ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート (MF文庫 J も 2-1)/森田 季節
¥609Amazon.co.jp

【「僕、女の子を殺したんだ」

――始まりは、思いがけない人物からのそんな電話。
どこか満たされない日々を送る高校生の明海は、
孤高の歌姫に魅せられた同級生の少年・神野の信じがたいような昔話を
いともあっさりと受け入れてしまう。
なぜなら明海も小学生の頃、神野と同じく一人の少女を殺めたことがあるからだった――。
よみがえるひと夏の記憶、
殺されるためだけに存在する「イケニエビト」の少女、
人の記憶を食らう「タマシイビト」からの逃避行。
第4回MF文庫Jライトノベル新人賞<優秀賞>受賞作。
三人の少年少女によるビター・スウィート・ストーリー。】


何度でも殺したらいい。何度でも蘇るから。


おお、よくわからない部分もありましたが、
実在する都市伝説みたいな感じだったのかな?
表紙が女の子+ギターで帯も帯(「切なさはロック」)だったので
勝手な先入観がありました。
イケニエビトとその記憶を食べるタマシイビト。
幾つかの条件が最初に提示されています。
作中で明かされていく部分もありますし、
説明されずに終わってしまった点もありますが、
全体的に言えばそこまで引っかからずに読みきれました。

(・イケニエビトを殺した者にのみイケニエビトの記憶が残る
→殺されたイケニエビトが書いた文字も殺した者にだけは読める。映像や写真は?
・「リコーダー」に触れた後だったので、物の所有権(シールド)はどこまで誰にあるのか
→賃貸関係、或いは譲渡であればオッケー? それとも意識の違い?)

最初に繋がる部分が早めに解っちゃったのがちょっと痛かったかな~。
妹になった時点で解る人もいるんじゃないかなもしかして。

そして最大の弱点は、私が表紙の女の子のことを大嫌いだということ!
いやあもう、あっはっはー!!って笑いながら言えるくらいなんですが
どうしてかストーリー自体は結構好きです。

この左女牛明海(さめうし あけみ)という女の子、
初っ端(19ページで)やってくれました。
しょせん、男の子なんてみんなじゃがいもで、
せいぜいあっちがメークインでこっちが男爵芋って違いしかないのかもしれない。

あれ、この子何様だろ。
手加減なしに叩き潰したい。
うぅん、カッコいい…と思ってるのかな? それとも世間を斜めに見たいのか。
カッコつけようとしててカッコいい人ってあんまりいないと思うけど。
まあ「告白されてもいないのに断れない」と「単純な感想」は同意。
後半に行くにつれてそれもまあ薄れてはいきました。
こんなことを言っておきながら男の子好きになられても困るなあ。
もっと困るのは相手の男の子もこの子が好きなことだなあ。


この子に限らず、途中出てくる「イケニエビト」の実例・藤原君も
世界の中心は俺である を地で突っ走ってくれたもんのすげー自信過剰男でむちゃくちゃな理論がそこかしこに見れるのですが
主役は相談をする神野真国と、イケニエビトの烏子だったような気がします。 神野くんは結構好きだったのでよかった~。
ただ、ならなんで左女牛さんに電話をしたのかが不思議。しねーよな、多分この子。


文章で「あれ?」と思ったのはなかったので
キャラさえもうちょいなんとかしてくれれば次も多分買う…と思います。
あともう少し論理的に。突飛な発言が多かった。
さすがに左女牛さんがまた主人公だと辛い。


イラストレーターは文倉十さん。
電撃の狼と香辛料が有名だと思います。
全体的に残念な感じ。輪郭がぎこちない。
シンプルかな、あんまり凝っていなくてさらりと見える。


■レビュー拝読!
いつも感想中さま/10月7日