「隠し事はしないでね。信用できなくなっちゃうから。」

私は付き合い始めの頃から、彼にこう話していた。

「もし、風俗とか接待で行かなくちゃいけない事があっても、
ちゃんと話して。仕方がなくて行くなら、許してあげるから。」

こんな風にも言っていた。

要は、物分りの良い女でいたかったのだ。

彼の会社の業界は、古い体質で、

接待で風俗などに行く事が認められているのだ。
(私も同じ職場で働いていたので、この事実を知っている。)

なんと、時代錯誤な会社だろう。

実際に風俗を接待で使う人は限られているのだが‥。

しかし、男子社員の話によると、

「客がデリヘルした事がないって言うからさぁ。
 ホテル2部屋とって女の子呼んだのは良いけど、
 さすがにホテル代は会社に請求できなかったよ。」

当たり前だー!!

行った事ない=連れてけ

だ、そうだ。。。

女の私にはどうしても、理解できない。

しかも、この会社、

一部上場の業界最大手って言うから、

日本の未来も明るくないだろう。。。



しかし、会社だけではなく、男社会において、

接待でなくても、友達や先輩同士が連れ立って

風俗に行くと言うのだから‥。

本当に、男のバカ者どもって手に負えない。。。

私は、と言うと、

彼にあのように話をしていたにも拘わらず、

当然、彼が風俗に行くような事はない、

と信じて疑わなかった。

彼は、誰に対しても優しく、

穏やかで、本当に絵に描いたような良い人なところに

私は惹かれて、好きになったのだ。

まさか、いくら会社や男社会が汚くても‥。



しかし私の期待は、見事に打ち破られるのであった。

彼は、酔っ払うと、何でも正直に話してしまう。

ある日、遅くまで一緒にお酒を飲んでいた。

その時に彼は、会社を定年退職した人の送別会での出来事を

私に話してくれた。

「いや~、あの日、皆がヘルスに行こうって言うからさ、
 お店に入ったんだけど、女の子の人数が足りなくて、
 じゃあ、俺は遠慮しますってお店を出たんだ。
 漫画喫茶で時間をつぶしてたよ。」

はあぁぁぁーーーーー?

お店に入ったって、じゃあ、

女の子の人数が足りてたら、あんたはしてた訳?

「は?何それ? しかも、その日全く電話つながらなかったよねぇ!」

「だから、漫画喫茶で時間つぶしてたんだよ。」

ふーん。




私の頭の中は、すでに不信感でいっぱいだった。

だから彼から、もっと詳しくその時の状況を聞きたかった。

しかし、私がその話をしようとすると、彼はいつも、

「いい加減にしてくれよ。」

と怒り始めるのだ。

しかし、徐々に問い詰めていくと、

いくつか矛盾点が見付かる。

なんなの?なんなの?真実は何??

ほどなくして、彼はついに白状した。

しかも、彼の話によると

その送別会で、風俗に行ったのではなく、

その話をしていた更に半年前、ちょうど私が、

半年間ニュージーランドへ行っていた時だそうだ。

遠恋になったので、毎日、毎日

会えない彼を想って、過ごしていたあの時、

彼は、他の女にチン○をしゃぶらさせ、

気持ちよさに酔いしれていたのだ!

その後、私が怒りくるった事は言うまでもない。




彼いわく、

「本当に罪悪感でいっぱいで、気持ち良いどころじゃなかった‥。」

だ、そうだ。きっとウソだけど。。。

そして、こうとも言った。

「本当にあの一度だけだよ。」

ふーん。ウソか本当か知らないけど‥。

ただ、一つ言える事、

彼は、正直に話しても許される事はないことを知り、

風俗に行っていたとしても、

二度と私に正直に話す事はないだろう。