2012-01-14 14:53:14

気は心。

テーマ:ブログ

今日は朝から、車を車検に持って行った。


家の近所にあるカーディーラーに、今回初めて出した。


2年前の車検までは、

実家の近くの小さなカーディーラー(というか、車屋さんってイメージ)

でお世話になっていた。

おばあちゃんの社長が一人でキリモリしていて、

ご縁があって20年以上、その社長にお世話になっていた。


おととしの秋に、その社長が亡くなられ、

今回から、家の近所のカーディーラーにすることにした。




そのおばあちゃん社長とは、いろんな話をした。

車のこと、商売のこと、世間話などなど。

社長といっても、そんな贅沢な服は着てなくて、

本当に、なんというか、おばあちゃんファッションだった。


思えば、最後にしゃべった時だったか?定かではないけど、

おばあちゃん社長が、身の上話をしてくれた時があった。



子供のとき、勉強がしたくて高校に行きたかったけど、

親に許してもらえず、散髪屋に丁稚奉公に行くことが決まった時、

一晩中、泣いていたとのこと。

でも、その散髪屋で頑張って働いて、

やがて独立して、自分の散髪屋を持ったとのこと。


警察官の旦那さんと結婚して、娘さんができ、

その幼子をおんぶ紐でおぶって、散髪屋まで仕事をしに行ってたとのこと。


散髪屋も何店舗か経営するようになったころ、

旦那さんが「仕事がきついので辞めたい」と言った時、

「私、今度、車屋やるから、そんなにしんどかったら、仕事辞めたらいいよ。」

と言って、車屋さんを始め、旦那さんも手伝っていたとのこと。


しばらくして、その旦那さんが若くして亡くなってしまい、

そこから社長は、女手一つで娘さんを育てたとのこと。


その娘さんは結婚したけど、離婚して、

孫を連れて近くに住むようになったとのこと。




「へー、社長。そしたら、この店(車屋さん)だけじゃなくて、

散髪屋さんも持ってはるんやったら、お金入り放題ですやん!」

と僕が言ったら、社長は首を振り、

「丹羽さん、お金は全部、娘や孫のところ行きますねん。

そやから、私のところにお金なんか残りません。」とあっけらかんとして

言っていた。

そして、社長は、

「私の人生は、人に頭下げるばっかりの人生です。」と

毅然として言っていた。


確かに、この社長は、僕みたいな若造(社長にとったら)にも、

いつも深々と頭を下げてはった。




その社長が亡くなったの知ったのは、昨年の初め、

車の任意保険更新の案内が、保険会社から直接届いたとき。

ずっと、車の任意保険も社長のところにお願いしてたのになんで?

と思い、電話をすると、娘さんが出てきて、

半年前に社長は亡くなったとの事。

脳梗塞で倒れられた後、最期は肺炎で亡くなったそうです。


娘さん曰く、バタバタしていて、お客さんには社長が亡くなった事の

連絡が充分できなかったとのこと。

そして、任意保険は、こっちも手が回らないから、

保険会社から直接お客さんとやり取りしてもらうように

手続きをしたとの事。(こちらへのうかがいもなく)

そして車屋さんは、店舗面積を半分にして、半分は喫茶店に貸して、

娘さんが引き続きやっているとのこと。


娘さんのけたたましいしゃべり方は、社長に似ていたけど、

なんというか、社長とは、やっぱり違った。

もっとなんと言うか、社長には人の心があった。



車検あがりの車を取りに行った時、

社長はいつも、代金のうち1000円だけ返してくれたり、

洗剤やまんじゅうやジュースを「奥さんに」と言って笑って僕にくれた。


気は心っていうのかな。


こっちだって、1000円や洗剤をもらったって、

それでも社長が儲かってはるのは、わかってる。


社長は口癖のように、

「車のことでなんかあったら、何でも言って下さい。」って言ってたな。

気は心っていうのかな。

社長と話していた商売の話もそんなことだった。


他のところの方が車検代も安いのはわかってたけど、

社長が売る「信頼」を買ってた。




今月車検で、何気に近所のカーディーラーで見積もり取ったら、

社長のところより数万円安かった。

それに、何より、僕の車のメーカーの特約店だから、

古い僕の車のことも、当たり前に良く知っている。

社長には申し訳なかったけど、家の近所でお願いした。


数日前、社長の娘さんから電話があったが断った。

娘さんは、僕が当たり前に、車検をたのむと思っていたらしく、

えらく怒っていた。「長い付き合いやのに」など。

挙句に僕の車が古いのをくさすようなことも言われたが、

丁重にお断りした。




今日、近所のカーディーラーに車を出した後、

家に帰ろうとバス停に立っていたとき、

「ホンマにもう社長のところで、たのまへんねんなあ。」

と思った。



社長、すんませんねぇ。

堪忍してくださいね。

僕は、社長の「信頼」は買えても、

娘さんからは買えませんでしたわ。


社長としてた商売の話、

こういう事でしたもんね。


すんませんねぇ。









コメント

[コメントをする]

1 ■無題

商いって単にものを売ったりするだけでない部分が大きいですね。
馴染みの店というのは、人付き合いと同じ要素があるので、人が替わればまた店も変わるから、商売やるひとは代の変わり目が一番の正念場だと思って「おきばりやす」でないといけませんね。

2 ■Re:無題

>おかむらんさん

おっしゃるとおり!
創業者が偉大なほど、
2代目さんは、大変だと思います。

でもなんで、「おきばりやす」って
関西弁なんでしょうか?(笑)

3 ■無題

本当にあの時代の女性はスゴイな、と思う時があるよ。でも、自分の人生を自分で選択できないなんてすごく気の毒に思う時もある。でも、全く外から与えられた状況に見事に対応している。自己主張は全然しないのにすごく強靭。世界での、日本女性というブランドにもうなづける。
・・・でも今は時代が変わったね。それでもまだ世界基準から見れば日本女性というブランドは残っているみたいだけど。

4 ■Re:無題

>角谷 早音美さん

毎日録画して見ているNHKの朝ドラ、
「カーネーション」は、
ファッションデザイナーのコシノ3姉妹の
お母さんをモデルにしたドラマですが、
戦前、戦中、戦後を生きる主人公の生き様は、
とてもたくましいです。

ゲゲゲの女房以来、NHKの朝ドラを
欠かさず見ている僕は、変なオッサンですかね?(笑)

コメント投稿

一緒にプレゼントも贈ろう!

Amebaおすすめキーワード

    アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト