7kichi

ようこそ、いらっしゃいました。


いかに重複本を買わないか、という自己防衛のためにこのブログを始めましたが、もはや崩壊しています。


エラソーに★にて評価付けしておりますが、実は付けてしまったあとから大変恥ずかしい評価もあります。


特にお気に入りの作家になりますと、多少問題があってももれなく★★★★★を付けてしまったりします。


絶賛するから読んでみたがつまらんじゃないかっ!という方、それは残念でした(笑)


希望も見えず救いようもない作品、血しぶきドロドロ残虐地獄、愛欲地獄なども苦手とします。


反対にラストに一抹の光が見えるような作品が大好物です。


では、何が好きなのか。


最近の作品ではコーマック・マッカーシー「越境」、古いものではスタインベックの「怒りの葡萄」です。


全然それとはかけ離れた作品を読んでいらっしゃいますね。


ええ、そうです。それが読書というものですから(爆)


コメント・TB(承認制になってます)はご自由にどうぞ。皆さんよろしく。

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吉村昭 「星への旅」 新潮文庫

2009年11月22日(日) 22時54分57秒 Theme: [その他] 国内
「少女架刑」が無性に読みたくなり、持っている筈のちくま文庫「名短篇、ここにあり」を探したが、ここにあらず(笑)
終了時間が16時30分前後という近所の古本屋で慌てて買ってきた一冊。
この文庫に収まる作品は、次の通り。
「鉄橋」 ★★★☆☆
「少女架刑」 ★★★★★
「透明標本」 ★★★★☆
「石の微笑」 ★★★★☆
「星への旅」 ★★★☆☆
「白い道」 ★★★★☆
昭和38年から46年頃の著者初期作品なのだとか。
慌てて買ってきただけあった、面白い。
とくに「少女架刑」は凄いな。死体の視点。搬送される際、近所の同級生が見送るシーン。
貼り刻まれる体。女医への羞恥心。
それの続編ともいえる「透明標本」も収穫。
透明な骨標本づくりに執念を抱く男。
「石の微笑み」は、佐渡へ石仏を拾いに行く男。
表題作「星への旅」は集団自殺をする若者たちの内面描写がリアル。
吉村昭、これは嵌りそうだ。

星への旅 (新潮文庫)/吉村 昭

¥540
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吉村昭 「星への旅」
新潮文庫 ★★★★☆

佐伯一麦 「無事の日」 集英社

2009年11月22日(日) 09時23分59秒 Theme: 佐伯一麦
「すばる」に掲載された作品を纏めたものらしい。
この単行本に納まる作品は、
「夕顔」
「川火」
「時計草」
「汀にて」
「更地」
「唐土の鳥」
「未明」
「春の枯葉」
の全8編。
「遠き山に日は落ちて」「鉄塔家族」を既読ならば手に取る必要がなかったかもしれないなあ、と読んだ後に気付いたが、まあ、いいでしょ。
でも不思議なことに既読作品を読んだときに感じた温かさよりも、この作品は暗さが全面に漲っている感じを受けた。
それは、若い時に吸い込んだアスベストが原因の発作であったり、前妻と暮らした日々の回想も痛々しいものがあり、平凡な暮らしと共に死と隣り合わせといった緊迫感が漂うからなのだろう。
平々凡々と暮らし、健康であるというのは有り難いことだ。

無事の日/佐伯 一麦

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佐伯一麦 「無事の日」
集英社 2001.7.10第1刷発行
★★★☆☆

佐伯一麦 「ピロティ」 集英社

2009年11月20日(金) 08時28分20秒 Theme: 佐伯一麦
マンションの管理人を退職することになった山根さんの一人称で語られる物語。
なので読者は管理人となる気構えを持ち、山根さんの有意義な話に耳を傾けねばならないのである。
ホントに、この山根さん、実にべらべらしゃべりまくる。
最初は煩わしく感じてたまらないほど。
ま、語りがストップしたら物語にならないのだけれども(笑)
全戸39世帯が住む各家庭の人間模様、出入りする業者、そして仙台の風景などを交え、一日が終わりを告げる。
さて、読者は管理人となることを決意するのか。
私にはムリだ(笑)
ピロティとは建物の一階部分がコンクリートの柱で支えられて吹き抜けになっているところなのだそうだ。
マンションの管理人になることを検討している人には必読書となるであろう一冊かもしれない。

ピロティ/佐伯 一麦

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佐伯一麦 「ピロティ」
集英社 2008.6.10第1刷発行
★★★☆☆

