愛と悔恨のカーニバル/打海文三

テーマ:
愛と悔恨
打海 文三
愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

【19歳の姫子が恋した美しい青年・翼。
翼を追うアーバン・リサーチの探偵・佐竹。
翼の痕跡に、連続猟奇殺人事件が絡む。
耳が削がれた死体は、何を語るのか?
姫子を守ろうとするアーバン・リサーチの面々。
翼の心の闇に踏み込む姫子…。】

「愚者と愚者」「裸者と裸者」が自分の中で余りにも大きくて他の作品を読もうという気が起きなかったんですが、文庫化ということで購入。
解説の一行目を読んで思わず謝りました。解説に謝ったのも初めてです。

むしろ「姫子」シリーズ最新作と書かれていて、
待ってあたし読んでない!と本気で慌てました。
読み終わった後に。
十分楽しめて読めましたが、ああだから既にキャラがある登場人物が多いのねと納得。
ふはは寺西さん天ソバナイス。パクさん逆鳶に油揚げだ。佐川さんがちょっと可哀想(笑)


翼の殺人の根底に「姫子への脅威の排除」があると思って読んでいたら、
真実それも在るのかもしれないがそれを隠れ蓑にした部分もあるのかなと想いました。
むぎぶえ(翼の姉)との異常な関係、世間に許されなかった「悪」。
どこまでもそうであることを匂わせておきながら、最後まで独特な言い回しでもって断定しないもどかしさが妙に好きです。
異常としたら異常にしかならないし、姉弟の恋愛としたら姉弟の恋愛にしかならない。

翼の中で二つの愛が矛盾なく存在していればいい。
そうとしか終われなくても、そうであることをずっと望んだのは翼に違いない。
「飲み込まれる」衝動がどんなものか。
抱き締めて包んで丸ごと愛して欲しかったんじゃないのかなと解釈しましたが、
そう言葉で定義した時点でそうとしかならないんだったら、
曖昧なまんま断定せずに、作者の言葉を借りたほうがよほどいいのかも。

翼の殺人は制裁なのか排除なのか、それとも試練なのか。
人間で居たくなかった? だけどピノキオ。
最期のプールに浮かぶ内臓で、頭部を探す姫子の行動がなんか無性に凄かった。
どんな顔で逝ったんだろう。みすずや楼蘭と一緒だといいな。

「僕たちは恋の後始末をする必要があるんだ」が作中で1番好き。
1作目を探してきます。
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