カラフル/森絵都

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森 絵都
カラフル (文春文庫 も 20-1)

学校の図書室で読んで放課後本屋に直行しました。

うん、よかった。
オチとしてはあれ以上なりようがないし、むしろ下手にそこを裏切られると困るからいいんだ。いいんだよ。
カラフル。題名の通り。副題としては「ガイド」ですね!
でもカラフルの方が可愛いから満足です。例え黄色一色であろうと(笑)
メッセージ性としても、ひとつの物語としてもよかったです。単純に、よかった。
しかも単純でありながら奥が深い。
DIVEで止まっていたのですが(今度映画化らしいです)改めて惚れ直します。



「おめでとうございます、抽選に当たりました!」 

服毒自殺を図った少年・真の死亡確認から10分後「僕」はその体を借りて前世の過ちを思い出さなければいけないらしい。
ガイドは天使。しかも意外と口の悪いさばけた奴が案内役。
泥棒? 愛憎殺人? 万引き? ――僕は僕の過ちを思い出すために、もう一度生き直さなければいけない。
だって、抽選に当たっちゃったから。それは絶対なんだって。

フラメンコ教師と不倫をするお母さん。
自分ひとりがよければそれでいいお父さん。
背が小さいことを虐める意地悪な兄。
唯一「真」に話しかけてくれたあどけない娼婦のひろか。
「真」と「僕」の違いに唯一気付いた唱子。

――――だって、小林くんの描く絵は変わらなかったもの。

それは、僕が真の体に入ってから、幾度となく示されていた答えへのヒント。


あーもー学校で読んだことを後悔しました。
ぽろっと一粒涙付きですよお姉さん。
二度キた。“あどけない娼婦”や“僕は殺人を犯したんだ”も勿論よかったんだけど。
真が生き返ったあと、兄貴が医学部に転向し、その理由を尋ねに部屋に行く場面で。
最初は、真の主治医の懸命さに感動した、と言うんですが。

「物心ついたときからそばにいた、ぐずで、ぶさいくで、頭悪くて、いくじなしで、病的な内弁慶で、友達もできない、だから年中おれのあとばっかついてまわってた、世話のやける、目の離せない、十四年間、まったく目が離せなかった弟が、ある朝、なんてことのない普通の朝に突然、ベッドの上で死に掛けてた。しかも自殺だ。自分で死んだんだ。
どんな気分になるか考えてみろ!」

あっははお兄さん素敵だ! めちゃくちゃ素敵だ! P176ページ! 
暗記したいくらい暗唱したいくらい素敵だ! なっんだよ、そうか兄がこの家で生きていたのは弟か!
2人の性格の違いもあるし、美術室しか行き場がなかった真と兄は勿論状況その他色々違うけれど、
それでも父親に絶望したこいつがいたのは、「ぐずでぶさいくで頭の悪い弟」がいたからだとしたら、涙ひとつぶくらいじゃ足りないくらいに素敵だ。


中年オヤジと援助交際をするひろか(本当に中三かよこいつ…)の
長生きしたいのに、死にたくなる。その矛盾を抱え続けながらいつでも笑っていた。
正直援助交際がどうのではなく、それを一歩飛び越えているので安心しました。
ここで「援助交際がいけない」とされても興醒めだし、多分言いたかったのはそんなんじゃない気がします。
まぁひろかが好き(なんだよね?)の真としては多大なるショックなんですが。
どんどん男らしくなる真にドキドキします。

お母さんの八ページに渡る手紙での告白や、
お父さんの平凡で波乱万丈な人生、
兄貴はいわずもがな、そして真の初めての友達、早乙女くん。
三者三様の反応である
どうして?(母) なんでだ?(父) てめえ、どういうつもりだよ(兄)の兄が好きでした。

そして、魂の入れ替わりに気付いていた“チビ女”こと唱子ちゃん。
この子オチがいいです。(誰も聞いてません)
可愛いです。ポジティブ! 雷嫌い!
14歳の赤裸々な発言にめげなかった多感な時期の年頃の女の子に拍手ですよ!
ひろかは以前の真ですもの。唱子ちゃんオチがいいです……。
最後、最後ちょろっと欲しかった………!(妄想)


見る角度を変えれば、一色ではない世界。
道標はお互いになっていて、そうして誰でも多くの色を見せる。
表紙をあえて一色にするなら、海(青)がよかったんですが、なんで黄色……?
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