目を覚ますと夕方になっていた。


ここはポーランドの歴史都市クラコフ だ。


初めての街でじっとしているのももどかしいので、まずオルビス(ポーランド 国営の旅行会社)に行って、次の街までの交通手段を確認した。


これまでの行程で、クラコフ ~プラハ間の夜行列車には睡眠薬強盗が多いという噂を聞いていたので(実際被害に会った人も何人か出会った)バスで行こうと思っていたけど、その間に直行のバスはないというので仕方なく危険な夜行列車に乗ることにした。


寝なければ大丈夫だろう。



それから旧市街の土産屋で絵葉書を買い、マーケットスクウェアに面したカフェで一休み。


クラコフ マーケットスクウェア


休んでばかりだ。


日が暮れていくのを感じながら、友人に宛てた手紙を書いた。


そこで、一つ前の都市、リトアニアヴィリニュス では21時ごろまで明るかったのに、ここクラコフでは19時でもう暗くなってしまっていることに気づいた。


リトアニアとポーランド両国間で時差が一時間あるとはいえ、南に来たことを実感した。



カフェを出てから、どれ、せっかくだからヴァヴェル城 まで足を延ばしてみようかと、南の方に向かって散歩することにした。


十世紀以上もの歴史があるヴァヴェル城は、クラコフ の街中では一番の見所。


世界遺産でもあるここは、ポーランド随一の歴史的建造物といってもいいかもしれない。



城に向かう頃にはもう夜になっていたので城内に入ることができないのはわかっていたけれど、そのおかげで城周辺には人がほとんどいなくて自分だけのヴァヴェル城 を楽しむことができた。


ヴァヴェル城への坂


城に向かう坂からして素晴らしい。


通り雨に濡れた石畳が街灯に映り返し、そこ歩く人を中古の世界へ魅惑するようだ。


坂を上っていく時間は、城が城としての役割を担っていた頃の気分にタイムスリップするには十分の時間だった。


ライトアップされたヴァヴェル城2


夜の帳が下りかかった空を背景にしたヴァヴェル城 には、歴史の重みとか、威厳、貫禄といった言葉が全てあてはまる気がした。


ただ、そのときの自分は「妖艶」という言葉がこの城を形容するのに最も相応しいように感じた。


ライトアップされた城と夜空のコントラストのせいかもしれない。



訪れる人を魅了する何かがあったから、自分はそこに30分以上も一人で立っていたんだと思う。


城と自分。


それしかない。


それがまた良かった。


ライトアップされたヴァヴェル城


明日は、城内に入って見よう。


今日とは全く違うヴァヴェル城 が見られるはずだ。


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朝早く。


スケジュール通りの時間にバスはポーランド の南部に位置する都市、クラコフ の街に到着した。


この日は土曜日だったので、もしかしたら簡単に泊まるところが見つからないかもなと思って、前もって宿を予約していた。


ところが事前に持っていた情報は、宿の名前と電話番号と住所だけ。


だから、着いてすぐ早朝のクラコフの街をストリート名だけを頼りに歩いて回らなくてはならなかった。


15時間の長旅で疲れてもいたし、けっこうしんどかった。



しかも良くないことに、クラコフの街には朝から雨が降っていた。


雨・クラコフ


雨ってけっこう心に及ぼす影響が大きいんだ。


こんな疲憊しているときの雨は特にね。


さらに靴に雨が染みてきたり、傘を持つ手が濡れてきちゃったりしたら、もう間違っても「宿探し日和」とは呼べないね。



宿を探し回って歩いている途中、ねじりパンを売っている露店が目に付いた。


おもしろかったのは、はじめ0.60zt(ズヴォティ=31円)で打っていたねじりパンが、駅に近づくと0.70zt、さらにマーケットスクウェア(街の中心地)に近づくと0.80zt、0.90ztと上がっていき、スクウェアに着いてみると1.00ztまで上がってしまった。


観光地で物価が上がるのはどこも一緒だね。


地下道

それにしてもMama's Hostel はなかなか見つからない。


ようやくその通りを見つけ何度も行き来しているのだけど、その4番地があるところには別の店がある。


もう一度紙を見直し、やっぱりここだよなぁと思い敷地の中に入ってみると、そこは何やらレストランのオープンテラスのようだった。


さらによーく探して見ると、その敷地内に宿の看板が出ていた。


これじゃ気づくわけないよ。


すぐに4階にある入り口まで上がりレセプションへ。


聞くと、案の定満室。


予約しておいて良かった。



実はこの後もう一つの不安があって、それは何かというとこんな朝早くからチェックインできるのかなということだった。


普通、チェックインの時間って昼頃だよね。


でも、それはこういう安宿のいいところ。


朝から問題なくチェックインさせてくれた。


そして、シャワーを浴びてベッドに。


こういうときの睡眠は、どんな高級ホテルのベッドでも敵わないくらいに気持ちいい。


雨後のクラコフ



目が覚めるまでぐっすり寝てみよう。
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