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2017-06-25 01:31:34

カラマンダリン。

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スーパ―で売られている柑橘たちの明るいオレンジを見ると、1ヶ月ほど前の「ごごしま音楽プール」のことを思い出す。今年2年目を迎えた、地元の仲間たちと主催している小さな音楽フェス。松山市高浜駅からフェリーで10分ほど沖へ出た興居島の、旧泊小学校の校舎内にある底の青いプールをステージと客席に、4組のアーティストが出演した。(僕らもそこで演奏。)運動場には地元、三津浜、市内の皆さんが出店してくれた美味しいマルシェたち。今年はそこに島の柑橘も並んだ。そのおかげというかなんというか「不揃い、ちょい傷で売り物にはならんけど味は変わらず美味いから好きなだけどうぞ」と農園の方が大きなカゴごと楽屋に差し入れてくれたカラマンダリンを、見よう見まねでスマイルカットにして食べた。にっと笑ったピースマークの口のように三日月に切ったカラマンダリンに、自分の口を同じかたちに合わせながら、半笑い気味にかじりつく。ちゅば、と音がして飛び込んでくる果汁。鼻の奥まで届く甘酸っぱい微粒子。食べるたびに目が覚める。柑橘ってこんなに美味しかったか。開け放たれた窓からはよく晴れた空が見えて、プールで生まれた歌声を風が教室の中へと運んでいた。今は生徒がいなくなった学習机で、取り憑かれたようにカラマンダリンをカットしては食べ続けた。スーパ―に並んだ柑橘のオレンジ色を見るたびに、その時の場面と味と匂いと音が一気に立ち上がる。2年前の自分にはなかった新しい記憶の回路。小さな太陽。カラマンダリン。(2017年6月24日)

 

 

 

 

 

 

 

 

2017-03-20 09:04:34

ピンクのそれ。

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ピンクのそれがころんと地下鉄のホームに落ちた時、おお、やった、と声が出てしまった。これを見てすぐに、リップクリームを最後まで使った時に出て来る合図的先っぽ、だと分かる人はリップの達人であろう。これまでの人生で、もう何本のリップクリームを失くしたことか。なぜ彼らはいつの間にか姿を消すのか。確かにポケットに入れていた記憶があるのに、気づいたらそこにない。ではどこに行ったのかと言えばそれもわからない。持ち主を差し置いて今ごろコルシカ島で美女とビーチに寝転びモヒートを飲んだりしている可能性もある。それはないか。まあいいや。ともあれ、最後まで使い切った時、このあわいピンクの印が出ると、ちょっとした当たりを引いたような、自分が今回ばかりは最後までモノを大切にできたような、ほんの少しだけマシな人間になったような気がする。やればできるじゃないか。と思う間もなくリュックのポケットの奥にほとんど使われていない、いつぞやのリップクリームを見つける。前言撤回狼狽赤面。顔がピンク。
(2017年3月20日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2017-02-11 20:42:04

ガーベラ→ブラウンシュガー

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時々立ち寄る花屋でガーベラを買って包んでもらっていたら、お店のおばちゃんがいつになくよく話をする。「ガーベラの首がしなだれるとつらいものよね」、「何日かに一度少しずつ茎の部分を切ってやると元気がなくなるのを先延ばしできるから」などなど。言われた通り、水を換えながら数日おきに茎を少しずつ切ってみたりしながら、どうしてあの時おばちゃんがいつもよりたくさん話したのかが気になっていた。決して愛想が悪いというわけではないが、買いたい花の名を確認することとお金の受け渡し以外、余計なことを話さない彼女に、あの時何か変わったことがあったのだろうか。そして今朝、花瓶に水を入れようと流し台に立った時にふと思い出した。いつもはおばちゃん1人の店奥にそういえば人がいた。男性で年齢はおそらく40代前半だったと思う。勝手知ったる感じで店内を横切って店裏へまわっていったような。あれはもしかして息子さんだったのではないか。今は都内を出て暮らしていて久しぶりに会ったとか。それで嬉しくっておばちゃんの気持ちがうきうき、そこへガーベラ買いに来たのが僕だった、とか。もしかしたら恋人とか。さすがにそれはないか。おばあちゃん(たぶん)70代。彼氏40代。うきうきが過ぎる。でも73歳で最近8人目の子供ができたミックジャガーの恋人は29歳だったしなあ。などど考えていると無性にローリングストーンズが聴きたくなった。ブラウンシュガー。
(2017年2月11日)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2017-02-02 21:47:16

