遂に家のある部落内の人々に私が帰省したことが知れてしまいました。やはり私が戻ったという情報がそれとなく部落内に漏れ出てしまったようで。
で、早速陰口やら悪口やらを言われまくっています。「きっと東京で何かやらかして戻ってきたんだろう」とか「勤めにも出る気配もないし何をやっているのか」とか「一体どんな仕事をしているのやら」とか「もしかして怪しげな仕事なんじゃないか」とかもういろいろ。ここら辺の連中は「働く」といったらお役所や店、工場に勤めたり畑仕事をすることとしか考えていない。
以前も書きましたが、帰省してわりとすぐにTwitterなどのソーシャルメディアを活用し街おこしを行っている「Yokotter」に参加しています。毎週木曜日には交流会のYokotter Caffeに参加し、この間の横手かまくらの時もチラシ配りや甘酒配り、接客などをし、この前の日曜日も毎月開催している定例イベント「よこいち。」のお手伝いをしてきました。そんな感じでなんだかんだ毎週横手市の中心地に行っていたのですが、そしたら以前にも増してdisられて四面楚歌の状態になってしまいました。どうやら隣近所の人達が車で出かける時のエンジン音や家の電気を常にチェックしているらしく(出かける時は消すから)、今は「親父が肺癌で末期なのに毎週どこに出かけているんだ」といった内容の陰口を言われています。そして雪よせや雪下ろしのたびにわざと聞こえる声で「あんな家はもう終わりだ」「癌の末期ならどうせもうすぐ死ぬだろう」といったような悪口を言われます。
話を聞くに、このような状態は私が帰ってくる以前からずっとそうだったようです。例えばテレビを見ていてちょっと笑い声を立てると「一家の大黒柱が末期癌で死にそうなのに笑っている」と言われ、畑に花を植えると「一家の大黒柱が末期癌で死にそうなのに糞の役にも立たない花なんか植えてる」と言われる。そして早朝母が畑に行くと、新しく植えた花の苗だけが誰かに引っこ抜かれ踏み荒らされている。そして部落の集まりのたびに口々に「父さんの具合はどうだ?」と聞かれる。つまり遠回しに「どれくらい弱った?」「いつ頃死ぬのか?」というのを尋ねているのです。はっきり言って完全に隣近所に監視されている状態です。特にある家はマジでカーテンの隙間からこっちをうかがい見ている。元からそんなんだったのに私が帰ってきてしまったせいで余計に陰口のネタを提供してしまったようです。
そんな環境もあり家族一同かなり精神的にまいっています。弟は家をいやがり仕事がある日も休みの日も家にいません。そして私は母に「雪が溶けるまで家から出ないで欲しい。なるべく電話にも出ず、隣近所に姿が見られないようにして欲しい」と言われました。雪があるとどうしても車を使わざるを得ず、エンジン音を隣人に聞かれてしまうからです。
これはフィクションではなく本当に起こっていることです。この21世紀の時代に。
私は、同じ横手市という街の中でさえ中心の市街地と農村部落には大きな格差があると思います。横手市の市街にはショッピングモールや各種店舗もある。図書館などの公共施設も充実しているしバスの本数・路線も多く駅もある。上下水道も整備されている。ちょっとした公共の場には無料Wi-Fiだって飛んでいる。しかし私のいる部落は公道が一切通っておらず、バス停まで徒歩30分以上でバス自体一日一本しかなく時間表なんてあって無いようなものです。駅までは車で行かなければ辿り着けず、お金を使える場所は部落の集会所の前にあるコカコーラの自販機だけ。上下水道が全く整備されていないばかりか都市ガスも通っておらず、ソフトバンクのガジェットが一切使えません。3Gも電話も圏外なので今は誰も私に対して電話ができない状態です。留守電に入れられても私が留守電にかけられない。もうWi-Fiが飛ぶどころかラジオにすら雑音が入る。
そして一番の格差は「人」そのものです。市街に住んでいる主な人は学校の先生や役所に勤めている人、議員といった公務員や経営者、勤め人。つまり収入がそれなりにある”学のある”人たちです。そういう人達はPCも買えるし携帯も持てる。図書館で本を借りたり、TUTAYAでDVDを借りて見たりといった文化的な活動もできる。一方農村部落にいるのは農家。生活水準も学歴も低くとにかく”外界”が見えていない。PCも満足に買えず、さすがに若い人は携帯くらいは持っていますが年寄りまでは持てない。そして農作業や雪下ろしなどの肉体労働に疲れ果てて本を読むことも映画を見ることもできない。せいぜい娯楽といったら低俗なテレビ番組を見るか隣近所を監視して陰口・悪口を言うくらい。
ここまで書いててよく自分はこんな世界から抜け出せたと思います。はっきり言って今でもこの環境及び通っていた学校全てにルサンチマンしかありません。家を出た当初は完全に”捨てた”という気持ちでした。しかし今、本当にありとあらゆる問題が家に差し迫っています。この状況をなんとかして改善せねば家族は精神を病み家自体も破綻してしまう。そしてそれらの根本の原因は家が置かれている環境の「閉塞性」です。
本当に私は一度この部落を完全に跡形も無く破壊してしまいたい。


