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「あなたがどこまで見聞きされていたのかは知りませんが、

今の時点で分かっているのはどちらの死体も外傷がひどく、死後つけられた損傷が多数あること。
あきらかに自殺や事故のたぐいでないのは確かです。

楠木梓さんの血液が川中留衣さんの手に多く付着していたのを考えると彼女が楠木さんを殺害したと考えられますが、
そうなると川中さんを殺したのはだれなのかという話になります。

ですから、篠塚晃さんと逃走している筒原耕太さん、
気絶していたとはいえその場に居合わせたあなたのうちのだれが犯行に及んだのか。
あの時の状況を詳しく聞かせてほしいんですよ」


晃に目をむけると、彼は小刻みに肩を震わせていました。
瞳の焦点があっておらず、私たちではなく何か別のものを見ているような気がします。

「晃。どうしたの、大丈夫」
「……なんでもない」

そう答えてうつむいてしまいました。

「うそ。傷が痛むなら先生を呼ばないと」
「さ、触るな!」

差し伸べた手をおもいきり払われました。
唖然としてなにもできずにいると晃はごめんと呟き、
私はなるたけ明るく、気にしないでちょっと気が動転しただけだよねと言いました。

「ごめん」

「謝らないで、晃は悪くないから」

「ごめん」

それは、手を払ったことに対する言葉ではなく、
ここにいる私や刑事にむけられているものでもないのだと気づきました。


「もう分かった。だから、顔あげて」


「ごめん」


「ねぇ、晃。もういいよ、もう……」


「ごめん」


「やめて!」


私がそう叫んだ瞬間、鈍重な沈黙が病室にいるすべての物体にのしかかりました。
その重さに耐えきれずに潰れてしまえればどれだけ楽なのでしょうか。


彼の話を信じるのなら、気を失っていた私を背負って逃げる前に――


それが意味するのは、まぎれもなく晃が犯人だということです。


刑事は大きくため息をついて、とにかく事情を聞かせてくださいと言い、
彼は分かりましたと答えて病室からでていきました。

いつもは優しい笑みを浮かべてさよならをしてくれるのですが、
そのときは一度も振り返らず、足も止めることなく去ってゆきました。



視界からすべてが消えうせ、私はまたひとりぼっちになりました。

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