テニスンのこの作品もまた、

小学生の頃、「世界名作全集」みたいな、

分厚いでか文字ハードカバーで読んだ記憶です。


その後、岩波文庫に入っているのを見つけて、

歳とってから読み返したりしましたが、

子供の頃に受けたほどの物悲しさは、なんだか感じませんでした。

口は達者になったけれど、感性はにぶくなってゆく・・・ということかも?(笑)




オトコが海で遭難して、

漂流して、

何年か過ごして、やっとの思いで自分の家に戻ってみると。


妻はいつのまにか再婚していて、

楽しく、幸せそうに暮らしており、

それを物陰からじっと見て、

なんとなく声をかけられず、

ひとりひっそり静かに去ってゆく男、という内容。



映画なんかの設定にも、よくありますね。

戦争に行って、捕虜になったり、

戦地で数年過ごしたりしてからいざ、自分の国に帰ってきてみたら、

いつのまにか妻が再婚してしまっていたり、という。

「ひまわり」とか、有名ですね。




ロビンソン・クルーソーから、ガッツをとりのぞいて、

前向きな姿勢を消去したような内容とも言えるかもしれません。

(海で遭難しちゃうのは、おなじ。)





テニスン, 入江 直祐
イノック・アーデン
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小川未明、大好きだったりします。


この方は、くくり的には、童話作家のじいさんです。

(じいさんになってからの写真しか見たことがない・・・。)

短編ばかり遺してくれております。

とっくの大昔に亡くなっており、教科書なんかにも載っていたことがあったかもしれません。

(自分の記憶的には、あいまいで覚えていない。好きなわりには、全然詳しくないワタクシ。)


小川未明の作品の中で、一番好きなのは、 「飴チョコの天使」 。


これは、子供向けのおかし(チョコレート)の、

パッケージに書かれた天使のお話。


とある飴チョコが、

製造されて、工場から出荷されて、お店に運ばれて、店頭にならんで、でも売れ残ってしまい、

そして、その売れ残った飴チョコをどっかのばあさんが買って、

自分の孫のところに送って、それゆえ、またまた飴チョコは、地方に汽車で運ばれて、無事に孫たちの手元に届くのですが。


子供なんて薄情なもので。

高級菓子ではないから、あまりその飴チョコには喜ばず。

でも、とりあえずお菓子だから食っちゃえということで。

子供たちにとって肝心なのは、パッケージではなく中身なので、天使はびりびりと破かれて道端に捨てられて。

そして、天に昇ってゆく


というお話です。


ちょっと、南米文学や、イタリアの幻想小説みたいな空気のある作品かもしれませんね。


子供向けの作品のはずなのに、なんだかもの悲しい感じもしますし、

単に「飴チョコの天使」に焦点をしぼっただけではなく、なにかのたとえ話のようにも受け取れますし。


勝手にひとり、穿った読みとり方をして、そんなふうに思ったりしているのですが。小学生の頃に読んで、なんだかずっと、忘れられないお話です。



多分、「赤いろうそくと人魚」というのなら、知っている方、いるかと思われます。

これも、なんだか教訓めいた、

日本版グリム童話、みたいな感じのお話ですな。


夏目漱石の「夢十夜」みたいな感じも、なくはないような、そんな感じ。



小川 未明
小川未明童話集



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私の気分転換のひとつに、「本のやけ買い」がある。

やけ・・・というわけではなかったが、本屋でふらっと、それまでナジミのなかった作家のものを手にとってみると、思わぬ発見があったり。

「ちくしょー金返せ!!!」なことがあったり。といろいろである。(CDのジャケ買いと同じ感じ。)


