アラスカ州の最大都市、アンカレジに到着したのは昼の11時。


日本から来ると、7月のアンカレジは夏から春に逆戻りしたような気候だ。


「アラスカ」と聞くと日本から遠く離れた最果ての地を思い浮かべてしまうが、実は直行便ではフライト時間6時間程度と、バンコクに行くのとそんなに変わらない。



気まぐれな世界-アンカレジ町並み


あまり知られていないことだが、実はこのアンカレジ、アジアからアメリカ東部へ飛ぶ大型貨物便が必ず寄航する町でもある。


というのも、平面の地図を眺めるだけではなかなか気付けないが、地球儀上で成田とアメリカ東部を結んだ線の上にあるのだ。


しかも普通の飛行機よりも機体重量が重たい貨物便では燃料を満載にしてもアメリカ東部まで直行で飛ぶことができないからだ(実際は直行もできるが、その場合載せられる貨物量が極端に少なくなってしまう)。


というわけで、今でも途中給油をするために北極圏まですぐの飛行機が毎日寄航している。



飛行機を降り、バスを待とうかと思っていたらクルーが「せっかくならdowntownまで行くかい?」と声をかけてくれたので、その言葉に甘えて中心部まで同乗させてもらった。聞くと彼らは翌日の便でシカゴまで飛ぶそうだ。


車の中でシャトルバスのドライバーの話を聞くと、時期によっては空港のすぐ側や町でもカリブー(ヘラジカ)が出没するという。


あんなに大きな動物が町中にいたらびっくりするに違いない。



今回の旅行の一番の目的は、なんといってもクジラを見ること。


前回アラスカに来たときは、何もできず市街地をブラブラするだけで終わってしまったので、今回こそはと日本出発前にクルーズ船の予約をしてきた。


それとクルーズ船が出港する港までは、アラスカ鉄道で往復となっているので、途中の景観もとっても楽しみ。


いろいろな野生生物を見たいなあ。


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しばらくして町に着くと、クルーやドライバーにお礼を言って別れ、まず自転車を借りた。


初日は特に予定もなかったので、海沿いに空港までサイクリングをした。


途中、川に架かる橋の上から川面を見下ろすと遡上する鮭の姿を見つけることができた。


気まぐれな世界-鮭の遡上する川


側には釣りをしている人たちもいたが、魚影を確認することができても実際に釣り上げるのはなかなか難しいらしい。


30分ほど眺めていたが、その間に釣り上げられた鮭は一匹だけだった。


気まぐれな世界-鮭


それから鮭たちと別れ、サイクリングロードを進んで行った。


木に止まっている鳥、道端に生えている草、花に集まる虫、そのどれもが日本のものとは違いとても新鮮に感じた。


気まぐれな世界-サイクリングロード沿いの自然


枝葉をいっぱいに伸ばし、短い夏を存分に謳歌している木々の匂いが心地良い。


3時間ほどのんびりと緑の中を走り、帰りがけにスーパーで朝食とお土産を買って町に戻り、宿にチェックインした。


気まぐれな世界-山並み

その日は、以前来たことのある海沿いのレストランで夕食を摂った。


こんなにおいしい料理を出す店がアラスカにあるんだと驚くほどに、どの料理も外れがなく、特にサーモンの味付けは絶品だった。


気まぐれな世界-ナッツとベリーのサラダ

料理だけではなく、ここのモヒートは種類も多く、ミントもふんだんに使われていて見た目にも美しい。


結局2杯のモヒートを飲んだが、後に飲んだアサイーのモヒートが美味しかった。


気まぐれな世界-モヒート

食事後、明るい夜の中歩いて宿に戻り、すぐ寝た。


明日はクジラ&氷河ツアーだ。


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翌日の起床は朝5時。


今回のメインイベントであるアラスカ鉄道~フィヨルドクルーズの日だ。


5時半には宿を出て、歩いてアンカレジ駅に向かった。


夏の朝は緑の匂いが濃い。


駅に着くと、早朝だというのにそこには既に多くの観光客が集まっていた。


気まぐれな世界-アンカレジ駅構内


窓口でバウチャーとチケットを交換し、スタンドでホットココアを飲みながら出発を待った。


外に出ると、朝のひんやりとした空気が気持ちいい。


出発の15分ほど前に列車が入線してきた。


青と黄色の配色が客車によく映えている。


気まぐれな世界-アラスカ鉄道①


列車を前にして自然と心も浮き立つ。


人の流れに乗ってホームへと出て(といっても日本のホームのように電車の乗降口合わせた高さのプラットホームがあるわけではなく、ただ改札を抜けた向こう側をホームと呼ぶだけだが)写真を撮った。


今回乗った車両はGold Classという1等車だった(Gold Classになったのは、普通車両が満席で取れなかっただけだけど)だけあって、その設備や眺望は素晴らしかった。


これについては写真をご覧頂くのが一番早いと思う。


気まぐれな世界-アラスカ鉄道車内


こんな車両初めて!