小沼丹 「埴輪の馬」 講談社文芸文庫

2009年11月18日(水) 23時42分02秒 Theme: 小沼丹
「懐中時計」よりも後、昭和49年から61年の作品が中心に収まるこの文庫本、名随筆揃い。
内田百閒や木山捷平の随筆も大好きだけれど、この人の随筆もじつに捨てがたい。捨てないけどね。
10年後、20年後にまた読み返してみたくなる、そんな一冊。
何かオススメがありますかと会社の部下が言うので「懐中時計」を貸したら、よく眠れましたと言ってきた。
貴っ様ーっ!ボーナスなし、バカめが(怒)
とは言っても、モノから記憶を呼び起こし淡々と綴るのが小沼丹なのである。
眠い時には眠くなるというのも一理あるかもしれない。
しかし、これ見よがしに、ボーナス直前に小沼丹が好きになりました、と言われても増えないものは増えないのである。
ま、これを読んで未知谷から出ている「小沼丹全集」がますます欲しくなってしまった。
困ったものだ。お金無いよ。ボーナスよ、こっちへおいで(笑)
で、こちらの文庫に収まる作品は、
「煙」 ★★★★☆
「ゴムの木」 ★★★☆☆
「十三日の金曜日」 ★★★☆☆
「連翹」 ★★★★☆
「大きな鞄」 ★★★☆☆
「翡翠」 ★★★☆☆
「散歩路の犬」 ★★★★☆
「夕焼空」 ★★★☆☆
「トルストイとプリン」 ★★★★☆
「童謡」 ★★★★☆
「埴輪の馬」 ★★★★☆
の11編。
「連翹」は、私の好きな作家の一人、小山清を偲ぶ作者。
失語症となり不幸な人生を送った作家なのだが、その辺が描かれているので読んでいて辛かった。
この文庫で一番好きな「煙」という作品で作者は焚火の最中に遠い記憶を呼び起こす。
焚火かあ。
子供の頃、遊びに行きたいのに命じられ、ただジーと番をしていなければならなくて嫌々やっていたっけ。
嫌々どころか平成に生まれた二人の娘は焚火すら経験したことがない。
それじゃいかんだろ、ということで一緒に焚火をした。
小沼丹が燃やしていた蜜柑が入っていた木箱は手に入らないけれど、庭の落ち葉はどっさりあるので。
黙々と上がる煙。
あったかいねー、とキャーキャー騒ぐ我が娘。
彼女たちにも遠い昔に父と焚火をした記憶が刻まれるのだろうか。
そうならいいなあ、など考えているうちに焼き芋も出来上がる。
ん?
そういえば二階のベランダには私の布団。
燻された枯葉の匂いに包まれたマイ布団。
咳き込みながら一夜を明かしたのだった(笑)

$本の記録-埴輪の馬

小沼丹 「埴輪の馬」
講談社文芸文庫 1999.3.10第1刷発行
★★★★☆

結城昌治 「白昼堂々」 光文社文庫

2009年11月18日(水) 09時22分34秒 Theme: 結城昌治
渥美清主演の映画を見たことがあるのだけれど、内容は綺麗サッパリ忘れてしまっていた。
読みながらどんな話かようやく思い出したほど。

世話になった刑事の紹介でスリ稼業から足を洗い、今は真面目に東京のデパートで警備員として働く富田銀三(通称桶屋の銀)は、かつて一緒に悪行を重ねていた渡辺勝次(通称ワタ勝)の住む北九州の炭鉱へと足を運ぶ。
しかし、数年前に廃山となり、そこの住民は飢えを凌ぐためにザリガニや犬、猫まで食べてきたという程の貧乏。
このままじゃいかん、と銀三がふと浮かべたアイディアが、目標一人頭百万円!
住民たちに夢を与えることになるのだが、それはデパートから効率よく商品を盗み出すことだった。

この作品は、1965年の週刊朝日に連載されたそうだ。
40年以上も前の作品と云うこともあって、どうしても古さは否めない。
盗む商品は、デパートの反物なんだもの。
まず、今じゃ誰も狙わないだろうしね。
しかし、面白いので今でも読む価値は十分にあると思う。
タイトル通り白昼堂々と客を装い、スリ稼業で得た経験をふんだんに使いチームプレーで盗みを繰り返す泥棒メンバーの個性がなかなか粒ぞろいで、阿弥陀如来フェチがいたり、宿泊名簿に記名する偽名は全て過去に世話になった刑事の名前だったり、強欲な弁護士なんかも登場する。
チームワークの乱れから一人ずつ逮捕されていき、夢は幻に向かって一直線となってしまう。
ここで終わりかと思ったら、ここからが勝負なのだった。
悪党パーカー並に綿密にプランを練り、大胆にもデパートの売上金の強奪を謀るのだ。
笑えるラストもいいんではないかい。

$本の記録-白昼堂々

結城昌治 「白昼堂々」
光文社文庫 2008.6.20初版1刷発行
★★★★☆
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