プラチナ通りで逢いましょう ~Let's meet in the platinum street

      白金プラチナ通りを舞台に繰り広げられる、今は亡き恋人との切ない恋の物語

              ひたひたと押し寄せる 悲しみの雨雲

                 もうすぐ この街は水びたし

             想い出の中にだけ やさしいあなたがいる

            想い出の中にだけ 伝えなかった言葉がある

                -「これもすべて同じ1日」 銀色夏生-


テーマ:

「プラチナ通りで逢いましょう」 のスピンオフストーリーとして、

「Coral ~B087 The Wisdom of Love~」がスタートしました。

和久の物語です。

「プラチナ通りで逢いましょう」 とはまた違う和久の一面を描いています。

併せて、お楽しみ頂ければ嬉しいです。


STEP AGAIN 「Coral ~B087 The Wisdom of Love~」



あやめ
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

テーマ:
新しい小説を書き始めました♪

今度は、短編集です。

「プラチナ通りで逢いましょう」は長かった・・・

という方でも、スムーズに読める小説です。

まだ1作目ですが、徐々に書いていくつもりです。

もしよろしければ、ぜひお越しくださいませ。

http://ameblo.jp/iris-story/




ご挨拶が大変遅くなりましたが、

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

皆様にとって、幸多き1年となりますように・・・・

                       あやめ




AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

テーマ:

今年も、この季節がやってきた。


顔を撫でる風は清々しく、柔らかい光の下で青葉が揺れる5月。


康介と出逢った季節。


そして、康介が逝ってしまった季節だ。

 

  


あれから5年が過ぎ、私たちは30歳になった。


私は相変わらず、編集の仕事をしている。


就職の面接の時に言った、子供を育てる親のための雑誌を作りたいという夢は、


今年、やっと実現した。


子供と親が一緒に遊びにいける場所の情報や、シンポジウム、


親子で参加できるキャンプやハイキング、料理教室の企画、


そして、不登校や引きこもりに対する取り組みなどを、


毎月、様々な形でアプローチした雑誌だ。


「育児雑誌にはしたくない」 という私の希望が通って、


働き盛りの父親や、仕事をもつ母親が会社の帰りに読めるような、


そんな情報誌になった。


私は、この創刊のために、必死に仕事をした。


幼少期の親との関係性が、その子の人格を作る・・・、


それは康介が取り組み続けた問題だった。


私は心理学の世界からは遠ざかってしまったけれど、


いま、こうして、全く違う形で、その問題に関わっている。


康介が私に渡してくれたバトンだ。 


「茉莉ちゃん、頼んだよ」 そんな康介の声が聞こえるようだった。





毎年、5月に、私は康介の墓を訪れる。


小さな花と、缶ビール、そしてハイライトを持って。


康介の墓は、いつもきれいにされていて、


康介がちゃんと愛されていたことを、改めて実感するのだ。


だから言う。


「康ちゃん。 康ちゃんには家族がいるよ。 こんなにみんなに大事にされて」


エヘヘと照れ笑いする康介が、そこにいる。


「康ちゃん、今になってわかったの」


そうなんだよ。 オレって、大事にされてたんだよね。


出逢った頃、康介がしてくれた 「大熊座」 の話を思い出す。


今、康介は天に昇り、お母さん星の側で輝いているのだろう。


「いいね。 今は側に本当のお母さんがいて、


 こっちにはお父さんと新しいお母さんが、康ちゃんを大切に思っていてくれるよ」


ハイライトの煙が、空へ立ち昇る。 


康介のいる青い空へ。





プラチナ通りは、今年もまた青葉を揺らしている。


この街は、まったく変わらない。 


いつもゆったりした時間と、優しい空気で満ちている。


江口君は会社を辞め、新潟の実家に帰って、農業をやっている。


ユリは今や、福岡放送の看板アナウンサーで、


咲乃は、就職した事務所の税理士先生と結婚して、去年子供を産んだ。


和久は帰国してしばらくしてから、知り合いとIT企業を立ち上げて、


今や、会社の取締役だ。


雑誌にも、時々取り上げられているのを見かける。


浅尾さんは・・・、合コンで知り合った女の子とできちゃった結婚。


色んなことがあった。 


この5年間で、すっかり私の周囲は変わってしまったのに、


プラチナ通りはいつものまま、私を迎えてくれる。


そしてここには、25歳のまま変わらない康介がいる。





ねぇ、康ちゃん。 


生まれ変わったら、私たちまた、巡り逢えるよね。


今度はね。 私、ちゃんと受け止めるから。 もう、逃げたりしないから。


だから、ここで待っていてよ。

いつものBLUE POINTで。 アイスティを飲みながら。


またいつか、プラチナ通りで逢いましょう。




~ END ~



 

 

AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

テーマ:
目黒でお茶を飲んだ。

たった数時間のことなのに、私たちは疲れきっていた。

「まだ・・・、信じられない。 お墓なんか見ても、受け入れられない」

ユリが、ポツリと言った。

「うん・・・。 今から、ここに来そうだもんな、あいつ」

康介は、私たちの生活の中に、

そして、この街に、確かにまだ生きている。




携帯が鳴って、ユリが慌てて店の外に出て行った。

江口君が、アイスコーヒーをひと口飲んで、口を開いた。

「茉莉ちゃん、ひとつ聞きたいことがあって・・・」

「なに?」

「前に康介と話した時、茉莉ちゃんと別れた理由っていうか、

何で別れたんだって話になって・・・。

いや、あのさ。 康介が、茉莉ちゃん以上の恋はできないって言ってたから。

じゃあ、もう一度、付き合えないのかって、聞いたんだよ」

「うん」

「そしたら、オレがもっと普通だったら、別れなくて済んだんだって。

だから、次に生まれてくるんなら、普通に生まれたいって。

その時は、意味わかんねぇし、なんだそりゃって流したんだけど。

今、こうなって・・・。 なんか、気になってさ」

私は、言葉を失った。

オレが普通だったら、別れなくて済んだ・・・

何のことを言っているのか、すぐ分かった。

「康ちゃんは・・・、その “普通” の意味を言わなかったの?」

「うん・・・。 ただ、次は
普通に生まれたいって言うだけで・・・」

「それ、いつごろ?」

「正月明けだよ。 あいつ論文書いてる時でさ」




「康ちゃんが死んじゃった理由って、なんだったんだろ」

「それは、あいつにしか分かんないけど・・・・」

江口君は、そう言って天井を見上げた。 その目から涙が流れ落ちる。

「ただ、行き詰ってたらしい」

「学校?」

「そんなんなら、辞めちゃえばよかったのに。 働けばよかったのに」

康介が、何に行き詰ったのか、それは今となっては分からない。

ただ、論文が進まないとか、そういうことではなかったと思う。

もしかしたら、人の心理を追究すればするほど、

自分自身の心の問題にも直面せざるをえず、何かに絶望を感じたのだろう。

康介が、常に抱えていた不安、恐怖。

涙が流せなくなってしまう程、ずっとずっと耐えてきた。 ひとりきりで。

どんなに悲しくても、泣くことができなかった康介。

誰かに心を開くことに、怯えていた康介。

最後もまた、きっと誰にも相談することはなかったのだろう。




「茉莉ちゃんは言葉にしなくても分かってくれるんだって、

あいつ、そう言ってたから。

茉莉ちゃんなら、もしかしたら、何か知ってるかと思ったよ・・・」

江口君が、悔しそうに首を振った。

私は目を閉じて、絞り出すように言った。

「ごめん、江口君。 私は・・・、私は、逃げ出したんだよ。

私には受け止め切れなかった。 それが、別れた理由」

ユリが、手帳を抱えながら戻ってきた。

私たちは、深い沈黙の中で、ただ空を見つめていた。




いいね!した人  |  リブログ(0)

テーマ:
帰りは住宅街を抜けて、目黒通りへ出た。

庭園美術館から公園へ続く緑。 木々の濃い薫りに満ちている。

「なんか、懐かしいな」

「うん。 もう、来ないしね・・・」

社会人になって、通勤範囲にないこの辺りからは、足が遠のいていた。

ユリは卒業以来だろう。

「ねえ、覚えてる? あの店で、初めて会ったの・・・」

江口君や康介と、初めて食事に行った店が見える。

あの日から、康介との日々が始まったのだ。

「白金で始まって・・・、こんな形で、またみんな集まるなんてな・・・」

「なんか・・・、楽しい想い出も、悲しい想い出も・・・」

ユリが、言葉を詰まらせた。

みんな、同じ思いだった。 

楽しい想い出も、悲しい想い出も、この白金にある。

「ねぇ、プラチナ通りに行かない?」

江口君とユリが、私を見る。

「康ちゃん、BLUE POINT 好きだったでしょ」

ふたりが顔を見合わせて、頷いた。




私たちは、そのままプラチナ通りへと向かった。

夏を目の前にして、明るい日差しの中、緑がサヨサヨと揺れている。

ハウス白金、ステラートともに、今日は結婚式のようだった。

近づいて行くと、BLUE POINTも、そうらしい。

「結婚式かぁ・・・」

「そうだよね。 土曜日だもんね。 忘れてたよ」

私たちが立ち尽くしていると、ステラートから結婚式を終えた人たちが

ゾロゾロと出てきた。

黒い服を着た私たちは、慌てて、道の向こう側に渡る。

みんな笑っている。 家族も友達も会社の上司も。 

写真を撮ったり、肩を叩き合ったり、小さい子供がドレスで駆け回ったり、

そんな幸せに満ち溢れた姿を、私たちは静かに見守った。

あまりにも切ない、この偶然を呪いながら。




みんな押し黙ったまま、目黒へと引き返した。

このまま、あの場所にいたら、声を上げてしまいそうだった。

康介のお父さん、お母さんは、もう結婚式に出ることはない。

必死で 「家族」 を創り上げてきたあの両親が、

どれだけ、康介の結婚式を楽しみにしていたか、

考えただけでも胸が苦しかった。

「オフクロがさぁ。 正月、また茉莉ちゃんと一緒に来ないかって・・・」

康介の言葉を思い出す。

そうだよね。 そうだよ。 普通の家庭じゃなかったんだ。

なんで、あの時、私、気持ちよく行かなかったんだろう。

きっと、ご両親は、息子がガールフレンドを連れて遊びに来るだけでも、

ホッとしたに違いない。

なんで、そんなこと、わかってあげられなかったんだろう。

康介を思い、ご両親を思った。

焼香に行った時の、真っ青な顔のやつれたお母さんと、

ほとんど顔を上げることなく、悲しみを押し殺していたお父さんの姿が、

忘れられなかった。




いいね!した人  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。