円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (スニーカー文庫)/長谷 敏司
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【魔法を無効化する人類が住まうゆえ、幾千もの魔法世界から「地獄」と蔑み恐れられる地球。
元の世界での罪のため地球へ堕とされた少女魔導師・鴉木メイゼルは、魔導師協会の敵と戦い続ける過酷な刑罰を受けていた。
その地球へ、相似魔法世界を壊滅に追い込んだ高位魔導師グレン・アザレイが降り立つ。
己の「正義」を貫くため、たったひとりで協会に戦いを挑む男に、魔導師たちは次々と屠られてゆく!
灼熱のウィザーズバトル第2弾。】

■地獄に降り立ったばかりの魔女
過去「編」というまでではないですが、仁のおじちゃん(この人イラストは20代なのにおっさんくさいんだよなどうも)(人生疲れてる感じが特に)と鴉木メイゼルとのファースト・コンタクト。
時系列ちょっと混乱しちゃってるんだけど、これって前回の聖騎士のあとでオッケー?
彼らは音でしたが、今回のグレン・アザレイは相似大系。似てるものをごそっと操ってました。
しかしまあ、小さな魔女の敵として最初に出てくるのは、元刻印魔導師浅利ケイツ。
仁の教育係だった≪鬼火≫東郷永光。日本刀で目を閉じてて和服の人。
彼の担当だった人形師≪ドールメイカー≫綾名ネリン。女性で包帯でつばの広い帽子。
ケイツ、グレンと同じく相似大系。

1巻よりかは相似大系だの円環大系だのごちゃごちゃしてなくて解りやすかったです。
が、真面目にそれらを理解しようとしても基本はとんでも科学なので、それはそれ、これはこれで割り切った方がいい。
そこで魔力生まれちゃうのねーってところから生まれます。エネルギーに近いかな、メイゼルの雷とか特に。

■なけなしの良心
メイゼルから仁はそうなのに、仁も京香も、多分きずなも、メイゼルは保護と庇護の対象で、哀れな子なのかと思いながら読んでました。
まあ事実そうかもしれんが、そういうこと跳ね除けて傷だらけで生きてるメイゼルが凄いかっこいい。仁なんか比じゃないねもう。
≪地獄≫に生まれた者として、ここを≪地獄≫と思って欲しくないから。
出題者が解答者の答えを求めていない。
子供さえも見捨てたら、ここは本当の≪地獄≫となる。
魔導師としておとされたメイゼルがそうであるために生きていくには戦わなければならないので、仁の制止も心配も、謝りながら振り払う。
すれ違いといえばすれ違いだけど。正否や善悪の問題じゃないからな。
メイゼルが殺されることで仁が仁であることの一部を失うのであれば良心以外の何者でもない気がする。
「守ることで守られている」がこれほど典型的な人も素敵ね。

■下巻に続く
グレン・アザレイとの決着は次に持ち越し。その分ページ数的には200と少しだから薄いほうかな。
ああ、ケイツを捕らえるときの前口上だけ、どうにかしてほしかったかな。あとは満足。
メイゼルの致命的な弱点。
仁おじさんの最初の方の台詞って、まるで刻印魔導師と人間との子供がいるみたい。