タートルウォーズ。

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タートルネックの首がきつくて吐きそうなので先に帰りたい、とか言えんわなと思いながらなんとか最後まで打ち合わせの会議室にいたのだが、後半は脳に血がまわってない感じだった。欲しくてさがしていたニットが去年の型なのかなんなのかショップを歩いてもどこも売り切れで、ネットで見つけてラッキーと前のめりに買って届いてみたら、首が。着丈も肩幅もベストサイズなのに、首だけ細い。それも驚くほどに。同じメーカーの他のニットと同サイズなので試着は不要と踏んだのが失敗だった。首の細さ自慢をしても仕方がないが自分は首が細い。これ本当に着れる人いるのか、それとも着ているうちにわりとすぐに伸びて来るのか、と袖を通し、頭をふぐぬううと押し出して外出してみたら会議室で吐き気である。なんとか1日やり過ごし、クラクラしながら部屋まで戻り、これはなんとかせねばならんと「タートルネック、首、伸ばす」で検索したら数少ないヒットの中に秘策があった。「金属のボウルはありますか?それにセーターの首をすっぽりとかぶせます。そしてアイロンのスチームをあてます。」素晴らしい。これ、いける気がする。台所から金属ボウルを取り出しニットをかぶせて狭くなった首のところにボウルの底をあてるようにぐいいと広げる。その広がった曲面にあわせてスチームアイロンをあてていく。さて、具合はどうか。おお、伸びている。伸びているぞ。しかし着てみるとまだ苦しい。ワンサイズ大きなボウルを出して来て再びスチーム。伸びている。さらに伸びているぞ。これは伸びている。今度はどうだ。試着。あれ、ゆるい。ゆるいぞ。それもすごくゆるい。闘いはつづく。(2017年2月2日)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2017-01-25 13:53:52

トマト幻想

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野菜が高い。旬を外しているからだろうと言われる部分もまああるだろうが、それにしたってトマト1つが150円を越えたりすると躊躇してしまい、トマトを前にして立ちすくんでしまう。今日はやめとこう、と買わずに帰って成り行きで買った白菜なぞ切っていると、ああやっぱりトマト食べたかったなあ、となる。白菜にも失礼な話である。翌日心を決めてトマトを買いに行き、今度はどれを手に取るかで迷う。なんせ1つ150円オーバである。できれば形のいい、熟れ過ぎずしかし熟れ過ぎなさ過ぎずのものを選びたい、とか思っているとますますわからなくなる。だいたいトマトの形なぞそれほど違わない。そうか、いっそ一番変な形のものを選ぶと心はすぐに決まるぞ、と視点を変えたらすぐに見つかった。塩だけで食べる。美味い。そもそもトマトの理想の形なんて誰が決めたものでもなし、どうだっていいわけだ。ある意味それも幻想のひとつ、とか言ってみたりして。(2017年1月25日)

 
 
 
 
 
 
