は傷ついたりは、しない筈だ。
私の方から頼んだ事だし、期間が終了したと思えば、それで」
アイリスは少し、寂しげな表情を、した。
「・・・君は少し自分の魅力を過小評価している。
君みたいに愛らしい相手に、恋人のように微笑まれたり、まとわりつかれたりしたら、大抵の男はそれは、嬉しいものだ。
ローゼもそれは、がっかりして見えた」
レイファスは顔を上げた。
その顔はとても冷静で、美貌が際立って見えたものの、きつくすら、見えた。
「・・・あの男は私と貴方の事を知っていたから、私が彼に傾いた時、それは大物の貴方に勝てたと、思い込んでいた。
でもその思惑が裏切られたからきっと、その事で落胆したんですよ」
だがアイリスはそれを聞いても、やっぱり意見を変える様子無く、微笑みを消さなかった。
ギュンターは、振ったのは確かにレイファスの方かも知れないが、痛手は彼の方が大きいように、思えて、その理性的な表情を崩さぬレイファスを、感心したように見つめた。
アイリスよりも年若いのに、振った相手を気遣って、何でもない表情を作るレイファスを。
ギュンターの目から見てもアイリスは、確かにレイファスに応えてはいるものの、恋しい相手としてでは無く、大切な身内を労り慈しむような態度を、醸し出しているように見えたからだった。
ファントレイユ、そしてレイファス。彼らに見合った気の使い方と、対応を、アイリスはしていた。
ファントレイユには、騎士としての彼をとても尊重し、レイファスにはその身はとても大切な存在だと、知らせるように。
レイファスはだが、そのギュンターの気持ちを、察したかのように視線を一瞬、ギュンターに向けて少し微笑むと、そのまま背を向けて立ち去って行った。
ギュンターは腕組んだまま、顔をアイリスに寄せて小声でささやいた。
「・・・君の噂の、相手だろう?
彼の母親は君の妹だと聞いた。
・・・その母親を敵に回しても、彼を奪い取ったそうだが、随分な事情がありそうだな」
アイリスは困ったように、眉を寄せた。
「・・・彼の、名誉に関わる事なのでね。私が悪者で、いいさ」
短くそう言うとギュンターを見た。が、その紫の瞳は得心したような色を見せ、アイリスの、眉が更に寄った。
「・・・・・・・・・知って、いるのか?」
ギュンターは肩をすくめた。
「別の噂が真実だとたった今、解った所だ」
「・・・・・・別の、噂が出回っていたのか?」
アイリスが秘かに、心配げに尋ねるので、ギュンターは彼の他人に見せた事の無いその表情に、呆れた。
「・・・余程彼の名誉を護りたいようだが安心しろ。
君を悪者にしたい奴らが、そっちの噂はデマだと、言い張っていたからな」
と、アイリスを見つめて続ける。
「・・・お望み道理、君は妹からその息子を奪った悪徳略奪者だ」
アイリスは、ほっとしたように、吐息を吐いた。
がギュンターはそれを見届けない内から小声で言葉を続けた。
「・・・つまり君は、自分の領地内で幼い彼が犯されたりしたから、責任を取ったんだろう?」
アイリスはそれを口にするギュンターを、少し睨んだ。が、ギュンターは平気でささやいた。
「・・・彼は責任を取られても嬉しくなかろう。
魅力を過小評価してるのは、君自身もだ。
君に恋人のように扱ってもらっても、気持ちがそれじゃな。
・・・しかも、彼の方から振ったんだろう?」
ギュンターが、いかにもレイファスに、同情するように首を横に振り、歩を先に進めるのでつい、アイリスはその背に、声を落として投げかけた。
「・・・彼が、気の毒のような口ぶりだな」
ギュンターは振り向くと、ぶっきら棒に告げた。
「・・・惚れた相手にははっきりそう言い、惚れてない相手にはそのまま言え。
恨まれても相手を、本当に傷つける事には、ならない」
アイリスは、俯いたまま吐息を吐き出すと
「・・・レイファスは幼かった。大人で自分を大事にしてくれる相手と、恋愛ごっこをしていたに過ぎない」
ギュンターが呆れて思い切り、肩をすくめた。
「・・・その相手がこれ程いい男なら、その初恋は永遠だろうな。彼はあれでどうやら君の甥だけあって、姿の割には肝が座っているようだが、その初恋を忘れさせるような相手に出会うのは、至難の技だろうよ!」
アイリスはますます項垂れ、ため息を、付いた。
「・・・つまり私はレイファスにとっても、悪者だって事なんだな?」
ギュンターは、思い切り、頷いた。
その、一度も人前で見せた事の無い、しょげ返ったアイリスについ、吹き出し言った。
「・・・君の弱味らしいな」
アイリスが、気を悪くする様子無く、素直につぶやいた。
「ご覧の通りだ。
私は息子のテテュスにとってもとっくに、悪者なんだ。世間を敵にしてレイファスを護ったが、テテュスに迄思い切り恨まれた。
後で気づいて全く迂闊だったが、テテュスはレイファスがとても、好きらしくてね・・・・・・・・・
彼は私を父親じゃなく、まるで恋敵のように睨む」
ギュンターは呆けてその、一度も人前で見せた事の無い、弱々しい表情のアイリスを、見つめた。
アイリスは最愛の妻を病で亡くして以来、その愛息子テテュスが彼の、唯一の弱点だと言われ続けて来た。がテテュスはギデオンに継ぐ剣豪で、頭の回転も早く、アイリスの敵達にとって彼はアイリス同様、それは手強い相手だった。
つまり、アイリスには弱点が無いと、誰もが思っていた。
その最愛の息子に、恨まれて憎まれるだなんて。
ギュンターは吐息を短く吐くと、つぶやいた。
「・・・それは・・・・・・・・・とても気の毒な状況だな。
俺は君に同情は一切無用だと思っていたが、この件に関しては心から同情する」
アイリスは顔を、上げ、少し微笑んだ。
「・・・君のような男に同情されるのは、有り難い。
言葉だけや上滑りの同情じゃ、ないからな」
ギュンターが、頷きながら素っ気なく言った。
「・・・俺は滅多に、同情はしないからな」
アイリスはそう言う彼を、じっ、と見た。
「・・・・・・・・・つまり、そんなに私が、気の毒に見えると言う事か?」
ギュンターは、少し言葉を溜めて、つぶやいた。
「その、通りだ」
アイリスは今度こそ、肩を落として深い、ため息を、吐いた。
それを見て、今度はギュンターが、アイリスの腕の横を、パンと叩いた。
まるで一度もしょげた事のない男を、力付ける様にして。
アイリスは感謝するように微笑みを浮かべたが、俯く顔を、上げる事は、出来なかった。
つづく。







主な作品




注意





