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私が何者かに突き飛ばされて気絶したあと、彼は腕に噛みついた犬を引きはがすべく、
それを近くにあった机や地面に叩きつけ、あごの力が弱まったところを見計らって腕をぬきました。

そうして彼が必死に格闘しているさなか、暗がりから別の激しい物音がしたのです。
罵りあう声から梓と留衣だと判断しました。

こんなところに連れてくる梓が悪い。
あんただって最初はのり気だったでしょ。
晃君をとられたからってやりすぎなのよ。
留衣も小夜が気に入らないって言ってたじゃない。
犬だってかわいそうよ、こんな暗がりに放置して。
なによ! 私が全部悪いって言うの――

という断片的な会話から、彼は梓たちが私の病気を利用した嫌がらせをくわだてたのだと察したそうです。
晃は背後で息をひそめている犬に身構えながら彼女たちを宥めようとしたのですが、
梓も留衣も興奮しているのか聞く耳をもちませんでした。

それどころか、もみあう音は激しさを増し、不意に腐ったかぼちゃをつぶしたような音がしました。
室内は一時の静寂に包まれ、やがて――。


ぐしゃりびしゃりずずずぃ、


ぐしゃりびしゃりずずずずぃぃ、となにかをつぶして床に擦らせているかのような音がしました。


まぶたを閉じているのか開いているのかさえも分からない暗闇の中で
それがしばらくリピート再生され、晃は声も出せずにたたずんでいました。

音にふくまれる水分量がゆっくりと増してゆき、
やがて、黒いしぶきとなって衣服にふりそそぎいだとき、晃ははっと我に返り、耕太を呼びました。
近くにいるはずの彼ならば梓たちを止められると考えたのです。

しかし、どれだけその名前を口にしても反応はありませんでした。
耕太はすでに地下施設から逃げ出していたのでしょう。

梓と留衣のどちらかはもう死んでいて、もう一方が気が触れてしまっている。
彼女に襲われる前に一刻も早くここから脱出しなければならない。

そう悟った彼は、死体を弄びつづける殺人鬼に気づかれないよう気絶した私を背負い、
地上へとつづく階段へ向かったのです。



晃はそこまで話すと自身の顔を両手でおおい、沈黙しました。
心にできたかさぶたを無理やりはがしてしまったせいで痛みがあふれでているのでしょう。

顛末を知りたいという興味本位でなんて残酷なことをしたのだと後悔しました。

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