「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」を読了
テーマ:読書 ビジネス書面倒をみている会社の若者から、仕事中突然1行のメールが。
「最初の会社はいつからいつまで働いたのですか?」
「90年代の半ばから、20世紀の終わりまで」と、答える。
「6年目に辞めた、ということですか?」
「そういうことになるね、辞めるタイミングでも考えてるの?」と訊き返すと。
「半分正解、半分不正解です」、と、生意気な答えが。
「じゃあ、辞めるタイミングは決めているけど、辞めるかどうかは決めてないってこと?
あるいは、辞めることは決めているが、いつ辞めるか決めてないってこと?」と、意地悪く訊くと。
話題を逸らされ、「いつ、営業になったのですか?」と質問された。
「2年目のことかな」、と返信。
最初の会社の、最初の仕事は、金利デリバティブズの商品開発だった。
本当はトレーダーになりたかった。
学生の頃も、あまり人付き合いが得意ではなく。
自分が営業という仕事に就くことなど、想像すらつかなかった。
しかし、文系で採用された私には。
新卒でトレーダーになる道は、開かれていなかった。
おそらく、採用の時点でトレーダーとなる人間は決まっていたのだろう。
自分で自分の職種を決めることは出来ず。
他人が私の仕事と決めた、デリバティブ商品開発の仕事を一生懸命やりながら。
真後ろに座っているトレーダー達の仕事を、うらやましく見続けてきた。
しかし2年目になったときに。
商品開発一本から、営業の仕事を始めることになる。
偉そうにいうと、ある特命のチームメンバーに選ばれたからだ。
正確に言うと、金利為替系の仕組み債を組成して自分で営業したり。
円債・外債を営業したり。
営業という職種に就いた自分に。
得も言われぬ違和感を感じながらも。
自分が自分でないような気がしながらも。
一生懸命がんばった、ような気がする。
そんなことを考えていると。
「どうして営業になろうとしたのですか」と、メールでさらに訊かれ。
記憶をさかのぼることに。
そして思い出したのは。
私が営業になると自分自身で決めた、というよりは。
他人が、決めた。
俺じゃ、ない。
途中で日本国債のトレーディングをやらないか、という話があったり。
クレジットデリバティブの創生期に、トレーディングやらないか、という話もあったりしたが。
私のことが使いやすかったのだろう、一緒に働いていた上司が。
ことごとく話をつぶしてきてしまい。
私も、職種を変えることに対して腹が据わっていなかった部分もあったのだが。
少しの後悔とともに、その問いに。
「おれは営業になりたいと思ったことは、一度もない」、と送り返す。
そうだ。
なりたくてなったわけではない。
営業という仕事がすごく好き、というわけではなかったから。
逆に、どうやったら効率的に営業という仕事が上手く運ぶのか、を人一倍一生懸命考えた。
それでたまたま、これまでやってこられたのだが。
自分の歩きたかった人生を、俺は歩いているのか?
自分の選んだ道を、俺は歩いているのか?
人が決めた人生を、ただ漫然と歩いているだけじゃないのか?
若者の問いかけで、今まで何度も考えたことを、再び思い悩むことに。
常識というのは、世の中の平均的な意見の集合体であるからして。
常識的な人生、というのは。
By definition、平均的な人生であって。
飛び抜けて凄い人生、というわけではなく。
「常識的に考えて正しい」人生を歩むと。
飛び抜けて凄い何かを達成する人生は、とても送れそうになく。
常識的な人、というカテゴリーから自分は若干外れていることは自覚しているものの。
凄く変わり者か、というと、必ずしもそうではなく。
矛盾した表現だが、「普通の」変わり者で。
「常識的な他人」が決めた道を歩く、変わり者。
だって他人が人の人生に干渉する時、あまり非常識なこともいえないでしょ、普通。
みんな大人なんだし。
だから、このまま行くと確実に、飛び抜けて物凄い何かを達成することは難しく。
年を取るに従って、守りたいものが増えたり、変化を物理的に受け入れられなくなる前に。
自分の手で、自分の歩むべき道を見つけられるのだろうか。
よく分からない。
よく分からないから、本を読む。
若い頃は、人生で無駄足を踏んでも勉強だと割り切れる余裕があったが。
年を取って、持ち時間がどんどん少なくなると。
人が一生かかって学んだことでも。
高くても3000円程度で教えてくれる本の有り難さが、身に沁みる。
「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 」は、まさにその有り難さが身に沁みる本。
そして、たった580円で。
愛情に満ちた父親の、息子へ贈る暖かい言葉に、触れることが出来る。
それも、父親が苦労の上身につけた、人生の知恵を。
父は、単純に息子に財産を残すのではなく。
自分のビジネスマンとしての生涯を通して、実体験した苦労によって学んだレッスンを。
慈悲深く、ウィットに富んだ言葉で息子に伝えることによって。
富を再生産していくことが出来るだけの知恵を、息子に授ける。
「戦わずして、征服することはない」
「平均的な人は、成功者ではない」
「人の運命を形成する鋳型は、主としてその人自身の手中にある」
など、多彩な引用が、心に響く。
そして、一番私の心に響いたのは。
有名だが、「ガルシアへの手紙」。
「ガルシアの手紙」については。
一度、自分の手で訳してみたいと思っているので。
そのうち、アップします。
(アップしました。こちらをご覧ください
)
成功者の記したものには、共通する内容が多いが。
慎重かつ楽天的であること、そして性善説を信じることを説く人が多いように思われ。
この本の著者の、キングスレイ・ウォードも、その例外ではなく。
いい本でした。
おすすめします。
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新訳: ガルシアへの手紙 2008-5-19








1 ■無題
紺ガエルさんのように成功された方から、仕事は自分が決めたことではない、といわれると重みがありますね。
小生、派生商品のトレーディングを生業としてきましたが、紺ガエルさん同様、たまたま社命に関わった結果であります。もともとは好きではない職種であったはずですが、人間とは面白いもので結果が出てくると好きになってしまうのですね。今は、これで飯を食っています(笑)。