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晃が彼女たちに危害をくわえたことになっているので一緒に連れていくとは答えられません。
しかし、晃を置いていくと言えば彼になんと思われるのか不安でした。

薄情者だとののしるでしょうか、連れていけと暴れるでしょうか。
どちらにせよ、今のようになにも言わずに黙っていられるのが一番辛いのかもしれません。
私は頭に浮かんだ迷いをふりはらうため、強い口調で、ドアを開けてから決めましょうと言いました。

留衣は親にすがる子供のような表情をしています。涙のたまった瞳でしばらく私を見つめた後、
ゆっくりとうなずきました。梓のようにヒスをおこしていないことが救いでした。

梓と晃に留衣が見つかったと伝え、私は彼女を抱き起こしてささえながら部屋の入り口にもどり、
ドアの前に着くと体勢をととのえてノブをつかみました。

留衣には怪我をしていない左手でノブをつかんでもらい、ふたりで力をこめて前後にゆさぶりました。
ぎしりぎしりと金属のこすれあう音がします。

「せーの、で一気に引っぱろう」
「……わかった」
「いくよ……。せーの!!」

私は腰をおとして最後の力をふりしぼりました。
すると、びくともしなかったドアが少しづつ内側に開きはじめたのです。

「留衣、もうちょっとよ」

てのひらの傷が熱をおび、脈打つように神経を刺激しています。
留衣もいつのまにか怪我をしているもう一方の腕をつかっていました。
痛みを感じようが、血がふきだそうが、関係はないのです。


やがて、がたんっという大きな音を響かせてドアが開きました。


うまくいった喜びを言葉や身振りであらわすところですが、そんな気力も残されていませんでした。
ふたりとも脱力して尻餅をつき、肩で息をしながら沈黙していました。

生暖かい血液が薬指からぽたりぽたりとおちているようです。それを、私は肌で感じています。
まだ生きている、しっかりしなければならないと意志を持ちなおし、
よろめきながら立ち上がって梓のもとへ向いました。

せまい通路を進み、部屋の右隅近くまで行って彼女に声をかけます。

「梓、助けにきたよ」
「……わかった」

梓に肩を貸し、彼女の右足をかばいながらドアの前へとひきかえしました。

「痛っ……ゆっくり歩きなさいよ!」
「もう少しだからがまんして」

道すがら、梓が右足の痛みでわめくので冷静になだめていました。


そのたびに気が狂いそうでした。


白く温かい希望がどす黒くにごった冷たい絶望にぬりかえられていくように、暗闇が徐々に精神を蝕んでいくのです。

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