元来、飽きっぽい性格なのかもしれない。

自分では、よく把握していなかったけれど。

盛り上がるときは、ものすごく盛り上がるけれど。

凝るときは、ものすごく凝るけれど。

ある日突然、憑き物が落ちたかのように、プッツリと、飽きる。

そして、終わりにする。


恋愛も、買い物も、趣味も、なんだかそんな感じ。



本書、 「ペンギンの憂鬱」。


恋人と別れ(というか逃げられ?)、一人で寒い国に暮らしている主人公が、なんの因果か、ペンギンと一緒に生活をはじめることになる。

まだ亡くなっていない方のために、死亡記事を書くというお仕事をはじめる主人公。それにまつわる、不気味な背後関係と、ちょっとした事件。


作者がウクライナの方のせいか、社会を痛烈に批判、だとか、国家権力がどうの、という、奥にしまってあるテーマが語られることが多いが、

そんなことよりもなによりも。


孤独なオトコのそばに寄り添う、ペンギン。

そのコントラストに、すっかりやられてしまった私です。


おタクな男性方にはラブ・ドール(オリエンタル工業) が人気ですが、

もっと健全に、動物と暮らすのも、いいものですよ、というメッセージを込めて、本書をおすすめする。



著者: アンドレイ・クルコフ, 沼野 恭子
タイトル: ペンギンの憂鬱
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パトリシア・コーンウェルの検死官シリーズは、90年代のミステリー分野での、ベストセラーである。書店などによく平積みされているので、見かけている方も多いのではと思われる。


私の場合も、いつも書店で見かけていたのだが、なんとなく手にとらずに通り過ぎていて、数年前、女友達Mから、押し付けられるようにして、シリーズ数冊分わたされて、読んでみた。

絶対、HSの好きな内容だから、読んでみて、と。


いやー、過日、はまっておりました。


このシリーズの中で、とある一冊を読んでいるとき、うっかりと、某銀行某支店のATMわきに、置き忘れてきてしまったことがあった。

自分の本ならば、そのままあきらめるところだったが、友人Mから借りていた本。

仕方なしに、しぶしぶと、某銀行に電話を入れた。


私「○日に、ATMのところに本を置き忘れてしまったのですが、忘れ物の届出はありますでしょうか。」

銀行の人「○日ですと、数件ありましたので、本の題名をおっしゃっていただけますか。」

私「・・・死体農場、です。」

銀行の人「・・・確認いたします。お待ち下さいませ。」


猟奇殺人を扱っているシリーズにしてはおだやかな題名が多いのだが、

その一冊は、死後、どのような経過がその遺体におこったのかを判別する指標を探るべく設置された、「研究所機関」にからむストーリーだった。

 

THE BODY FARM という原題。

邦題、「死体農場」。


いったい、銀行の人は、私がどんな本を読んでいるのかと思ったことでしょう・・・。

相原真理子よ、もうちょっと、翻訳、考えた方がいいぞ。(苦笑)



著者: P.コーンウェル, 相原 真理子
タイトル: 死体農場

海辺に旅行に行く前なので、なんとなく、本書を思い出した。

私の好きな、マルケスの中でも、特に一番のお気に入りである。

海で遭難し、カリブ海をただよう主人公のお話。


基本的には、一度読んだ本は、精読派なので、めったな事じゃ読み返す癖がないのだけれど、大昔、この本は、何度も読んじゃいました。

なんだか、美しいです。

なにが美しいのかって、それは、本書を是非読んで、感じてほしいッス。


私は実は、泳ぎの得意な人間ではないので、海で死ぬのが、一番こわい と思っている。

(息継ぎができないので、クロールがダメ。平泳ぎは25メートルが限界。背泳ぎならば、まぁ、なんとか。でも、海で背泳ぎ、って?)

なので、海で遭難したら、きっと、気が狂うのではないかと、想像している。


では。遭難しないように祈っていてくださいませ。

明日から、旅行なのでした。


 

著者: ガブリエル ガルシア・マルケス, Gabriel Garc´ia M´arquez, 堀内 研二
タイトル: ある遭難者の物語

黒い天使




著者: コーネル・ウールリッチ, 黒原 敏行
タイトル: 黒い天使

コーネル・ウールリッチは、我が愛しのウィリアム・アイリッシュ様の別名義。
ヒッチコックの「裏窓」や、ヒッチコック劇場(短編をドラマ化したもの)でおなじみの作品の、原作を多く書いていた方)

ちょっと古臭い文体と、甘い文章、韻を踏むセンテンス。
古きよき時代のアメリカ、が時代設定の殆どです。
私の好きな作家のひとり。
彼の生涯も、ちょっと謎につつまれていて、そのうち、きちんと、自伝を読まなくては、と思っている。

この人の本はね、新刊、ってかなり珍しいのだよ。
今回は、新訳、ででたらしいのだが。
書店で見かけたとき、即買いでしたね。
いまのところ私は、ほぼ読破している。

本書はまだ読んでいる途中。
奥さんが、真犯人探しに奔走しはじめたところです。