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2017-01-16 20:42:08

450と、

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アンチモン、松山〜高知の小さなツアーが無事に終了。目標が2つできたのでそれについて書いておこうと思う。キーワードは「450」と「働き方」。まず1つ目、「450」。これが自分にとって次の目標の数字になった。松山のライブハウスOWLではワンマン、翌日の高知グリーンホールは従兄弟のウクレレ奏者KYASのコンサートにゲスト出演。松山は平日ということもあってお客さんが来てくれるか心配していたのだけれど、始まってみると満員御礼。ありがたい。新しいアルバムから初めて披露した新曲もいい感触で演奏できたし、お客さんがリラックスしている様子も伝わってきて自分も落ち着くことができたのか、設定していた越えるべき「峠」のようないくつかの曲も、いいかたちで演奏できたと思う。(もちろん反省点もあるけれど。)そして、翌日は高知グリーンホール。ここでは従兄弟のKYASに胸を借りるかたちで演奏させてもらった。リハーサルからいきなり驚いた。経験したことのない大きさの会場だったから。アンチモンはだいたい50人〜150人規模のライブハウスで演奏する。ワンマンで200人を越える動員をしたことはない。ギターのイノウエくんは他バンドやアーティストのサポートで経験があるから落ち着いているけれど、僕は450という客席を見てすでに舞い上がっていた。ここに全部、人が座るのか。ぬいぐるみなんじゃないのか?本番が始まる。本当に人が座っていた。満員である。KYASの演奏は相変わらず素晴らしかった。身内にすげえ奴がいたもんだと、素直に感動した。ステージ中盤にゲストで呼ばれ、びっしり席を埋めたお客さんの前で「銀河フィラメント」、「グリーンダカラちゃんのうた」、「アンパンマンのマーチ」を演奏。そして最後にKYASに三線を弾いてもらって「ミスターちんすこう」という曲を(変な歌だがわりといい歌です。自分でいうのもなんだけれど。)歌いながら客席を走り回ってちんすこうをばらまいた。お客さんも一緒に盛り上がる。なんて楽しいんだろう。ライブが終わった後も物販コーナーにたくさんの人たちがCDやグッズを買いに訪れてくれた。自分たちの音楽が確実に届いているという実感をもらった。「グリーンダカラちゃんのうた」も多くの人が客席でリズムを取ったり口ずさんでくれているのが舞台から見えて、広告の仕事でやってきたこととやめずに自分の音楽を作り続けてきたことを、従兄弟の助けを借りて肯定することができた夜だった。嬉しさもありつつ、KYASに大きな感謝をしつつ、同時に嫉妬した。彼の図抜けた演奏テクニックにも、それを聴きに集まった人々の数にも。時間が戻る。27歳の時、僕はレコード会社との契約し音楽で生きてみるという選択を、とある事情で手放した。いくつかの想定外のことがあり決断を迫られた結果とは言え、それを最終的に手放したのは誰のせいでもなく自分だった。それから20年、(なんともう20年だ)広告の仕事をしながら細々とではあるが音楽を続けるというやり方でなんとかここまで来たけれど、一昨日のKYASのライブは、僕がかつて手放したそれを、手放さなかった人だけが実現できる内容のものだった。今の自分には到底無理だ。だからと言って諦めたくはない。時間はかかるかもしれないがこれは目標にできる。もっといい曲を書いて、いい演奏ができるようになって、450人のお客さんの前でアンチモンのワンマンを成功させたい。その時は、お礼にKYASのことを呼ぼう。簡単ではないけれど実現できなくはないはずだ。それが55歳の時だって、60歳の時だってかまわないのだから。長々と書いてしまったが、これが1つ目の目標。そして2つ目、「働き方」。この小さなツアーの前後、仕事がとても忙しかった。どうすれば質を落とさない仕事ができるのか、どうすればリハーサルの時間を確保できるのか、どうすれば体調がよりベストに近いかたちになるのか、考えながら過ごした2か月だった。これから自分は肉体的にどんどん老いていく。それは避けられない。その分、工夫を続けていかなくてはならない。起きる時間、寝る時間、企画の仕方、打ち合わせの進め方、スケジュールの組み方、メールの返信の仕方、判断の仕方、決断の仕方。自分にとって「働き方」は「音楽の仕方」と密接に関わってくる。まだまだ失敗もするだろうがだんだん賢くなっている(はずだ。)「450」と「働き方」この2つを頭に置きながら、まずはこの1年をやってみよう。人生は実験だ。(2017年1月16日)

 

 

 

 

 

