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「できない……できないよ。だって……」

心を通わせる人がいない生など無意味です。
他人との関わりが失われた場所ですごした私にはそれがわかります。

弧は毒となり、心も体も蝕んでいく――


痛くないのに痛い、

苦しいようで苦しくない、

悲しくないのに悲しい、

不安定な感覚に犯されていくのです。


孤独になればなにも感じなくなるわけではない、なにを感じているのかわからなくなるのです。

晃は私を救ってくれました。恩もあります。
見捨てることで同じ境遇に追いやってしまう負い目もあります。
それ以上に、私自身がひとりになりたくないのです。


私は外界へとつづく扉に背をむけて晃と対峙しました。


彼はすぐそばまで来ていました。
暗がりのなかで見たその服には赤黒い斑点がうっすらと浮かび、
黒点に吸い込まれるように砂利やほこりが付着しています。
うつむいているので表情は読みとれません。

晃、と話しかけるとうなずいた気がして嬉しくなり、
少し歩みよると、彼はだらんとさげた腕をもちあげて私を抱きしめてきました。

急な行動に心臓が波打ちました。
はじめは優しく、ゆっくりとしめあげるように彼の手に力がこめられてゆきます。

私は笑顔をつくり、大丈夫だと意思表示をしました。
ただ、本当に笑えていたのかはわかりません。

背中にまわした彼の手が爪を立て肉をえぐります。痛みはありません。
出血したのか、傷口があたたかくなる感覚がしました。


ごめんね、

私がこんなところに行きたいって言わなければよかったよね、

みんな危ない目にあわずにすんだはずだよね、

耕太を殺させることもなかったよね。

ほんとにごめん、でも――あなたをひとりにはしないよ。


彼の胸に顔をうずめながら呟きました。
私たちはそうしてしばらく抱き合ったあと、頭をあげてキスをしました。

痛くも悲しくもないのに涙で視界がぼやけています。
彼は私の唇をむさぼりはじめ、やがて歯をたててそれを噛みちぎりました。



真紅の霧雨が宙に舞い、にじんだ景色を赤黒く染めてゆきました。

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