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閉鎖的な空間が人を変えてしまうのでしょうか、
あるいは、なにか得体のしれない超常的な存在が私たちを追いつめるのでしょうか。
晃はそれらによって殺人を犯してしまったのかもしれません。


やはり彼はなにも悪くはないのです。
だれもがみな被害者なのだから。


梓を入り口近くにいた留衣のかたわらにおろし、私は晃がいるほうに向かって話しはじめました。

「ねぇ、晃。立てるんなら一緒に帰ろう」

不意に服を強くひっぱられ、そちらに振りむくと梓が目を血走らせて私を睨んでいました。

「なに考えてるのよ!」
「だって、彼を捨てていけない」
「ふざけないで。あんたも見たでしょ、耕太の死体。あいつは人殺しなのよ!」

梓は、まくしたてるように怒鳴りました。

「わかってる。けど……」
「けどもなにもない。留衣だって、ほら!」

留衣は小刻みに震えながら梓の肩にしがみついていました。
うつむいてなにかを早口で呟いているようです。私は彼女のもとへ歩みより、かがんで耳を近づけました。

「……いぬにかまれておかしくなった。もうにんげんじゃない。
もうにげられない、ころされる。ばちがあたったのよ。こんなところこなければよかった。
そうよ、ころされるまえにころせばいいのよ。そうすればここからでられる。たすかる。いきられる」
「留衣っ!」
「うるさい……。じゃまするならおまえがしね」
「えっ……」

彼女は近くにあった残置物を手当たりしだいに投げつけてきました。
それは、気力を失った留衣ができる精一杯の抵抗だったのかもしれません。

「ちょっ」
「しね」
「やめ……」
「しね」
「やめて」

梓は留衣を止めることなく、頭をかかえて防御する私をただ見下ろしていました。
腕のすきまから覗いた彼女の顔には暗闇のため黒いもやがかかっています。
それは、とても深く遠い、すべての関わりを拒絶したなにものにも染まらない影でした。

まもなく留衣は手をとめ、また自分だけの世界に入っていきました。

「いいかげん分かったでしょ、小夜。私たち三人で脱出するの」
「待って。せめて、晃にちゃんと話させて」

私は腰を床につけたまま部屋の中央へむきなおりました。
彼を置き去りにする覚悟を決めなければならない、そう思いました。

「晃、ごめん……先にでていくね。でも、すぐに助けを呼んでくるから!
だから、もう少しだけそこで我慢していて」

無言でした。
当たり前かもしれません。私は彼を失意の底に落としたのですから。

「一緒に帰るつもりだったよ。でもね、しかたないの。わかってほしい。このままじゃみんな助からな――」



突然、晃が立ちあがりました。

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