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2017-01-05 23:22:23

パンツ冷凍ミカン

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パンツがない。仕事始め、大阪から東京の部屋に戻り、シャワーを浴びて着替えようとクローゼットを開けたらパンツが1枚しかない。何故だ?5、6枚はあったはず。空き巣?部屋に特に異常はない。そもそも誰が男のパンツだけ盗るよ、思い出せ、お前、何かをしくじっているぞこれは。年末の記憶をたどる。あ!と声を上げて洗濯機の前へと走る。蓋を開けるとやはり。洗い終えて干すのを忘れられた洗濯物が大量にドラムの中で年を越していた。あやしい匂いがする。がーん。もうなんかどうでもいい。なんでもいいからヤケ食いしたい。冷蔵庫を開ける。何もない。年末に食材使い切っただろ、忘れるなよ自分。すぐ下の冷凍庫を引き出す。あけおめ!とばかりに冷凍ミカンがころんと顔をだす。ああ!これがあった。ゆっくり風呂入ってからこれ食べよう。風呂上がりの冷凍ミカンはうまいんだよなあ。年末に冷凍庫に入れたのを忘れてた。ラッキー。忘れるっていいもんだ。(2017年1月5日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2016-12-19 22:25:29

餅日和

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今日は餅日和だった。そんな日があるのかと言われれば、それはもちろんある。冬の寒さがしっかりしていること。けれど天気は良く、空気がカラッとしていること。予定していたどの仕事も問題なくうまく進んで気分が軽いこと。焼ける餅を心ゆくまで見ていられること。あんこを買い忘れていないこと。砂糖醤油にしようと気が変わった時のまさかの醤油切れもないこと。食べ終えて餅がおさまった腹に手をのせつつぼんやり座っていられること。場合によってはそのままうとうとしてしまっても構わんこと。つまり時間がたっぷりあること。こう考えていくと、餅日和というのは実のところ年に1日か2日あれば良いほうだ。網やオーブン、いろいろ試してみた結果、自分はフライパンで焼くことに落ち着いた。餅日和に食べる餅の味はちょっと罪の味がする。で、いつもハンバートハンバートの「罪の味」という歌を思い出す。名曲。先ほどまでこのお皿に餅が入っておりました。(2016年12月19日)

 

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2016-12-19 14:22:22

クスリはいらない〜桃色キノコさんの場合〜

テーマ:歌詞

目が覚めてたまげました

左手の薬指の爪の先から

小さな桃色のキノコが生えてる

触っても痛くはない

いやむしろ気持ちがよい

撫でながら目を閉じると

あの人の顔が浮かぶ

それは それはあなた

何か悪い病気だわ

すぐにお医者さまに診せなきゃ駄目よと

叔母さまは言うけれど

この気持ち 何でしょうか

桃色のキノコがほら

一緒に暮らしてみようと

わたしに呼びかけるの

それはそれはあなた

何か悪い病気だわ

すぐにお医者さまに診せなきゃ駄目よと

叔母さまは言うけれど

このキノコわたしのもの

今かなり幸せなの

だからわたしの病気に

クスリはいらないの

クスリいらないの


©17/12/2016 Ryuichiro Akamatsu

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2016-12-07 20:24:06

ぺたり。

テーマ:ブログ
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風に文句を言うことはあっても、叱る人もいないしその振る舞いを縛る法律もないから、伊能忠敬の額に銀杏の葉っぱをペタリと貼つけるくらいは朝飯前である。自由でいいなあ、風。耳元冷たくぴゅうううと音がするここ数日はよく風が見える。道をカラカラと転がっては、待ち合わせをしていたかのようにひとつ場所に溜まっていく落ち葉たちを見ていると、彼らの集合場所は自分の思っていた風の溜まる場所とはだいぶちがうところにあることが分かって面白い。空を舞う木の葉たちも同じ。予想とはまったくちがう方向へ、赤や黄の葉たちが舞い踊る。奔放な風の動きを見ていると、1秒先のことすら自分にはまったく読めないのだということに今さらながら納得してみたり。つまると人生あまり考え過ぎず、やりたいことをやるのが一番だなと思ったり。ちなみに伊能忠敬が日本地図を作るために全国に測量の旅に出たのは55歳の時らしい。ずいぶん思い切ったなあ伊能さん。(2016年12月7日)

 

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