嵐の季節

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不意打ちをつくように思い出の曲が流れる。

 

「この歌聴くたびに、あなたのことを思い出すのよ」

 

そんな甘言を聞かされたのも遠い過去のこと。

 

あんなに冷たく別れたのに。

 

思い出なんか捨てたはずだったのに。

 

古傷をかきむしられる思いでそれでも耳をそば立てていた。

 

終わりを告げた恋など取り戻せはしない。

 

未練が残るのは自分だけを愛しているから。

 

その愛をもっと広く深く誰かに何かに注げられないものだろうか。

 

若き思いは陽炎。

 

立ち上る景色の向こうに確かな実像が見えるはず。

 

「若さは仮面よ 

待っていては遅すぎるわ

愛し合う日はもう来ない

熱い季節なのよと」

(『嵐の季節』甲斐バンド)

 

あの熱い夏の日、22歳の虚無な心に響いていた警告は時を羽ばたかせて現実となる。

 

だけど、熱い季節、嵐の季節は今なのだ。

 

どうなるかではなくどうするか。

 

いつかではなく、今の景色、風、空気を感じている現在しかないのよと。

 

目の前で微笑みくれる実像の君が教えてくれた。