大漁旗が暴れるぜ!! ~大宮BL祭りでぃっ~

※嵐・大宮で生モノ(腐)書いてます。




~大宮小説~





何がどうなってるのか分からない。ただ分かってるのは大野さんに手を引かれ、走ってること。

頬に打ち付ける雨脚が酷く、目を開けていられない。せっかく施したメイクも真新しい服も、雨のせいで何もかもがグチャグチャ。


たまらず、二宮が背後から声をかける。


「ねぇってば、ドコに行くんだよ!」


振り返りもせず、ひたすら大野は前を走る。


つま先立って走ってるから踵に僅かな痛みが走る。擦れた部分を気にして上手く走れない足。もうヤダ走りたくない……


ヒール底にこれまでと違う感触に気づく。周りを見ると土一色だった景色が、草むらに変わってた。

日も暮れ、辺り一面に闇が包み込む。

知らない場所に連れてかれる不安、自分の知ってる大野さんが何をしようとしてるのか見えない恐怖。


なおも引く腕を、二宮は強く振りほどいた。


「何……ここ。こんな場所に連れ込んでアナタ一体、何をしようとしてるの。ワタシに」


降りやまない雨の音に紛れ、遠くで車のエンジン音が通り過ぎていく。荒れた草むら。二人っきり。


ようやく大野が口を開く。


「穴場なんだよ、ここ」

「穴場?」

「うん」


何にもない、伸び邦題の荒れた土地。穴場だと言われても明かりがないから、確かめようがない。

腰元のバッグの中からスマートフォンを取り出す。ライト機能で周囲を照らしてみるものの、周りは草以外何もなさそうだった。


「もっと先にある。ついて来て」


腕を取られ、再び歩き出す。


歩いてると雨音とはまた違う、サラサラと水が流れる音が聞こえる。……川。川が近くにあるの?


ガサガサと続く草むらを踏みわけて進んでると、前を行く背中がピタリと止まり、鼻先がぶつかった。


「痛てっ、もう何……」

「しっ!」


ふいに制されて口ごもる。


静寂な暗闇の中を一瞬、何かがボワッと光った。


よぉく目を凝らす。すると、周囲で同じように点滅する青白い光が、アチコチ浮かび上がっている。

思わず二宮は、握られた手を握り返していた。光が近くに寄ってくる。これは何。え、……蛍?


弱々しく点滅を繰り返す仄かな光。一つが点滅するとそれに応えるみたいに、他も仄かに点滅する。

伸ばした指先に、そのうちの一匹が止まる。まるで幻想的な光を、二宮は食い入るように見つめた。


「うちのスタッフが、穴場があるって教えてくれたんだよ。彼女を連れてったら絶対喜ぶって」


『彼女』という言葉が重く、胸に刺さる。


そういうの全然言わない人だから、いるんだろうなとは思ってたけど正直、面と言われるとキツイ。


「ん、どうした。急に黙って」

「あのさ、」


期待しちゃうんだよ、お前といると。どんなに甘えても突き放しても受け入れてくれるお前といると、やっぱり俺といる方がいいのかなって。


「なら、ワタシとじゃなくてその彼女と来ればいいじゃない。こんな雨の中を下見に付き合えるほど、アナタをよく知らないんだもん。そもそも、」


ボロボロなのは何も、メイクだけじゃない。


やさぐれた気持ちが口を突いて出ていく。
こんな場所にまで来て何やってんだろ。
素直にさ、言えばいいじゃんほら。


『彼女きっと喜ぶよ』
『この次は晴れた夜にしなよ』


それから、これも付け加えた方がいい。


『この穴場は、君にしか見せたことないんだ』


って。


雨が降っていて良かった。
今が夜で良かった。
変装しといて良かった。


こんなグチャグチャに泣いてる酷い顔の俺を、大野さんに見られなくて済む。指先の蛍が離れていく。


「もうヤメにしねぇか。アナタをよく知らないって何だよ、からかってんのか俺を。さっきから」


腕を強く引かれ、抱き寄せられる。


目と目が合い、見つめてると唇が近づいた。重なるだけのキスが次第に深いキスへと変わる。奥の方で縮こまる舌を大野が見つけ、絡め取られた。



情熱的なキス……






大野のリードで高鳴る胸……



夢中になって、何度も角度を変えながら貪る。息が苦しくなり肩を押し返す二宮の腕を、大野が掴む。


圧倒的な力。同じ男なのに、どうして……


「彼女を連れてけって言われた時、真っ先にお前の顔が浮かんだ。だから連れてきた」

「大野さん」

「なのに何で泣くんだよ、バカ!」


恥ずかしさと、何とも言えない気持ちが込み上げてきて肩に鼻先を埋める。大野さんの匂いがする。


「知ってたの?」

「当たり前じゃん。上手く化けてたって俺にはスグに分かる。分かんねぇ方が逆にオカシイって」


耳元に、楽しそうな笑い声が響く。


「……ね。コイツ女装して、馬鹿だなって思う?」


何を言われようと、笑われても構わないと思った。けどそれは他のヤツであって、この人にじゃない。

じゃあどうしてこんな姿にと問われても、その答えは必要ないと思ってた。でも、今は違う。


繋いだ指に、頬ずりされる。


「やっ、可愛いって思った。いつだったか見かけたんだよ街で。したら、見たらお前じゃん。何でって最初ビックリしたんだけど、今日また見かけて」


顔を俯けた大野を、二宮が覗き込む。


「見つけて?」

「急いであとを追ってさ。お前が二人いるみたいでドキドキして。んで、俺が知ってるニノと女の子のニノの両方とも、手に入れたくなったんだよ」


そこまで言い切ると、大野がフッと笑う。


「俺は、大野さんに見つけて欲しかった」


考えるより先に、本音がポロリと零れた。


葉の先に留まっている蛍が儚く光る。肩越しにそれをボンヤリ見つめてると、急に強く抱き締められて濡れた身体が密着した。


草むらが揺れ、驚いた蛍が一斉に飛び立つ。


目の前には美しい蛍。雨粒を多く含む濡れた髪。
直に伝わる、俺の知ってる大野さんの温もり。


「見つけるさ。どんな姿になっても見つけてやる」


髪を撫でつける指に、瞼を閉じる。


「カズ。ここにいる蛍、全部お前にやる!」

「え、」


草むらの上に、二人して倒れ込む。


「あっ、ちょっと!」

「俺からの誕生日プレゼントだ」


二人の周辺を幻想的な光が舞う。いつの間にか雨はやみ開けた夜空には、満天の星が瞬いていた。


「その格好はちょっと、俺の前だけにしてくれや」


恥じる言い方が可笑しくて、口元を隠す。


二宮が笑うと、つられて大野も笑った。柄にもないことをするこの人がバカで愛おしい。愛おしすぎて泣きたくなる。だから、キスをやめたくない。


「……うふふ。分かってますよ」


揉み合ってキスしてるとシたくなる。けれど流石にここじゃどうかと思い、キスだけで我慢した。


折り重なる大野の肩に蛍が止まる。触れると、蛍は淡い幻影を残したまま、暗い夜空の彼方へと舞い上がって行った。
















おわり






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