同議長は米議会中継専門のケーブルテレビC-SPANが放映した下院本会議場での短いスピーチで、「われわれはオバマ大統領が具体的にどのような支出を削減する用意があるかについてホワイトハウスの説明を待っている状態だ」と述べていた。 両党の協議に詳しい共和党幹部は、ホワイトハウスの新たな提案はも妥協するかのような見せかけに過ぎないと批判を続けている。
一方、共和党の対案について、ベイナー議長の広報担当のマイケル・スティール氏は「われわれはホワイトハウスに、財政危機を回避し雇用増につながる税制と社会保障給付改革案を提案した」と述べ、先週から大きく変わっていないと語った。
ホワイトハウスとベイナー議長の事務局との話し合いは最近数日間盛んになっている。双方は詳細については沈黙しており、ワシントンではこれは合意がまとまりつつある兆候ではないかと受け止められている。しかし、ベイナー議長のチームは、交渉の動きに関する人々の解釈はあまりに前向きと感じており、双方の間にとりわけ支出面で相当大きな隔たりがあることを明確にしたいと望んでいた。
ホワイトハウスとベイナー議長の事務局は、オバマ大統領と同議長の2人が週末に直接会談したことを確認したが、交渉の詳細を明かすのを避けている。
ベイナー議長のこの日のスピーチは、オバマ大統領との直接会談の2日後に出てきたものだ。同議長は直接会談は「良好で真摯（しんし）だった」と述べていた。
関係筋によれば、ホワイトハウスとベイナー議長チームのフォローアップ会合は10日開かれたが、成果はそれほどではなかったという。それでもベイナー議長はこの日のスピーチで、「わたしは下院で楽観主義者として知られている。合意に達するよう希望する」と語った。
これに対し民主党のペロシ下院院内総務は下院会議場のスピーチで、ベイナー議長が財政の崖論議を本会議場に持ち込んだことをうれしく思うと述べ、どんな支出削減も「中間階層に打撃とならない」ものにするとの民主党の要求を改めて強調した。また、合意に達することができると楽観していると語った。
政府に詳細な支出削減案を求めたベイナー議長の要求に対し、ホワイトハウスのダン・ファイファー広報部長は簡易ブログ「ツイッター」で、支出削減でもっと良い提案をする必要があるのは共和党の方だと述べた。同部長は「皮肉なのは、ホワイトハウスの提案が極めて具体的な削減であり、共和党の対案に具体的なものがほとんど何もないことだ」と語った。
ホワイトハウスと共和党指導部は過去数週間、1月に発動される強制的な支出削減とブッシュ減税の失効にどう対応するか争ってきた。ホワイトハウスも共和党も、財政の崖と呼ばれるこうした事態の回避のため他の政策をとることを提案しているが、具体策で対立している。共和党は民主党以上に大幅な支出削減を要求し、民主党は共和党以上の富裕者増税を求めている。
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