本当はUSD80も余計に払ってGold Classに乗る価値なんてあるのかなぁと懐疑的だったけれど、結果としてこの選択は大正解だった。


車両は2階建てで、1階にはその車両に乗っている人専用の食堂車があり、2階は客席と展望デッキ、それとフリーのバーカウンターが用意されていた。さすが。



目的地のスワードまではアンカレジから約4時間。


車で行けば2時間半ほどで着くそうだが、これは観光列車なので途中の景観を楽しむために、時間をかけてゆっくりと進む。


旅行に来たんだから慌てずゆっくり行きましょう。


気まぐれな世界-後ろの車両



アンカレジは海に面した港町なのだが、その海岸線の様子は日本とまるで違う。


普通、海岸線というと砂浜や岩の海岸線を思い浮かべるものだが、ここでは海岸線が泥で灰色に覆われている。


気まぐれな世界-泥と苔


海水も岸近くでは溶けた泥炭質で、コンクリートを溶かしたようなねずみ色になっている。


泥に覆われた海岸は、やはり海水浴には不向きなようで、ところどころに「底なし危険」(実際はもっと違っていたけど)の看板が立っていた。



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海岸線を湾の置くまで進むころには、山がちな景色に変わっていた。


気まぐれな世界-急流・雪解け水


気まぐれな世界-緑いっぱいの山

海が終わって、しばらくした頃には車窓からBlack bearを見つけることができた。


気まぐれな世界-立ち枯れの樹木


また、それからすぐ、今度は少し離れたところにカリブー(ヘラジカ)の親子がいて、野生生物がありのままそこにいる環境を嬉しく思った。


気まぐれな世界-遠くに見えたカリブー



同じ頃遠くを眺めると、そこには重厚な青白い巨大な壁が!


気まぐれな世界-森の向こうに見えるものは


氷河だ。


気まぐれな世界-押し寄せる氷河


これまでテレビや本で見たことはあったが、本物の氷河があんなに青いのかどうか疑問に思っていた。


ただの氷の塊だし、光の加減で青いように見えるだけじゃないかって。


しかし、そこで実際に目の前にした氷河は疑いようのない青さを僕にまざまざと見せ付けた。


気まぐれな世界-氷河


何故あのような青色になるのかは今になってもわからないが、あの紛れもない青さと今にもこちらに迫ってきそうな迫力は、どちらも何千年、何万年と地球が刻んできた悠久の時の流れが創り出したものなのだろう。


気まぐれな世界-滝

動物を見つけたり、景色に見とれているうちに、列車はスワードの駅へ。


気まぐれな世界-アラスカ鉄道


駅からクルーズ船乗り場までは歩いて5分ほどの距離だったが、列車が定刻より30分ほど遅れていたこともあり、急いで手続きを済ませたのだが、予約していたクルーズ船の最後の乗船客となってしまった。


今回乗船したクルーズは、全行程約6時間のもので、フィヨルドの野生生物や氷河を見ながら徐々に外洋へと進み、ぐるっと一周してキーナイ湾に戻ってくるというものだ。


気まぐれな世界-スワード港


目玉はもちろんクジラ!


見られるかなぁ。


スワード港を出港し、湾内を進むと早速ラッコが浮かんでいた。





気まぐれな世界-らっこ


日本の動物園ではわりとメジャーなラッコも、なかなか野生の姿を目にする機会は少ない。


海草みたい。


プカプカ浮いていたけど、なかなかかわいかったな。



次に見つけたのは、アザラシ。


気まぐれな世界-アザラシ


崖の下の岩場のところに群れになって、グダグダしていた。


日向ぼっこしてた。



その次はイルカ。


気まぐれな世界-イルカ

の右側を眺めていたら、同じスピードの水しぶきがあちこちに。


よくよく見てみたら、それはイルカの群れだった。


気まぐれな世界-イルカ


こういう光景って南国で、ダイブスポットに向かう途中に経験したことはあったけど、こんな北の国では暖かい海の似合うイルカに遭遇するとは思わなかった。



次は少し趣向が変わってエトピリカ(英語ではPuffin)。


気まぐれな世界-puffin


日本ではわずかに同等の沿岸に生息しているだけの絶滅危惧種だが、ここアラスカの海にはまだまだたくさんいた。


飾り羽がきれいなこの鳥は海の中で飛ぶことができ(ペンギンのように)、水中を自由に動き回ることができるという。


ただし、その代わりに水中での抵抗を減らすため、その羽は短く、空を飛ぶのにはあまり適していないようだ。


実際にエトピリカの群れに船が近づいてきて海面から飛び立つときも、白鳥が飛び立つときのように水面をしばらく走ってから飛び立っていった。


気まぐれな世界-断崖絶壁

うーん、いろいろ見たけど、なかなかお目当てのクジラは現れてくれないなぁ。