「やぁ、君がアスランだね」
真っ白な屋敷の主は、真っ黒な髪をした闇のような人だった。
君が手にした幸せが憎い 13
イザークに連れられ、夜に差し掛かる頃合に俺はイザークの言う「あの方」という人物の家へ向かった。
ずいぶんと町から離れた場所にひっそりと建つ純白の屋敷。イザーク曰く「あの方は静かな場所」を好むらしい。それなら、仕事に行きにくそうなほど遠いこんな土地に家を建てたのも納得ができる。
それくらい、ここは音のない世界に等しかった。
「イザーク・ジュールです」
『やぁ、君か。はいりたまえ』
「はい、失礼します」
インターフォン越しに軽い挨拶を交わし、イザークは屋敷の中へ入る。
中に入ると、高価な美術品があふれかえっているが、それが嫌味でなく似合う内装だった。要するに、落ち着いている。ギラギラと着飾ることはなく、あくまで普通にそこにアートを置いただけという感じのむしろ質素すぎるほどの扱い。だが、それが美術品をより輝かせているように感じるのは、屋敷の主の気遣いなのだろう。
結構、こだわる男だということは伝わってくる。
そして、階段を上がってすぐのところにある大きな扉の前でイザークは止まり、ノックをした。中から『どうぞ』と、心地の良い男の声が返ってくる。
「イザーク君。久しぶりだね。母上はお元気かな?」
中にいたのは、漆黒の髪にオレンジの瞳。一目でコーディネーターとわかるほど端正な顔を持った男性だった。
「はい、おかげさまで。あなたには感謝してもしきれません」
「いやいや、私は中立としてしかるべきことをしただけだ」
男は今気づいたとでもいうように、大人の男性でありながら無邪気な子供のような顔でアスランを見た。
「やぁ、君がアスランだね。私はギルバート・デュランダル」
「アスラン・ザラです。これから、よろしくお願いします。デュランダルさん」
男は、「デュランダル」と言われた瞬間、若干悲しそうに眉をひそめた。
「君は今日からここで生活するんだ。親しいものには『ギル』と呼んでもらいたい」
「ギル・・・ですか?」
アスランはきゅとんと目を丸くさせる。
「私も君のことをアスランと呼ぶがいいかい?」
「はい・・・ギル・・・バートさん」
元々の性格上、人をたやすく愛称で呼ぶなどできないアスランは、たどたどしく返事をするも、やっぱりいきなりは無理だったようだ。
「うむ・・・なかなかに手ごわいね。これからが楽しみだよ」
「はぁ・・・・・・・」
俺はここにきて正解なのかと連れてこられたアスランと、連れてきたイザークは若干不安になった。
「では、こいつのことよろしくお願いします」
イザークは深々と頭を下げた。
「ああ、君も泊まっていくかい?」
「いえ、私はこれで失礼させてもらいます。では」
「ああ、また。イザーク君」
「はい。・・・・・・アスラン、迷惑かけるんじゃないぞ!」
アスランのほうを向きなおって偉そうに言うイザークだったが、やっぱりどこか不安げだった。
「大丈夫だよ。イザークありがとう」
「ふん!じゃあ、これで失礼します!」
アスランの言葉で照れたのか若干頬を染めてイザークは出ていった。
「じゃあ、アスラン。早速だけど、この家のもう一人の住人に会ってもらいたいんだ」
「もう一人の?」
「ああ、君と同じくらいの男の子なんだ。といっても、もうすぐアカデミーに行くんだけどね。先輩として、いろいろ教えてあげてくれ」
「はい・・・私でよかったら・・・」
「じゃあ、呼びに行ってくるからそこで待っていてくれ」
パタンと小さな音を立ててギルバートは部屋を出ていった。
「・・・ふぅ」
そこで、初めてアスランは息をついた。
今日はいろいろあったなぁ・・・と思い、いつのまにか睡魔に包まれていた。
***********
・・・・・・・・すごくどうでもいいんですケド、あたし、議長の目は「金」色だと思ってました・・・
でも、ググったら、オレンジって出てきた・・・
どっちなのかしら( ̄_ ̄ i)いや、たぶん、あたしが間違えてはいるんだろうけどさww
なので、本文中では一応オレンジとさせていただきました(まだ認めていないww)